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朝日新聞
那覇空港にドローンか 滑走路が一時閉鎖、離着陸7便に影響
4日午後9時半ごろ、那覇空港(那覇市)でドローン(小型無人飛行機)のような飛行体の目撃情報があり、安全確認のため一時滑走路が閉鎖された。複数の便に遅れや到着地変更などの影響が出た。
那覇空港によると、空港の管制塔が午後9時半ごろ、ドローンのようなものが飛んでいるのを確認した。午後10時50分ごろまで滑走路が閉鎖され、到着3便が引き返したり行き先を変更したりした。また、到着3便と羽田への出発1便の計4便に遅れが出た。
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ドローンが住宅街も飛行可能に「レベル4」解禁で生活は 安全は
最近、話題になることが多くなったドローン。
いよいよ12月5日から「レベル4」という最も高度な飛行が解禁されます。
「レベル4」になると私たちの生活はどう変わるのか?
スマホで注文した商品が家の軒先まで届くようになる?
一方で、私たちの安全はどうなる?
“ドローン時代の幕開け”とも言われる「レベル4」とはどのようなものなのか、詳しくお伝えします。
(社会部 記者 山下哲平)
Q.ドローンの「レベル4」って何? 何が変わる?
A.これまで操縦する人などから「目視できない範囲」でドローンを飛ばす時は「人がいない上空」に限られていましたが、「レベル4」になると都市部や住宅街など「人がいる上空」でも飛ばせるようになります。
ドローンの「飛行のレベル」は次の図のようになっていて、これまで「レベル3」まで可能でしたが、12月5日の改正航空法の施行で「レベル4」が制度上可能になるんです。
「レベル1」…目視できる範囲・操縦飛行
「レベル2」…目視できる範囲・自動 自律飛行
「レベル3」…目視できない範囲・無人地帯
「レベル4」…目視できない範囲・有人地帯 ★12月5日から解禁★
最も高度な「レベル4」は、国や産業界が「空の産業革命」と銘打ってきた、ドローンなどを活用する取り組みの大きな節目となり、活用の幅が大きく広がることが期待されています。
ドローンを開発しているメーカーからは「“ドローン元年”となり、爆発的な普及が進む第一歩となる」という声も上がっています。
Q.私たちの上空を飛ぶのはいつから?海外では?
A.解禁はされたものの、国内では飛行環境が整うまでに、まだ時間がかかるため、国は「レベル4」飛行が実現するのは早くても今年度内とみていて、サービスとして登場するのはさらに先になりそうです。
ただ、海外ではすでにグーグルの関連企業がアメリカやオーストラリアなどの一部の地域で、スマートフォンで注文した医薬品や日用品などをドローンで家の軒先まで届ける配送サービスを始めているほか、アマゾンもアメリカの一部の地域で年内にドローンを活用した配送サービスを開始する予定です。
当初は軍事目的で開発が進められてきたドローンですが、技術の進歩に伴いこれまでの「レベル3」までの段階でも、物流やインフラ点検、農業、災害救助などさまざまな場面で急速に活用が進んでいます。
「レベル4」飛行の導入が進んでいくと、空を見上げれば当たり前にドローンが飛んでいる…、そんな社会も遠くないかもしれません。
ドローンに詳しい東京大学の鈴木真二特任教授は次のように展望しています。
東京大学 鈴木真二特任教授
「日本でもまずは小さなドローンで仮に落下しても大きな被害が出ないような形で日用品や医薬品を運ぶことが実現するのではないか。5年10年たってより高いレベルで安全性が保証された機体が出てくればさらに幅広い使い方が出来るようになるだろう」
Q.人がいる場所での安全はどう担保されているの?
A.今回の法改正で国は新たに「機体認証制度」と「操縦ライセンス制度」を創設しました。
「レベル4」の場合、厳格に安全性を担保するとしてこれらが飛行の条件として求められます。
『機体認証制度』
これはドローンそのものの安全性を確保するための制度です。
機体メーカーの開発の際などにメーカーが申請をして故障が発生しても墜落しないかや想定していた飛行範囲を逸脱しないかなどが検査され、認められたものだけがレベル4で飛行できます。
『操縦ライセンス制度』
こちらは操縦する人が運航に必要な技術や知識があるか証明するためのものです。
実地試験や学科試験、身体検査が課され、これに合格して国家資格を得た人しかレベル4で飛行はできません。
試験の申し込みは12月5日からライセンスの種類に応じて段階的に開始されます。
この際、国に登録されたドローンスクールでの講習を修了していれば、実地試験は免除されます。
ドローンの活用が広がることを見据え、自動車学校などがこうしたスクールに参入してきています。
Q.ドローンメーカーや事業化目指す企業の動きは?
