ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
円急落、32年ぶり147円台後半
13日の外国為替市場で、円は対ドルで下落し、一時1ドル=147円台後半を付けた。1990年8月以来、32年ぶりの円安・ドル高水準となる。同日発表の9月の米消費者物価指数の伸びが市場予想を上回った。
米連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げを継続するとの見方が強まり、日米の金利差を背景とした円売り・ドル買いが進んだ。政府・日銀が9月に続いて円買い介入に踏み切るかが焦点に浮上している。
円相場は、日本が金融危機にあった98年8月に付けた安値の147円64銭を下回った。日本経済は91年にバブル崩壊を経験しており、その入り口となった90年以来の水準まで円の価値が落ち込んだ。
円は2021年末時点では1ドル=115円台で、今年だけで32円も円安・ドル高が進んでいる。
【関連記事】
朝日新聞
円安加速147円台後半、32年ぶり水準に 為替再介入に警戒感
13日のニューヨーク外国為替市場で円相場が一時、1ドル=147円台後半まで下落し、1990年以来32年ぶりの円安水準となった。米国が物価高騰を抑えるための利上げに踏み切った3月以降、円は対ドルで32円も下落。異例のペースで円安が進んでいる。
政府・日銀は1ドル=145円90銭まで下がった9月22日、急速な円安に歯止めをかけるため、24年ぶりとなるドル売り・円買いの為替介入を実施した。円安はこの時よりさらに進んでいて、再介入への警戒感が広がっている。
きっかけとなったのは、米労働省が13日発表した9月の消費者物価指数(CPI)。前年同月より8・2%上昇し、事前の市場予想(8・1%上昇)を上回った。特に、直近の変化をみやすい前月比では0・4%の上昇と加速。ガソリン価格の下落は続いているが、住居費の上昇幅が大きい。
激しいインフレを抑えようと、中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げを続けるとの見方から金利が上昇。一方で日本銀行は金利を低く保つ姿勢を維持しており、日米の金利差が広がることからドルを買い、円を売る動きが広がった。
円安には、輸出企業の業績を押し上げるプラスの効果がある一方、輸入価格の上昇を通じて企業や家計の負担を重くするマイナスの側面がある。ロシアのウクライナ侵攻以降、日本が輸入に頼る原油や穀物の価格が大きく上昇。急速に進む円安が輸入コストの上昇に拍車をかけ、食料品など様々なものの値段が上がっていて、政府や経済界では円安への懸念が高まっている。
今と同じ円安水準だった90年は、バブル景気末期。
財政と貿易の「双子の赤字」に苦しむ米国を救うため、各国がドル高を是正するため、協調介入することを決めた85年の「プラザ合意」の後、3年で円は1ドル=242円から121円まで急騰、日本は円高不況に見舞われた。
だが、日銀が円高不況対策で低金利策を取り、日米の金利差が開いたり、日本企業による海外への直接投資が増えドル買い需要が高まったりしたことで、89年から円安基調に転換。90年4月には160円台まで円安が進んだ。
当時の日銀の低金利策は景気を支え、日経平均株価は89年末の大納会で、終値の史上最高値となる3万8915円をつけた。一方で、地価を高騰させ、その後、バブルが崩壊。株価も暴落し、90年10月に2万円を割った。