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組織委元理事・高橋治之容疑者逮捕でハッキリ…2030年札幌五輪招致も電通支配の現実
逮捕された東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(C)共同通信社
東京五輪2020で組織委員会の理事を務めた高橋治之氏(78)が汚職事件で逮捕され、改めてクローズアップされているのが大手広告代理店の電通の存在だ。
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逮捕容疑は、大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」から計5100万円の賄賂を受け取ったとする受託収賄だが、ほかにも電通元専務の高橋容疑者が代表を務める会社に、AOKI側から約2億3000万円もの資金が古巣電通の関連会社を通じて渡ったことも明らかになっている。
疑惑は底なしだが、スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は「東京大会そのものが電通のための五輪と言っていい」とこう続ける。
「東京五輪の招致を巡っては、関係者や日本企業100社以上を集めてパーティーを開催したが、その主催も電通。組織委には150人以上もの電通社員を送り込み、IOC(国際オリンピック委員会)との調整役も担っていた。
五輪を完全に掌握していたといえます。
森喜朗元組織委会長も『電通に任せるしか手はない』『そのためには高橋氏を理事に据えることでうまく機能する』と考えた。
AOKIの問題は氷山の一角です。
電通が繰り広げてきたマネーゲームのごく一部に過ぎません」
東京五輪で組織委の“専任代理店”となった電通は、五輪史上最高額の3761億円の国内スポンサー料をかき集めた。
「1業種1社制」の原則を撤廃。
計68社と契約を結んだが、そのスポンサーの業種の選定、スポンサー料の設定もすべて電通が主導した。
■「五輪は電通の力を借りないと無理」
五輪と電通の歴史は長く、1984年ロサンゼルス五輪にまで遡る。 「『商業五輪』の幕開けとなったそのロサンゼルス五輪で、電通が日本企業とIOCをスポンサーとして繋げた。
一時期はJOC(日本オリンピック委員会)が電通の独占に反発してJOM(ジャパンオリンピックマーケティング)というJOC独自の組織を設立したがうまくういかず(2001年に)解散。
結局、電通の力を借りないとできないことが分かってしまった」(前出の谷口氏)
東京2020組織委のマーケティング局長も電通からの出向社員。
開閉会式も聖火リレーも電通の“仕切り”で、白紙撤回された当初の大会エンブレムの選定も、16年リオ五輪閉会式で行われた引継ぎ式の演出も同様である。
「電通が培ってきた巨大スポーツイベント開催のノウハウ、人脈、特に国際競技連盟との関わり方は並じゃない。それは、招致活動が進む2030年札幌五輪でも発揮されている。
高橋氏の逮捕で五輪汚職の事実が明らかになった今、いますぐ札幌招致は“返上”すべきです」(谷口氏)
JOCの山下泰裕会長は「(札幌の招致に)影響が出ないように、これまで以上に全力を尽くしていくしかない」などと話しているが、のんきなことを言っている場合ではない。
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