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女性自身

紀藤弁護士×鈴木エイト「弁護士団体からの警告も無視…日本より統一教会を選んだ“保守政治家”たち」

「(日本人は)許すことのできない民族」であり、罪を負った「エバ国家」として「アダム国家」の韓国に尽くさねばならない。そんな教えを持つ、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と日本の“保守政治家”の結びつきは、多くの人に衝撃を与えた。長年、統一教会の問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士と鈴木エイト氏に話を聞いた。

 

【写真あり】教団の抱える問題を長年追及してきた2人

 

紀藤正樹弁護士(以下・紀藤):自民党で保守といわれていた議員らが、反日思想ともいえる統一教会と関係を深くしていました。結局、政治家たちに理念がなかったためだと思う。

 

 鈴木エイト氏(以下・鈴木):統一教会側も反共産主義を旗印に、保守派の政治家に取り入るためにLGBT問題や選択的夫婦別姓などに抵抗してきましたよね。そうやって両者が近づいていったんだと思います。

 

2013年の参議院選挙で、当時の安倍晋三首相が、統一教会に直接組織票の支援を申し出ていたという内部文書が手に入り、菅義偉官房長官が関わっていたという別の内部文書も入手しました。

 

 ――安倍元首相と統一教会の関係については、9月に出版された鈴木氏の著書『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)に詳しく記されている。

 

選挙での集票依頼のほか、2世信者らが組織した団体による安倍政権の支援活動や、安倍首相と当時の統一教会の会長が首相官邸で密会した疑惑などを、鈴木氏は地道な取材活動を通じて明るみに出してきた。

 

 鈴木:国会議員から直接脅しとも取れる言動もぶつけられることがありました。

政治家の直撃取材で警察を呼ばれたり、刑事告訴されたりしたこともあります。

 

 紀藤:我々から見ると問題のある反社会的組織なのに、国会議員が選挙を手伝ってもらったり、広告塔になっているなんて、信じ難い出来事。統一教会の根幹となる、伝道、(霊感商法や寄付などの)経済、合同結婚式の勧誘という統一教会の活動の根幹部分について、裁判所において全て違法だと認められているのに……

 

その危険性を気付いて欲しくて、弁連で公開質問状を出していたんですが、統一教会の改名する前後から安倍首相の長期政権となり、極端な開き直りがあったと感じます。

 

 ――第二次安倍政権になって自民党と統一教会の結びつきは加速。大臣経験者を含む複数の国会議員が教団から支援を受け、あたり前のように関連イベントに出席するようになっていた。前出の鈴木氏の著書には、統一教会の関連団体と関係があった現職の議員のリストが付されているが、総数は168人にのぼる。大多数が自民党議員だ。 鈴木:2018年と2019年に、霊感商法対策弁護士連絡会は国会議員に統一教会と関係を持たないように要望書を出しています。しかし、2021年には安倍元首相が関連団体のUPF(天宙平和連合)へのビデオメッセージを送った。その際にも、弁連は公開抗議文を内容証明郵便で郵送していましたが、東京の安倍事務所は受け取り自体も拒否しましたよね。そして今年7月、安倍元首相が2世信者の凶弾に倒れました。 紀藤:2世の問題は、あまりにも悲惨な状況なのに放置されていました。どこにいっても助けてくれない。統一教会の信者が大臣執務室に入り、議員会館を闊歩していたことからも、あらゆる意味で高を括っていたのかもしれません。異常におかしい状態が続いていた。いずれ暴発することは想定されていました。 鈴木:僕自身は暴発の矛先が、恨みのある教団に向くことはあり得ると思っていましたが、教団と関係を持っていた政治家に向くことは想定していませんでした。安倍元首相の殺害という犯罪行為はけっして許されることではありません。しかし、政治はもっと早くにこの問題に取り組むべきだったと思います。 【続・後編】金儲けとの声に…紀藤弁護士×鈴木エイト「お金のためなら、統一教会問題なんてやってません」へつづく 【PROFILE】 紀藤正樹 リンク総合法律事務所所長。統一教会の合同結婚式や霊感商法など、カルト宗教や消費者問題を追及してきた。『カルト宗教』(アスコム)など著書多数 鈴木エイト ジャーナリスト。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。近著に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)があ

 

 

 

金儲けとの声に…紀藤弁護士×鈴木エイト「お金のためなら、統一教会問題なんてやってません」

【続・前編】紀藤弁護士×鈴木エイト「弁護士団体からの警告も無視…日本より統一教会を選んだ“保守政治家”たち」よりつづく

 

――安倍晋三元首相の暗殺をきっかけに、クローズアップされた政治と統一教会の問題。長年、この問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士と鈴木エイト氏は頻繁にメディアに登場するようになったが、売名行為であるとか、この問題でお金儲けしているという声が届くこともあるという。

 

紀藤:エイト君は、今やサンジャポファミリーだよね? 毎週出ていたもんね。

 

鈴木:えっ、そうなんですか?(笑)

 

紀藤:一度でも出ればファミリーらしい(笑)。僕のところにも依頼が来たんだけど、エイト君が出ているのを知っているから断ったんだ。統一教会を追求してきた仲間だから、あえて2人同時に出る必要はなく、限られた時間を役割分担したほうが効率的だと思っている。

 

鈴木:統一教会の追求は、売名行為、お金儲けだというネガティヴな情報を流されていますが、紀藤さんはテレビに出なくても名前はすでに知られているし、他の弁護士活動をしていたほうが稼げますからね。

 

紀藤:この活動で、お金になるわけないじゃないですか(笑)。最近は、統一教会問題で忙しくなり、新しい依頼を断らざるを得ないことも……。この問題に真剣に取り組めば取り組むほど、収入は減るんですが、止めるわけにはいけない。

 

鈴木:僕も、ライター業や取材活動とは別に、収入の糧があります。だからこそ、自分のやりたいことをやってこられたんだと思います。これで稼ごうなんて思っていませんでした。

 

――長年、鈴木エイト氏は、統一教会問題について取材してきたが、記事が載るのはWEBメディアや週刊誌などが中心。2021年9月に、安倍元首相が統一教会の関連団体の集会にリモート登壇した事実やその背景について、鈴木氏はいち早く取材していたが、記事が載ったのはやはり一部の雑誌とWEBメディアなどだけだった。多くのメディアでは抗議などをおそれて、宗教問題の報道を避ける傾向にあるという。

 

鈴木:それでも、これまでに取材した2世の窮状や、自分以外に継続して取材している人間がいないことを考えれば、この問題の取材を止めるという気持ちはありませんでした。しかし、だいぶ風向きは変わってきた。今まで統一教会は紀藤さんや僕ら一部の人間だけを抑えていればOKだと思っていたみたいだけど、もうみんなが知ってしまったから、これからのメディア報道には期待が持てますね。

 

紀藤:確かに、変化は出てきています。以前は消費者問題で講演するときも、「“政教分離”なので、なるべく霊感商法のことなど触れないでください」みたいなことを言われていましたが、今はだいぶ認識も変わってきました。これからも、この問題の追及は止めるつもりはありません。

 

【PROFILE】

紀藤正樹
リンク総合法律事務所所長。統一教会の合同結婚式や霊感商法など、カルト宗教や消費者問題を追及してきた。『カルト宗教』(アスコム)など著書多数

鈴木エイト
ジャーナリスト。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。近著に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)がある

 

出典元:WEB女性自身