アベノミクスが経済危機の最大要因
この物価上昇は一過性ではない。
ウクライナ戦争は終わらないし、新型コロナウイルスの感染拡大の波は何度も襲ってくる。資源や食料の高騰は収まらないだろう。
競争力が著しく低下した日本は輸入額増大をカバーする地力がない。
今年1~6月の貿易赤字は過去最大の7.9兆円に膨らみ、ドル需要に対して、ドルを稼ぐ力はない。
日本売りは止まらない。
国葬どころでは、もうゴマカシはきかないだろう。
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公開日:
金子勝の「天下の逆襲」
民主主義の破壊「国葬」でアベノミクス批判は封じ込められない
岸田政権は銃撃された安倍元首相の「国葬儀」を9月27日に日本武道館で行うと閣議決定した。全額国費負担、つまり血税で賄うことも決まった。岸田首相は銃撃事件を「民主主義への挑戦」と言うが、国葬は民主主義の破壊である。
まず、法的根拠が乏しい。戦前は国葬令があったが、1947年に失効した。岸田は国の儀式は内閣府が行う事務だと定めた内閣府設置法を根拠としているが、所管事項に国葬は書かれていない。従って、規定も基準もない。野党が反対するのは当然だ。
安倍は閣議決定で集団的自衛権の行使を容認し、野党が繰り返し求めても臨時国会を開かず、モリカケ桜事件では山ほど嘘をつき、公文書改ざんをめぐっては死者まで出た。にもかかわらず、国民の税金を投じて弔う。国会で何ら議論せず、閣議決定で強行するのは民主主義に反している。山際経済再生相が参院選で「野党の話を政府は聞かない」と口を滑らせた通りになっている。
この間、岸田は、国会審議なしに執行できる今年度予算の予備費を含む5.5兆円を使って「インフレ対策」をやっているが、これもまた憲法上の財政民主主義を踏みにじっている。何よりも悪質なのは国葬のタイミングだ。
9、10月は、もはや何度目かわからない値上げラッシュに見舞われる。急速な景気後退により、世界で日本が真っ先にスタグフレーション化する恐れがある。FRB(米連邦準備制度理事会)は今週のFOMC(連邦公開市場委員会)に続き、9月の会合でも利上げに動く公算が大きい。かたや金融緩和に固執してきた日銀の黒田総裁は打つ手なしで金利を全く引き上げられず、円売りがさらに加速する可能性がある。
まさにその時、メディアは国葬一色となり、アベノミクスが経済危機の最大要因であるという事実は覆い隠されることになる。国葬は安倍の負の遺産であるアベノミクスへの批判を封じるため。政治的悪用のにおいがプンプンする。
この物価上昇は一過性ではない。
ウクライナ戦争は終わらないし、新型コロナウイルスの感染拡大の波は何度も襲ってくる。資源や食料の高騰は収まらないだろう。
競争力が著しく低下した日本は輸入額増大をカバーする地力がない。
今年1~6月の貿易赤字は過去最大の7.9兆円に膨らみ、ドル需要に対して、ドルを稼ぐ力はない。
日本売りは止まらない。
国葬どころでは、もうゴマカシはきかないだろう。