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自治会は「入ったもん負け」? 結局ゴミは捨てられる…行政の自治会依存が増し「不公平感」も

自治会への入会を断る人が増えるなど、自治会員のなり手不足が問題となる一方で、ごみ収集や災害時の住民避難支援などで、行政が自治会への協力を求めるシーンは増加しています。 非加入者に比べ、負担ばかりが増える…自治会は今や「入ったもん負け」なのでしょうか。

 

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鳥取県米子市内のある地域。 月曜朝、市のごみ収集車が収集所にやって来ます。 この日はすべてのごみが回収されましたが、ごみの分別ミスなどにより、回収されないごみが、そのまま収集所に残されるケースも少なくありません。 地域の自治会員以外が出してしまったのか、指定ごみ袋以外の袋で出されるごみもあると言います。 残されたごみは、自治会の班長が責任を持って一旦回収。 班長に割り当てられた有料ごみ袋に入れ直すなどして、次の回収日に捨てています。 その一方で市内には、自宅前などにごみを出しておくと収集車が回収する、いわゆる「戸出し」の仕組みが残っている家や地域もあります。 この違いは何なのでしょうか。 米子市の担当者 「住宅が立て込んでいたりなど、ごみ収集所が設置できていない地域で、以前からの『戸出し』の仕組みが残っている場所もあります」 市では「戸出し」の解消に向けて地域との協議を進め、不燃ごみやペットボトルなどの回収場所からステーション化を進めていて、可燃ごみにも広げて行きたいとしています。 こうした中、ごみ収集所の使用をめぐり、自治会への加入・非加入に絡んだトラブルも存在します。 自治会が設置した収集所への非加入者のごみ捨てが断られるというケースもあり、こうした場合は、市が両者の間に立つなどして、トラブル解消に努めていると言います。 自治会に加入している男性は、次のように話します。 自治会員 「地域に引っ越してきた時、ごみ捨てのことがありましたので、自治会に入らなければと思い、入会しました。ただ、自治会に入らなくても、ごみがきちんと捨てられるなら、入会しないという選択肢もあったと思います」 自治会への入会を断る人が増えるなど、自治会員の成り手不足が叫ばれて久しい昨今。 例えば米子市では自治会加入率が2012年には65.5%でしたが、年を経るごとに低下し、5年後の2017年には62.4%に。 さらに5年後の2022年(4月30日時点)は58.5%と、6割を割り込みました。

「自治会は入ったもん負けだと感じる」…その理由は?

低下を続ける自治会加入率。 背景には「不公平感」が浮かび上がります。 自治会に入ると、役員や班長業務が定期的に回ってくるほか、一般の会員も市の一斉清掃や出水期前の用水路清掃などに参加しなければなりません。 地域に設置している防犯灯の電気代なども自治会費で負担している部分があると言いますが、もはやお金の問題ではないと、自治会役員経験者は話します。 自治会役員経験者 「自治会に入らなくても、ごみを捨てられ、行政サービスはもちろん受けられます。しかし自治会でやっている仕事は結局、自治会に入っていない人にも利益が及んでいて、仕事自体は自治会がやっている状況です。 今さら退会するのも角が立ちますし、自治会は今や入ったもん負けだと感じています」 以前は自治会に入らない人が少数派ということもあり、気まずさが勝ったと言いますが、最近は自治会加入を断る人も増えたことから、非加入であることに居心地の悪さを感じるシーンが少ないのではと話します。 地域のごみ収集所の中には、自治会メンバーが私有地を無償で提供している場所も少なくなく、こうした収集所の清掃や維持管理は、行政でなく自治会メンバーの担当です。 そのほか、半行政的な仕事を自治会が担っていることも多く、加入率の低下に反して、行政から背負わされる仕事は、共働きなども当たり前になる中、逆に負担が大きくなっている気がするとこぼします。 自治会役員経験者 「様々な仕事が自治会に降ってきて、責任をどんどん負わされている気がしています。自治会員が減り年寄りばかりになる中、メンバーだけで何とかするのは厳しく、そもそも行政的な仕事は行政がやってほしいというのが正直なところです」 その中でも近年、重要さを増しているのが、自治会の「防災組織」としての役割です。 大きな地震や水害などの際の初動対処として、自治会に求められる期待は増していて、自主防災組織の結成が奨励されています。 例えば鳥取県では他にも、県社会福祉協議会が支援する「災害時における支え愛地域づくり推進事業」があり、災害時に円滑に住民が避難するため、集落内での懸念などを記したマップ作りなどが取り組まれています。 これも実施主体は「自治会」で、自治会が問題意識を持って取り組まなければならない形となっていて、これまでに県内の自治会の3分の1に迫る901(2022年4月時点)自治会が実施しています。 自治会役員経験者 「自治会は集落全体のことをやらなければいけないのに、非加入者は常に受け身のままで同じサービスが受けられている状態です。 非加入の人は、そんなこと頼んでいないと言われるかもしれませんし、自治会の仕事に対して特にクレームなどは受けたことはありませんが、なぜ自分たちばかりが…と、不公平さは感じています」 「自治会」は今後どうあるべきなのか。 不公平感を解消するための策はあるのでしょうか。

山陰放送