■8/26(金) 15:33スポニチ

安倍元首相の国葬 萱野稔人教授は旧統一教会によるPR利用を懸念「国民の被害がまた大きく」

津田塾大教授で哲学者の萱野稔人氏が26日、日本テレビ系「情報ライブミヤネ屋」(月~金曜後1・55)に生出演し、安倍晋三元首相(享年67)の国葬開催について私見を語った。

 

「国葬をやることによって、これが旧統一教会に利用されてしまうんじゃないかという懸念がやっぱりある。“これだけの国葬を行うような大政治家から、私たち(教団)は常にメッセージを受けていたんだ”と」と、国葬実施が教団へのPRになってしまう可能性を指摘。「それこそ、国民の被害がまた大きくなってしまうんじゃないかという懸念があります」

 

 

 

 

 

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テレビ朝日

玉川徹氏、安倍晋三氏の国葬は「なぜ今回、国葬という形にするのか。現政権のためではないかと思ってしまう」

 テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・午前8時)は26日、安倍晋三元首相の国葬の費用がこの日にも閣議決定することを報じた。  国葬は9月27日午後2時から日本武道館で営まれる予定で最大で6400人程度の参列が見込まれている。 

 

 コメンテーターとして出演した同局の玉川徹氏は「なぜ今まで国葬にしなかった総理経験者の葬儀をなぜ今回、国葬という形にするのか?そこにひっかかるんです」と明かした。

 

  その上で疑問に感じるのは費用の問題ではなく「これは自民党のための国葬か?と思えてしまう。少なくとも現政権のための国葬ではないかっていうふうに思ってしまう」とし「そういうふうなことのために国葬っていうことを使われること自体が僕としては、あまりいいこととは思えない」とコメントしていた。

 

報知新聞社

 

 

 

 

今やタブー視の『世界日報』、公安調査庁が「破防法」申請の証拠に利用の過去

 

今やタブー視の『世界日報』、公安調査庁が「破防法」申請の証拠に利用の過去

 (作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)  立憲民主党が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と接点があった党所属の国会議員が14人いたことを公表したのは、23日のことだった。調査で新たに7人が判明した。いずれも統一教会との関係を認識していなかったという。  共同通信が全国会議員を対象としたアンケートで、関連団体のイベントに出席したり、選挙協力を受けたりしたことがあると回答した自民党所属議員は82人いたとされるが、立憲民主党にも2ケタの議員が統一教会と接点があったことを考えると、国政への浸透度は相当なものだ。

 

 ■ 「統一教会との関係、もっとよく調べるべきだった」 

 

 立憲民主党が公表した議員のうち、統一教会系の新聞『世界日報』の取材に応じていたのは4人。枝野幸男前代表が2006年に座談会記事、安住淳元財務相と福田照夫氏が10年にそれぞれインタビュー記事が掲載されていた。 

 

 さらに次期幹事長への就任が予定されている岡田克也元副総理は、自民党に所属していた1992年と旧民主党時代の2001年にインタビュー記事が、02年には座談会記事がそれぞれ掲載されていた。岡田氏は10日の時点で、「統一教会との関係をもっとよく調べるべきだった。弁解の余地はなく反省している」とのコメントを出している。

 

  『世界日報』をめぐっては、10日の内閣改造で留任した林芳正外務大臣が2012年に取材を受けていたことを認め、統一教会との認識はなかったと弁明。同じく入閣した加藤勝信厚生労働大臣や、日本維新の会の馬場伸幸共同代表、国民民主党の玉木雄一郎代表などもインタビュー記事が掲載されていたことが明らかになっている。

 

 『世界日報』は、反共を掲げる統一教会を反映するように保守系の色合いが強く、一方で統一教会に関する記事がほとんど載らないのが特徴でもある。とはいえ、取材依頼があった時点で、相手がどういう媒体なのか調べないとも思えない。『聖教新聞』や『赤旗』から依頼があっても、気前よく応じるのだろうか。

 

  その上で、岡田氏が1992年の掲載記事についてまで「反省している」としていることは、衝撃的でもあった。当時はすでに「霊感商法」という言葉が定着していて、有名女性歌手やタレントが「合同結婚式」に参加することで世間を騒がせていた時期でもある。にもかかわらず、その当時、『世界日報』と統一協会の関係は知らなかったとして、「私の政策を広く知ってもらう良い機会だと判断して応じた」などと述べている。

 

  90年代前半であっても、ちょっと調べれば『世界日報』と統一教会の関係はすぐにわかったはずだ。普段から様々なメディアとの付き合いがある国会議員なら、なおさらだ。  だが、このこと以上に、私の脳裏に浮かび上がってくるのは、90年代に日本のみならず世界を震撼させたオウム真理教に『世界日報』が影響を与えた出来事だ。

 

 ■ 公安調査庁が世界日報を「証拠」に 

 

 オウム真理教といえば、カルト宗教の代名詞とも言える。

1989年には「オウム被害者の会」の代表世話人だった坂本堤弁護士を一家もろとも殺害し、95年には地下鉄サリン事件を引き起こしているテロ組織であり、その間に教団内でリンチ殺人を繰り返していた殺人集団でもある。地下鉄サリン事件直後に警視庁による強制捜査が入り、数々の事件が白日の下に曝されることになるが、その後、政府は破壊活動防止法(破防法)に基づく解散指定を請求するための手続きをはじめた。暴力主義的破壊活動を行った団体に対して適用される措置で、指定されれば強制的に解散させられ、構成員は監視下に置かれる。「団体の死刑」とも呼ばれるものだ。

