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自民党政治の終わりは近い?

田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長

 

 

 衆院本会議に臨む細田博之衆院議長=国会内で2022年10月6日、竹内幹撮影

 

 7月末からおよそ2カ月間、私は腹部大動脈瘤(りゅう)感染除去・バイパス手術のため東京慈恵会医科大学付属病院に入院し、20時間に及ばんとする手術と10日間にわたる集中治療室での治療を含め文字通り「死線をさまよって」いた。幸い友人で血管外科の世界的名医、大木隆生教授が私の主治医で、全力で向き合ってくれたおかげで手術は成功し回復の途上にある。

 この間、内外情勢に大きな変化があった。特に、7月8日の安倍晋三元首相襲撃事件から今日に至る日本の政治状況には深刻な懸念を持たざるを得ない。冷戦後の自民党政治も終焉(しゅうえん)に入りつつあると見るべきなのかもしれない。

「信なくば立たず」

 要するに「信なくば立たず」である。

 

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題でも岸田文雄首相や自民党指導部の言は国民を納得させるには程遠い。大方の国民には、やはり自民党と旧統一教会の関係は深く、特に岸信介元首相から安倍元首相に至る系譜の中で相当深い持ちつ持たれつの関係があったのではないか、それが露呈することは自民党にとって著しく不都合であり、とにかく早く蓋(ふた)をすることに躍起となっているのではないか、と映る。

 

 細田博之衆院議長は三権の長である。

 

煮え切らない態度をとることにより細田氏個人の問題とともに、衆院議長の権威がおとしめられていくことに責任を感じるべきなのだろう。

 

細田氏は、自民党は圧倒的勢力であり、自身がかつて領袖(りょうしゅう)を務めた安倍派は引き続き権力の中枢にあり続け、野党やメディアがどう言おうと最低限の説明で逃げ切れる、そのうち事件は風化していくであろうと考えているのかもしれない。

 

 説明にならない説明を繰り返し、多くの事実が後追いとなっていく山際大志郎経済再生担当相も…