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時事ドットコム

「到底容認できず」 無罪判決に指定弁護士ら

控訴審判決後、記者会見する福島原発告訴団の団長ら=18日午後、東京都千代田区

 

 東京電力旧経営陣3人を無罪とした18日の東京高裁判決を受け、検察官役の指定弁護士らが記者会見し、「長期評価の信頼性を全面的に否定し、到底容認できない」と述べ、最高裁への上告を検討する意向を明らかにした。

 

    指定弁護士らは「科学的に解明できていない未知の津波に対して、対策を講じることはできないと言ってるのに等しい」と批判。裁判長による福島第1原発の視察や、「長期評価」の策定に関わった元気象庁幹部らの証人尋問が採用されなかった公判経緯に触れ、「却下しておいて証拠が不十分だという論理は全く成り立たない。審理不尽だ」と強調した。

 

  続いて会見した被害者参加代理人の海渡雄一弁護士は「津波地震が起きないと言っている学者はいない」と指摘した。「机上の結論ありきの判決だ」と語り、指定弁護士に上告を求めた。

 

  刑事告訴した福島原発告訴団団長の武藤類子さん(69)は「一審判決では本当に悔しい思いをし、控訴審には少なからず期待したが、本当に審理不十分だった」と話した。 

 

 

 

毎日新聞

指定弁護士「裁判所が政治的判断」 東電強制起訴、再び無罪判決

 

福島第1原発事故を巡る東京電力旧経営陣の控訴審判決を受け、記者会見する指定弁護士ら=東京都千代田区で2023年1月18日午後5時8分、和田大典撮影

 

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(82)ら東電旧経営陣3人の控訴審判決で東京高裁は18日、全員を無罪とした1審・東京地裁判決(2019年9月)を支持し、検察官役の指定弁護士側の控訴を棄却した。 

 

 

  ◇  判決主文が言い渡された午後2時過ぎ、福島原発刑事訴訟支援団のメンバーは「全員無罪 不当判決」と書かれた紙を東京高裁前で掲げた。集まった約100人の支援者らは「福島を返して」などと声を上げた。  石田省三郎弁護士ら検察官役の指定弁護士は東京・霞が関で記者会見し「長期評価の信頼性を全面的に否定し、国の原子力政策に呼応する判決だ」と判決を厳しく批判した。

 

  控訴審で指定弁護士側は、防潮堤の建設や原発施設の建屋が浸水しないようにする「水密化」などの対策を講じれば事故は回避できたと主張した。しかし、高裁は「事後的に得られた情報や知見を前提にしている。事故を回避する可能性があったという証明は不十分」と一蹴した。 

 

 石田弁護士は「原発事故が起きたら、とんでもない事態になるという問題意識が全くない。裁判所が政治的判断をした」と指摘した。指定弁護士の渋村晴子弁護士も、地震の専門家の証人尋問や原発の現場検証を裁判長がいずれも却下したことに触れ「我々の証拠申請を却下しておきながら『立証が不十分』という指摘は全く成り立っていない。重大事案の判決を書く際に現場に行かないのは非常に問題だ」と批判した。

 

 ただ、指定弁護士側は、上告について「判決内容を詳細に分析して検討する」と述べるにとどめた。

  東電旧経営陣を刑事告訴した福島原発告訴団も記者会見し、団長の武藤類子さん(69)は「きちんと責任を取るべき人が責任を取ることが、次の事故を起こさないために重要だ。この判決を確定させてはいけない」と訴えた。

告訴団代理人の海渡雄一弁護士は「非常に無責任。司法がこのような状態で、原発を再稼働したら次の事故が起こると思う」と述べた。

【遠藤浩二】