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自民京都府連「マネロン」事件 西田参院議員ら60人が刑事告訴さる 「悪質な選挙買収だ」と専門家 カネ受領全議員53人のリスト掲載
◆カネ受領議員は2人増 自民党京都府連が昨年の選挙(10月19日告示、30日投開票)の際、立候補者からお金を集め、地元の府議会議員や市議会議員に配布していた事件、いわゆる「自民党京都府連マネロン事件」で、新たに地方議員2人にお金が配布されていて、合計53人の地方議員がお金を受け取っていたことが分かった。11月末に公開された2021年分の政治資金収支報告書を上脇博之神戸学院大学教授が分析して判明した。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
【写真報告】これが政治資金報告書と「文通費」領収書だ。橋下徹、安倍派、維新清水参議員などの実物公開(7点)
◆衆院選候補者から集めた2650万円が地方議員に 今回、2021年の政治資金収支報告書が公開されたことによって、昨年10月に行われた衆議院選挙において、自民党京都府連合会(以下、京都府連)が配布していた額が2650万円、配布された地方議員が53人だったことが分かった。また京都府連が衆議院選挙の立候補予定者6人から集めた額も2650万円だった。つまり、立候補者から集めた2650万円が、自民党京都府連を経由して地方議員に流れたということだ。 自民京都府連は、2021年の衆議院選挙前の8月19日から10月7日の間に、勝目康氏(京都1区)から750万円、繁本護氏(京都2区)から400万円、木村弥生氏(京都3区)から350万円、田中英之氏(京都4区)から550万円、本田太郎氏(京都5区)から300万円、清水鴻一郎氏(京都6区)から300万円、合計2650万円を集めた。6人とも衆議院選挙に自民党公認候補として立候補していた。6人は自身が代表を務める政党支部、あるいは自身の関連政治団体から京都府連に支出していた。 お金を集めた京都府連は、選挙前の10月4日から13日までの9日間に地方議員一人につき50万円、当時、京都市議会議員だった吉井章参議院議員ら53人に配布していた。地方議員らは、自身が代表を務める政党支部、あるいは自身の関連政治団体に京都府連から50万円を受け取っていた。
◆「マネロン」考案は税理士資格も持つ西田参院議員か 「自民党京都府連マネロン事件」は『文藝春秋』(2022年3月号)で報道され、社会が知ることになった。立候補者が直接お金を地方議員に渡す行為は、選挙応援は無償で行うことを定めた公職選挙法に違反するため、京都府連が一度預かって地方議員に渡す、つまり立候補者が京都府連を迂回して地方議員にお金を配布する「マネーロンダリングシステム」だ。当然、違法である。京都府連では13年の国政選挙からこの手法を使い地方議員に対してお金を渡してきたとされている。 この手法は、京都府連会長も務め、税理士資格も持つ西田昌司参議院議員が考えたとされ、13年から19年までに1億3000万円以上が地方議員に渡っていると報道されている。 文春による今年3月の報道後、上脇教授は京都府連会長だった西田昌司参議院議員をはじめとする国政選挙に立候補した7人と、お金を受け取った地方議員51人を公職選挙法違反で刑事告発していたが、21年の収支報告書が公開されたことを受けて上脇教授が再分析し、さらに2人がお金を受け取っていたことが発覚、京都地検に告発の補正書を送付した。
◆「長年の悪質な買収運動だ」と専門家指摘 刑事告発をした上脇教授は次のように指摘した。
「衆参の国政選挙における京都の各立候補者側が、京都府連を介して自らの選挙区内の府議や市議らに選挙運動してもらうために50万円を渡して運動買収するスキームは、2019年の参議院選までの収支報告書で確認されていました。 11月末に昨年分の収支報告書がネット公表されたのでその記載を確認したところ、昨年の衆議院選でも同じようにマネロンによる買収が行なわれていたと確信しましたので、そのことを詳細に説明した告発補正書の他、京都地検に候補者6人と府連の収支報告書を送付しました。 この長年続けられてきた悪質な運動買収のスキームは全国に知れ渡ってしまいましたので、もしも起訴されなければ全国で横行しまうでしょう。京都地検は捜査を尽くして必ず起訴して欲しいです」 来年は統一地方選挙で京都府議会議員選挙、京都市市議会議員選挙が行われる。「マネロン」の手法でお金をもらった自民党の地方議会の政治家たちも多くが立候補することだろう。金銭の授受があった政治家たちの責任を問うのは当然だが、そうした政治家を選ぶのか、NOを突き付けるのか、有権者もまた、問われていると言える。
◆これがカネ受け取った議員56人 21年の衆院選でお金を受けとった地方議員は以下の通り。
()内は選挙区。受け取った額はいずれも50万円である。
岸本裕一元府議(北区)、山本恵一市議(北区)、谷口みゆき市議(北区)、宮下友紀子府議(上京区)、寺田一博市議(上京区)、中村三之助市議(上京区)、青木義照府議(中京区)、加藤昌洋市議(中京区)、津田大三市議(中京区)、小巻實司府議(下京区)、下村明市議(下京区)、山集麻衣子市議(下京区)、秋田公司府議(南区)、椋田隆知市議(南区)、嶋本京司市議(南区)、石田宗久府議(左京区)、桜井泰広市議(左京区)、豊田恵美市議(左京区)、荒巻隆三府議(東山区)、平山貴大市議(東山区)、菅谷寛志府議(山科区)、吉井章市議(山科区、現参議院議員)、渡辺邦子府議(伏見区)、前波健史府議(伏見区)、橋村芳和市議(伏見区)、道端弘之市議(伏見区)、繁隆夫市議(伏見区)、能勢昌博府議(長岡京市)、磯野勝府議(向日市)、二之湯真士府議(右京区)、北原慎治府議(右京区)、森田守市議(右京区)、井上与裕市議(右京区)、田中崇則市議(右京区)、近藤永太郎府議(西京区)、田中明秀市議(西京区)、西村義直市議(西京区)、田中英夫府議(亀岡市)、中村正孝府議(亀岡市)、片山誠治府議(南丹市・船井郡)、家元優府議(福知山市)、井上重典府議(福知山市)、池田正義府議(舞鶴市)、四方源太郎府議(綾部市)、中島武文府議(宮津市・与謝郡)、森口亨府議(京丹波市)、藤山裕紀子府議(宇治市)、荻原豊久府議(宇治市)、園崎弘道府議(城陽市)、田島祥充府議(八幡市)、古林良崇府議(京田辺市・綴喜郡)、兎本和久府議(木津川市・相楽郡)