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12/29(木) 17:00
「菅前政権の末期と空気が似てきた」岸田政権に広がる不穏な空気 防衛費増額めぐり〝禁じ手〟 年の瀬に駆け巡った人事の一報
年の瀬の26日、秋葉賢也復興相が〝更迭〟されるという一報が、永田町を駆け巡った。公選法違反の疑惑や、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係、選挙運動で別人を立たせたとする〝影武者〟騒動まで浮上していた。臨時国会は乗り切ったが、岸田文雄首相は来年の通常国会を見据えて、遅まきながら決めたようだ。
更迭の報道とともに、一部メディアは後任者を具体的に報じた。だが、岸田首相は「何も決まっていない」と否定した。 このニュースを聞いたある自民党議員は「気持ちが悪い」と顔をしかめ、こう続けた。「何となく、菅義偉前政権の末期と空気が似てきたように思えて仕方ない」 菅内閣の支持率は昨年8月、発足後最低を記録した。同月31日夜、唐突に「菅首相が9月中旬に衆院解散の意向」との一報が流れた。菅首相が、同月17日予定の自民党総裁選をすっ飛ばし、解散総選挙に突入するのではないか―。自民党は大混乱に陥った。 翌9月1日、菅首相はぶら下がりで「解散の意向」を否定した。だが、頭をもたげた「菅降ろし」の流れは変えられず、総裁選への出馬を断念せざるを得なかった。
「最近、岸田政権絡みの不可解なニュースが流れる。秋葉氏の後任も、誰かが何らかの意図をもってを流しているのではないか」 前述の議員は声を潜めて話す。 菅政権末期を振り返ると、昨年10月に衆院の任期満了が迫るなか、新型コロナ禍の対応で国民の不満は高まり、内閣支持率は低迷していた。自民党内では「このままでは選挙は戦えない」と不満の声が強まっていた。 岸田政権とは状況が異なる面もある。 7月の参院選に勝利した岸田首相は「黄金の3年間」を手にした。直近の国政選挙は、衆院が任期満了なら2025年までなく、腰を据えた政権運営が可能になる見込みだった。 この余裕があるからこそ、岸田文雄首相は防衛費増額をめぐり〝禁じ手〟ともいえる「増税」を打ち出したのだろう。だが、それを全面的に支持する者ばかりではない。 萩生田光一政調会長は25日のテレビ番組で、「(増税は)国民のみなさんに判断いただく必要がある」と発言した。国民の信を問うべき、という直言といえる。 これに対し、松野博一官房長官は翌26日の記者会見で、「解散は総理の専権事項」とクギを刺した。 専権事項であるにせよ、国民の民意をくみとる必要はあるだろう。人事にしろ、増税論にしろ、まずは民意を考慮していただきたい。