NGO: nongovernmental organizationは、非政府組織:民間人や民間団体のつくる機構・組織であり、国内・国際の両方がある。
日本語では、NGO(エヌジーオー)
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BBC
タリバン、女性のNGO勤務を禁止 ヒジャブ着けなかったからと
アーリア・ファルザン、ネギーン・サディド、ジェイムズ・フィッツジェラルド
BBCニュース
アフガニスタンを支配するイスラム武装勢力タリバンは24日、女性が非政府組織(NGO)で働くことを禁止する命令を出した。国連やアメリカは、基本的な人権の侵害だと強く非難している。タリバンは20日も女性への大学教育を停止したばかり。
タリバンは、女性のNGO勤務を禁止する理由として、国際NGOで働くアフガンの女性たちが頭髪を覆うヒジャブを着けず、服装規定に違反したからだとしている。経済省が、国内外のNGOへの手紙という形で、命令を伝えた。速やかに従わない場合は、活動免許を取り上げると警告した NGOで働くアフガンの女性の多くは、それぞれの家計を支えている。複数の女性が、働けなくなることの恐怖や無力感をBBCに話した。
女性の1人は「私が働けなないなら、だれが家族を支えるのか」と話した。同じように自分がNGOで働くことで家族を養っているのだという女性は、「衝撃」を受けているとして、自分はタリバンが定める厳しい服装規定に従っていたと強調した。
さらに別の女性は、この禁止令によって自分はさまざまな代金が払えなくなり、子供に食事を与えられなくなるとして、タリバンのいう「イスラムの道徳」とは何なのかと問いただした。
「世界は私たちを眺めているだけで、何もしない」と別の女性は述べた。BBCは女性たちの安全を守るために、匿名でその発言を伝えている。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、「アフガンの人たちにとって大惨事」となると非難。
「世界中の人道支援活動で女性は中心的な役割を果たしている」だけに、タリバンの今回の命令によって「何百万もの人の命を守るために欠かせない必須の支援が阻害される」と懸念を示した。 国連幹部の1人は、「人道的な原理原則に対する明確な違反」だと批判した。
アフガニスタン国内で、人道支援や開発援助のため大きな役割を担う国連の複数機関は、25日にも緊急会合を開いて対応を検討する。
国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」の職員はBBCに対して、自分たちの組織はタリバン関係者との会合を予定していると話した。もしアフガン女性たちがNGOで働けなくなれば、複数のNGOが活動停止に追い込まれるという。 加えて、男性しかNGOで働けないとなると、アフガニスタンの女性たちは支援を直接受けられなくなるかもしれないと懸念されている。タリバンは、男性と女性が一緒に働くことを禁止している。
国際NGO「ケア・インターナショナル」のメリッサ・コーネット氏は、アフガニスタンの女性や少女たちに支援を届けるには、女性スタッフが「不可欠」だと話した。
「NGOに女性スタッフがいなければ人道状況は急速に悪化するかもしれない。ただでさえアフガニスタンのほとんどが、生命を脅かすほどの深刻な飢餓に直面している」
国際人権団体「アムネスティー・インターナショナル」の南アジア支部は、タリバンによる今回の禁止令について、「(アフガニスタンの)政治、社会、経済の空間からまたしても女性を抹消しようという、嘆かわしい動き」だと非難した。
北部マザリシャリフや近隣の村で働く女性医師は、今回の決定について「悲しいし衝撃を受けている」と話した。 「自分の体調の問題を男性にすべて話すわけにはいかない」女性たちが、治療を受けようとすれば、「大変な思いをすることになる」と、この医師は予測した。
さらに、イスラム指導者の1人はBBCに対して、タリバンが重視するのは「イスラムの価値観と何の関係もない」と話した。
「男性は教育を受けられるが女性は受けられないなど、イスラムはまったく教えていない。男性は働けるが女性は働けないなどとも、教えていない。私たちは今回の決定に困惑している」という。
女子学生が大学で教育を受けることを禁止した20日の決定も、同様に批判されている。大学教育についての決定後、国内各地で抗議が起きたものの、タリバンはこれをただちに取り締まった。 昨年8月にアフガニスタンの支配を奪還したタリバンは、政権掌握当初は、1990年代のタリバン政権よりは穏やかな統治をとると約束していた。しかし、実際には着実に女性の権利を制限し続けている。
タリバンは国内各地の大学に女子が入れないよう、武装兵を大学に配置している。加えてほとんどの州で、中学・高校も女性教育を停止している。 学校のほか、女性が公園やジムを利用することが禁止され、ほとんどの公共の場にも女性は入ることができない。 (追加取材:ハニヤ・アリ)