3度の大規模水害は、人災です。
治山治水は、国家のかなめ(最も大切な部分。要点。)です。
自公政府と国土交通省が、法の支配を実現せず憲法違反の民営化を強行した結果です。
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河北新報
3度の大規模水害「人災だ」 名蓋川決壊 大崎、かさ上げ手つかず
「どこから手を付けたらいいか…」。浸水した作業場を見て嘆く高橋さん=17日午前8時ごろ、大崎市古川矢目
記録的な大雨で名蓋(なぶた)川が決壊し、広範囲で冠水した宮城県大崎市古川矢目(やのめ)地区では17日、住民が自宅の片付け作業を始めた。水が徐々に引き、堤防の決壊は少なくとも4カ所あることが判明。7年間で3度という頻度で大規模水害に見舞われた住民からは「これは人災だ」との声が上がる。(大崎総局・村上浩康)
「これは天災じゃない。人災だ。防げた。悔しい」 約50軒が集まる矢目地区行政区長を2015年から務める奥山茂美さん(67)は、住民の思いを代弁する。15年9月の関東・東北豪雨、19年10月の台風19号、そして今回の水害は全て任期中に起きた。近年の世界的な異常気象があるとはいえ、堤防に問題があることは明らかだった。
今回、県は左岸、右岸の計2カ所と発表しているが、奥山さんらの調査で両岸の2カ所ずつ計4カ所が破堤していることが分かった。他にも決壊寸前の場所が複数ある。「堤防のかさ上げを要望しても、行政は『原状復旧しかできない』の一点張り。しゅんせつなどメンテナンスもしないから雑木に草がたまり、弱い堤防をさらに弱くしている」と語る。
過去2回の水害後、同じ大崎市内で被害を出した吉田川、渋井川と比べ、名蓋川の強化は放置されてきたとの思いが拭えない。「今回は集落を去る住民も出てくる。『年も年。もう駄目だ』と言われた。小さい川、小さい集落と見捨てられては限界集落になる」と嘆く。
長かった雨が上がり、自宅の片付けに汗を流していた団体職員日野誠慈さん(62)は「ここに住んで約60年間なかったことが、7年で3回。五輪より周期が短い」。努めて明るい口ぶりで疲れを紛らわせる。 被災も、復旧作業も3度目だ。「片付けてリフォームしての繰り返し。家具も衣類も駄目になる。最初は異常気象で納得した。2回目は疑問だった。3回目は防げたんじゃないか」 隣家の農業高橋清市さん(70)は、妻と娘の3人で自宅前に止めた車で過ごす。19年の被災後、畳をフローリングにリフォームしたばかり。さらに今回は敷地内の作業場にあったもみの乾燥機などが水に漬かったことがショックだ。
水田と大豆畑も泥水に沈んだ。「明日にでも水が引けばまだいいが、収量はだいぶ落ちるかもしれない」。折からの米価下落に加え、今後の病気や虫の発生が気掛かりだ。 久しぶりの青空が暗転し、17日午後は急な雷雨が襲った。住民の不安は続く。
河北新報
世界農業遺産「大崎耕土」が一面濁流 宮城・大雨、名蓋川決壊に住民ぼうぜん
名蓋川が決壊し、冠水した大崎市古川の矢目地区=16日午後2時35分ごろ
世界農業遺産「大崎耕土」を豊かに潤す川が、またしても無情な牙をむいた。16日朝に名蓋(なぶた)川が決壊し、警戒レベル5に当たる「緊急安全確保」が発令された宮城県大崎市古川矢目(やのめ)地区。住民はなすすべなく、猛威が過ぎ去るのを祈るしかなかった。
名蓋川は2015年関東・東北豪雨で左岸、19年台風19号で右岸が決壊。今回は左岸の別の場所が破れたとみられる。濁流は一帯に広がる水田や大豆畑などを瞬く間にのみ込み、浸水する住宅も相次いだ。
「3年前よりひどい」。会社員本田清二さん(64)の自宅では早朝、急に水位が上昇し床下まで迫った。19年の台風19号は、水が引いた後も流れ着いた大量の稲わらに悩まされた。「壊れた場所を直しても堤防は弱いまま。要望しても、担当が市だ、県だと…。何とかしてほしい」と嘆く。
近所の会社員遠藤直樹さん(45)は「水位は全く引かず、むしろ上がっている。今晩、また雨が強く降ればどうなるのか」と警戒する。市によると、下流の排水機場が水に漬かって使えないため、浸水解消のめどは立っていないという。
避難所の公民館に身を寄せる住民がいる一方、「公民館までの道も冠水して戻れなくなる」(70代女性)と、自宅にとどまる人も。 ただ、浸水で電気やトイレが使えないなど被害の長期化も懸念されたため、消防署員は16日午後、新たに避難を望む人を救助。高齢の女性は「猫がいるから」と自宅に残っていたが、避難するよう説得された。胸まで水に漬かり、助け出された。
大崎市では渋井川、田尻川も氾濫危険水位まで増水し、周辺住民に避難が呼びかけられた。土砂崩れも多発。岩出山下野目では普段は水量の少ない蛭沢川で、橋が折れ曲がり崩落した。近くに住む女性(76)は「ドスン、ギーギーと聞いたことのない音がした。橋が落ちるとは思わなかった」と驚く。 大崎耕土の田園地帯だけではなく、同市古川の中心市街地も内水氾濫で冠水した。数年ごとに水害が起き、もはや常態化した異常気象。鎮める手だてが追い付いていない。 (村上浩康、阿部信男、庄子徳通)
■毎日新聞 2022/7/16 22:11(最終更新 7/16 22:12)
道路冠水「車止まるかも」 和歌山・潮岬で大雨、1時間71.5ミリ
前線や低気圧の影響で大気が不安定となり、和歌山県串本町の潮岬では16日午後5時31分までの1時間に71・5ミリの降水量を観測した。
同町では午後6時ごろ、海岸沿いを走る国道42号の一部が冠水した。車を運転していた男性は「あんな大雨を経験したのは初めてだった。車が止まるかも、と思い怖かった」と話した。
■毎日新聞 2022/7/16 08:41(最終更新 7/16 14:21)
宮城県で記録的大雨 松島町と大崎市で「緊急安全確保」発令
低気圧と前線の影響で、宮城県では15日夜から16日未明にかけて記録的な大雨が降った。気象庁によると、東松島市と松島町、大郷町ではレーダー解析で1時間に約100ミリの猛烈な雨を観測した。松島町は16日午前2時ごろ、警戒レベルで最も高いレベル5の避難情報「緊急安全確保」を町内全域に出した。消防によると、仙台市太白区で15日夜、40代男性が大雨の影響でマンホールに足をとられて軽いけがをした。
松島町によると、土砂崩れの報告が相次ぎ、一部の道路で車の通行ができなくなっている。また、床上浸水している家屋もあるという。大崎市では名蓋川の堤防が決壊したとして、16日午前6時半に一部地区(62世帯175人)に緊急安全確保を発令。消防が道路の冠水で車から出られなくなった2人を救助した。
仙台市は16日午前8時過ぎ、土砂災害の恐れがあるとして青葉、泉、宮城野の3区の一部計10万6875世帯(21万232人)に避難指示を出した。
気象庁は、17日にかけて西日本から北日本の広い範囲で非常に激しい雨が降る恐れがあるとして、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重な警戒を呼びかけている。
雨が強く降る中、駅前で雨宿りする人たち=岩手県一関市で2022年7月16日午前11時43分、山本晋撮