ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
文春オンライン
元電通専務“捜査報道”直後に…五輪組織委が「300人バーベキュー」《現場写真を入手》
快晴の空の下、ジョッキでグイッとビールを流し込む男性。マスクを顎にずらし、白い歯を見せて語り合う若い男女。7月23日、東京・国立競技場近くのビアガーデンで、BBQパーティーが開かれていた。ある男性のポロシャツの背中には「TOKYO2020」のロゴ。参加者は、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の元職員たちだ。
【画像】「TOKYO2020」のロゴ入りポロシャツを着た参加者も
◆ ◆ ◆
東京五輪の開幕から1年、節目の日を祝いたかったが…
橋本聖子元会長
「当日は正午から午後2時まで会場貸し切り。参加者は300人以上いたと思います。子ども連れも多く、みんなでビールを飲んで肉をつついて、楽しい会でした。組織委の元幹部や、会長だった橋本聖子氏も参加していました」(参加者) この日は、東京五輪の開幕からちょうど1年となる節目の日。新型コロナウイルスの感染拡大で開催が1年延期となるなど紆余曲折を乗り越えた元職員たちとしては盛大に「記念日」を祝いたかったところだろう。だが、現場には若干の後ろめたさが付きまとっていた。
「事前に幹事から、LINEで『公式ユニフォームは着てこないでください』と送られてきた」(別の参加者)
「週刊誌にばれたら大変だね」という声も出ていた
当日、ビアガーデンの入り口付近ではスタッフが厳しく目を光らせ、後から会場に入ろうとする人には参加者名簿を手に名前を問いただす厳戒態勢。ごく数人の参加者が五輪ロゴ入りシャツを着てきてしまったのを除けば、五輪要素はひた隠しにされた。 せっかくの記念BBQに、なぜここまでナーバスに? 「1つはコロナの『第7波』です。東京都内の新規感染者は連日3万人を超え、飲食を伴う会合を制限する企業もあった。『週刊誌にばれたら大変だね』という声も出ていました」(同前)
ナーバスになったもう一つの理由
とはいえ、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ていたわけではない。より大きかったのは、もう一つの理由の方だ。 「直前の20日に読売新聞が1面トップで、東京地検特捜部が組織委理事だった高橋治之元電通専務を捜査していることをスクープしたんです。自身が代表を務める会社と大会スポンサーだった紳士服大手『AOKIホールディングス』側の間でコンサル契約を結び、4500万円を受領していた疑いを詳報。いったいどうなるんだろうね、と心配する声も会場ではあがっていた」(同前)
組織委の理事は「みなし公務員」であり、事実なら収賄で立件される重大疑惑だ。以降、全メディアが“五輪の闇”を巡り狂騒状態に(※高橋氏は8月17日に受託収賄容疑で逮捕)。
なんとも間の悪い時に開かれた盛大なBBQ。その3日後から、特捜部は高橋氏の自宅や電通など関係先を4日連続でガサ入れ。元組織委も当然捜査の対象となり、27日に清算法人に家宅捜索が入った。
主催者も判然としない謎のBBQ
出席して場を盛り上げた橋本氏の事務所に聞くと、 「知人に誘われて立ち寄りました。お茶を口にした記憶はありますが飲酒はしておらず、食事もしていない」
元理事が捜査を受けている現状について聞くと、こう答えた。 「多くの皆様のご努力で開催することができたオリンピック・パラリンピック東京大会でありますので、こうした疑惑が後から出てくるというのは非常に残念です。捜査にはできる限り協力する所存です」 組織委の清算法人にBBQについて聞いたが「関知していない」と答える。主催者も判然としない謎のBBQ。費用は一体誰が……。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年8月11日号