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旧統一教会と金銭授受があった国会議員30人リスト 教団への資金提供は「踏み絵」か

 

石破茂氏(時事通信フォト)

 

 岸田新内閣発足後も閣僚と旧統一教会との関係が次々と明らかになっている。議員らは信者からの選挙協力や、教会関連施設への訪問などを明らかにしているものの、問題はそれだけではない。教団側と「金銭的な協力関係」にあった議員が多くいることが判明。しかもその大多数が自民党の重鎮だったのである。

 

  【リスト、写真8枚】石破茂氏、下村博文氏らの名前がある旧統一教会や関連機関との間に金銭授受があった議員。他、カルト問題を取材する鈴木エイト氏、萩生田氏など

 

 

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  自民党の旧統一教会“汚染”は底なしの様相を見せている。 

 

 岸田文雄・首相が“絶縁宣言”をしたにもかかわらず、その後も自民党が7月の参院選に目玉候補として擁立した生稲晃子・現参院議員が萩生田光一・政調会長とともに教団の関連施設を訪れたことを認め、さらに“自民党のプリンス”と呼ばれる中曽根康弘・元首相の孫の康隆・代議士は昨年の総選挙前(2021年9月)に同教団の教会で開かれた「中曽根康隆衆院議員を励ます会」に出席したことを認めるなど、“カミングアウト”が相次いでいる。

 

  岸田首相は8月22日のオンライン会見で、「関係は断つよう徹底することは重要だ」と2回目の絶縁宣言をしたが、今度は首相自身に飛び火。後援会長が旧統一教会と関係がある団体の議長だと報じられ、「旧統一教会に関係しているという認識がなかった。そして同会議はやめられていると聞いた」と釈明に追われる始末だ。

 

  だが、自民党議員と旧統一教会の結びつきを批判する報道が溢れかえっているにもかかわらず、ほとんど掘り下げられていない問題がある。

 

  旧統一教会マネーと政界との関係だ。  安倍晋三・元首相の銃撃事件の犯人、山上徹也容疑者の家庭環境が明らかになるにつれ、同教団が信者から法外な高額献金を受け、家庭崩壊などの悲劇を生んできた実態が改めてクローズアップされて社会的批判が強まっている。

 

  旧統一教会問題を長く調査してきたジャーナリストの有田芳生氏は言う。 

「韓国を本拠とする同教団は日本の信者に、“戦前に韓国を併合した日本は罪の国で、日本人は罪を償うために韓国の教祖に寄附することで救われる”などという教義を説き、もっぱら日本の信者だけが高額な寄附や高価な品の購入を求められて、集めた資金が韓国に送られて教団を支えてきたと指摘されています」

 

  実は、政界にはそうした旧統一教会マネーと結びついている議員が少なくない。

 

カルト問題を取材してきたジャーナリスト・鈴木エイト氏がジャーナリスト・藤倉善郎氏協力のもと、旧統一教会と金銭の授受があった国会議員30人の実名をリストにまとめた

自民党が27人と圧倒的に多い

 

  このうち政治資金を教団に貢いでいた政治家が22人

安倍氏の元側近で、旧統一教会との数々の接点が浮上している前述の萩生田氏が政治団体や政党支部から世界平和女性連合に会費を支払い、

やはり安倍元側近の加藤勝信・厚労相も政党支部から世界平和女性連合に会費を支払っていた

 

政治資金で教団の活動を支えていることになる。  

鈴木氏は政治家から教団への資金提供の意味をこう語る。

 

 「政治家が会費を払うのは、“私は教団関連団体の活動を支持していますよ”という教団への意思表示になり、関係を強めることで見返りに選挙での支援を受けたいという思惑が透けて見える。

 

教団側は“あの先生も我々を支持してくれている”と信者に教団の影響力をアピールすることで結束を図ることができる。

 

さらに教団側は、その政治家が会費を払うかどうかで、どれだけ教団の票が欲しくて取り入ろうとしているかを見る試金石にもなるでしょう」  

 

会費の支払いは、旧統一教会側から“シンパ議員”と認められるための“踏み絵”の意味を持つとの指摘だ。

 

  政治資金を監視してきた上脇博之・神戸学院大学教授は別の視点から問題提起する。 

 

国会議員が政党支部から会費を支払っている場合、その原資の一部は政党交付金なので、事実上、国民の税金が議員を通じて旧統一教会側に流れていることになります」 

 

※週刊ポスト2022年9月9日号