A.ドローンメーカーは「レベル4」に向け、より安全性の高い機体の開発を進めています。
このうち「ACSL」という都内のメーカーが開発を進めている機体では、万が一、部品が壊れても飛行を継続できるよう、位置情報を取得するGPS装置など重要な部品は2つずつ搭載されているほか、機体が一定以上傾くと自動的に飛び出すパラシュートが標準装備されています。
一方、航空会社やネット通販を手がける会社などは物流サービスの実現を模索しています。
このうち航空会社の「ANAホールディングス」では将来的には空港に運んだ荷物を飛行機では届けにくい離島や山間地にドローンで届けることなどを目指していて、これまで培った安全への知見を生かして実証実験を繰り返し、課題の洗い出しを進めています。
Q.万が一、人身事故や物損事故が起きた場合は?
A.事故が発生した場合、操縦者が責任を負います。
これまでも、事故の発生時に所有者などが特定できないケースが相次いだことから、ことし6月にはドローンの所有者などの登録を義務づける制度が始まっていて、12月5日からは事故があった際の国への報告も義務化され、違反した場合は罰則が科されます。
あわせて、重大なものについては、国の運輸安全委員会の調査対象となり、原因や再発防止策の調査が行われることになります。
また「レベル4」の場合は、国が飛行ごとに許可・承認を行う手続きのなかで、保険に加入しているかがより厳格に確認されるということです。
Q.そもそも今回の法律の対象となる「ドローン」とは?
A.国土交通省によりますと、法律の対象となっている「ドローン」は、100グラム以上の無人航空機のことで、構造上、人が乗ることができず、遠隔での操作や自動運航によって飛行させることができるものを指します。
具体的には、複数のプロペラを持つマルチコプターや、航空機のような構造のラジコン機、プロペラが1つの農業用ヘリコプターなどが該当します。
Q.今後、普及に向けて求められることは?
A.ドローンは、高齢化や人口減少、いわゆる「買い物弱者」やトラックドライバーの人手不足などの課題の解決につながる技術の1つとなり得る一方、安全な機体の開発や運航のノウハウの蓄積が日進月歩で進む新しい技術です。
また人がいる上空をドローンが飛ぶようになることで、騒音やプライバシー、情報の機密性の確保の問題なども指摘されています。
こうした点について、鈴木特任教授は次のように話しています。
東京大学 鈴木真二特任教授
「これまで飛行機が飛べない150メートル未満の低い空は鳥と電波しか飛んでない状況だったが、そこを自由に使いこなす手段としてドローンが活用される社会が訪れる。一方で、落下のリスクやテロなどに悪用されることも懸念される。ドローンの制御に必要な電波を乗っ取られたり妨害電波で墜落させられたりしないよう、技術的な保護も必要になる。ドローンを使うメリットとさまざまなリスクの両者のバランスをとりながら必要なところ、みんなが認めるところから活用していくとことが重要だ」
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違法操縦のドローン?運航に影響 空港脅かす「未知数の危険」の正体
10月の夜、神戸空港(神戸市)の上空周辺でドローンとみられる物体が目撃され、滑走路が一時閉鎖された。その後「物体」は見つからず、正体や飛行目的は分かっていないが、航空機周辺でのドローン飛行は「未知数の危険がある」と専門家は警鐘を鳴らす。
神戸空港を管理する関西エアポート神戸や国土交通省神戸空港出張所などによると、異変が明らかになったのは10月14日午後7時半ごろのことだ。
「着陸アプローチ中に上空でドローンらしきものを見た。鳥ではないと思う」
新千歳空港発のスカイマーク便のパイロットが、光を発する物体を滑走路付近の上空で見つけた。着陸後に管制塔へ連絡した。
午後8時過ぎには、滑走路付近の地上スタッフも上空のドローンらしきものを目視で確認し、滑走路の一時閉鎖が決まった。