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◆国葬の矛盾                  鎌田 慧(ルポライター)

 毎回書くのは気が引ける。でも安倍元首相の国葬強行は認めることができない。
 まったく尊敬できない人物の死を悲しみなさい、崇拝しなさい、と強制されるのは侮辱以外のなにものでもない。心に重いしこりとなって残っている。
 それが自分だけの感情だったならまだしも、共同通信の世論調査では53%が国葬反対という人物なのだ。

 旧統一教会とのトラブルを巡る殺人事件。しだいに明らかになってきたのが、旧統一教会と自民党主流派である清和会(安倍派)との関係だ。安倍氏の祖父岸信介氏と旧統一教会教祖の文鮮明氏との関係は深く、安倍氏が文氏の妻で、現在の教祖・韓鶴子氏が韓国で開催したイベントに送った、賛同のビデオのメッセージを見て、家庭生活を破綻させられた山上容疑者が激高した、と伝えられている。

 政権党との近さを利用し新興宗教が信者を拡大する。信者たちは選挙支援を通じ政治家を取り込む。
 この醜い共存関係に対して「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は昨年9月、安倍氏に公開抗議文を送っていた。
 銃撃事件は関係のひとつの結末だった。
 岸田政権が党内政治の強化に利用する、この理不尽は許せない。
 

 

 来たる16日(火)午後6時。新宿駅西口一階。
 「安倍『国葬』やめろ!緊急集会」とデモを開催する。
 呼びかけ人は落合恵子、佐高信、澤地久枝、鎌田。
      (8月9日「東京新聞」21面「本音のコラム」より)