 

  公安調査庁は翌1996年1月から、東京拘置所に勾留中の教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)の弁明も含み、教団の弁明手続きを行い、公安審査委員会へオウム真理教の解散指定を請求している。 

 

 この手続きにおいて、公安調査庁が証拠として示したものが、全国紙に混ざった『世界日報』の記事だった。

 

 

 公安調査庁は1994年6月に発生した松本サリン事件を基軸に、暴力主義的破壊活動を行ったことを証明しようとして、事件を報じる関連記事を集めていたが、そこに強い論調で批判する『世界日報』のものが複数あったのだ。 

 

 これには、統一教会に向かった世間の厳しい視線をオウム真理教に変える意図があったという論評もあったが、公安調査庁が『世界日報』と統一教会の関係を知らないはずはなかった。毒をもって毒を制すつもりだったのかも知れないが、客観性や立証の精密さに首を傾げたくなった。ましてや、昨今の世論や政治家の態度からすれば、社会的問題の指摘されていた統一教会の関連団体である『世界日報』を公安調査庁や法務省が利用していたことは、もはや歴史の汚点だ。

 

 ■ 破防法適用を免れ、息を吹き返した「オウム真理教」

 

  基本的人権との兼ね合いから破防法の存在そのものに反対する論調も強く、オウム真理教といえども同法の適用は反対とする声は大きかった。

 

  結局、1997年1月に、公安審査委員会は解散処分の請求を棄却している。  これで調子にのったのが、オウム真理教だった。教祖や幹部の多くが逮捕、起訴されて次々に事件が発覚したにもかかわらず、残った信者たちが、「まだオウムやってます」とプラカードを掲げて、白昼の繁華街で踊るパフォーマンスをしてみせたり、東京の秋葉原で正体を隠したパソコンショップを経営しはじめたりした。教団が新しい活動拠点を取得しては、各地の住民と軋轢を生み、激しい追放運動も相次ぐ。あまりの傍若無人ぶりに日本中が憤慨して、たちまち社会問題化した。オウム真理教を追及してきた女性ジャーナリストの江川紹子は、破防法の適用に反対しておきながら、ここに至って「オウムは復活している」などとほざく有り様だった。

 

 そこで1999年12月に国会で成立したのが、事実上の「オウム新法」としての「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(団体規制法)だった。公安調査庁長官の請求により、公安審査委員会は観察処分を決定する。観察処分の対象となった団体は、公安調査庁による立ち入り検査を受けたり、信者の名簿や施設、資産を報告したりしなければならない。観察処分は3年ごとに見直されるが、現在ではオウム真理教の後継団体として、麻原への絶対的帰依を強調する主流派の「Aleph(アレフ)」と、事件当時の教団のスポークスマンだった上祐史浩氏が率いる「ひかりの輪」、それに主流派と一定の距離を置き独自の活動を続ける「山田らの集団」に分かれ、この3つが観察処分の対象になっている。ここに約1650人が構成員として残る。

 

 しかも、この団体が保有する資産(現金、預貯金、貸付金)は、13億円にのぼる。毎年数千万円から1億円近く増え続け、2019年10月末に公安調査庁に報告した資産は12億9000万円だった。ところが、事件の被害者・遺族に対する賠償金の支払い義務が10億2000万円あるにもかかわらず、アレフは支払っていない。その上、ここ数年は資産を含む報告義務を果たさなくなり、立ち入り検査にも、検査官からの質問に構成員が無視したり、「答える義務はない」「見てのとおり」とだけ答えたりするなど、非協力的な姿勢をとっていると報告されている。かつての強硬的な先祖返りが見てとれる。 

 

 オウム真理教の破防法による解散処分を請求した当時の公安調査庁には、解体も含めた組織の見直しの声があがっていた。それがオウム真理教の台頭と団体規制法ができあがったことで、公安調査庁に活躍の場が広がって今日に至る。だが、後継団体の法律を無視した挑戦的な姿勢は報告にあるとおりだ。 

 

■ まさか「反省してます」「縁を切りました」で終わりか  あの時、破防法による解散が成立していれば、このような禍根を後世に残すこともなかったのではないか。それが棄却の要因とは指摘できないが、『世界日報』などを使わずに、もっと的確な立証方法があったのではないか。いまになって統一教会と政界の関係の見直しが進み、『世界日報』に載ったことすら「反省」の材料となるのだから、なおさら悔やまれる。 

 

 岸田文雄首相は24日の記者会見で、あらためて統一教会と自民党との関係見直しについて、こう述べている。

 

  「従来から各議員がそれぞれの旧統一教会の関係等について明らかに説明をし、そしてそれに基づいて厳正に対応を見直す、こうした指示を行ってきたところでありますが、自民党においては、その社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たないことについて、党のガバナンスコードに盛り込むとともにチェック体制を強化すべく検討を進めているところです」

 

  自民党も立憲民主党も、国会議員と統一教会との過去の関係を洗い出して「反省してます」「縁を切りました」で、終わらせて済むことではないはずだ。

関係を絶ったところで、「社会的に問題が指摘されている団体」というより「カルト」を国民の間に野放しにしておいていいはずがない。統一教会をめぐる問題は、オウム真理教が社会に牙を剥くよりも以前の1980年代から指摘されてきたことだ。抜本的な法的措置や解決策が求められる。

 

  ただ、そこで統一教会も公安調査庁の監視対象となるようなことがあれば、それこそ失笑ものだ。先祖返りするかつてのオウム真理教も含めて、すべての遺恨はここで断ち切るべきだ。

青沼 陽一郎