大崎事件 第4次再審請求 鹿児島地裁 再審認めず
2022年6月22日(水) 12:21南日本放送
殺人の罪などで服役した原口アヤ子さん(95)が、無実を訴え、再審=裁判のやり直しを求めている大崎事件の4度目の再審請求について、鹿児島地方裁判所は22日裁判のやり直しを認めない決定を出しました。
大崎事件は1979年、大崎町の牛小屋で(当時42)の男性が遺体で見つかったもので、義理の姉の原口アヤ子さん(95)ら親族4人が逮捕されました。
原口さんは殺人の罪などで10年間服役しましたが、一貫して無実を訴え、おととし3月、鹿児島地裁に申し立てた4度目の再審請求で弁護団は、新しい証拠として救命救急医の医学鑑定などを提出。男性は事故死だったなどと主張していました。
22日の決定で鹿児島地裁は「男性が殺害時刻よりも前に事故による出血性ショックで死亡していたとする鑑定は決定的とはいえず、確定判決を否定できるものではない」として請求を棄却。裁判のやり直しを認めませんでした。弁護団は即時抗告し、高裁での審理を求める方針です。
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原口さん先週95歳に
生きて無罪判決を!
「検察は『抗告』を行うのではなく、不服があるなら再審の法廷の場で主張すべき」
取り調べを全面可視化せよ!
弁護団は今回の再審請求で、「男性の死は殺害されたのではなく、自転車の事故に起因するもの」と主張し、救命救急医の澤野誠医師の鑑定書を新証拠として提出していました。
鑑定書では、男性が自転車ごと溝に落ちて首を痛め、救助される際にダメージが加わったことなどによる事故死としており、弁護団は、原口さんが男性を見た時には既に亡くなっていたと指摘。男性を「殺害した」という確定判決の認定が成立しないと主張。
弁護団の説明によると、検察側は、法医学が専門の医師による鑑定をもとに反論。弁護団が主張した、首の損傷は軽度で、男性の死亡の原因には当てはまらないなどと指摘していました。
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■6/22(水) 10:29MBC南日本放送
大崎事件 第4次再審請求「認めず」原口アヤ子さん(95)一貫して無実訴え 弁護団「戦い止めるわけにはいかない
43年前、鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった大崎事件で、殺人の罪などで服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている4回目の再審請求について、鹿児島地方裁判所は21日午前10時、裁判のやり直しを認めない決定を出しました。 大崎事件は1979年、大崎町の牛小屋で当時42歳の男性が遺体で見つかったもので、義理の姉の原口アヤ子さん(95)ら親族4人が逮捕されました。原口さんは殺人の罪などで10年間服役しましたが、一貫して無実を訴え、裁判のやり直しを求めていました。おととし3月、鹿児島地裁に申し立てた4度目の再審請求で弁護団は、新しい証拠として救命救急医の医学鑑定書などを提出し、男性は事故死だったと主張しました。
きょうの決定で鹿児島地裁は、原口さんの裁判のやり直しを「認めない」とする決定を出しました。 午前10時すぎ、弁護団は「不当決定」と書いた紙を持ち、裁判所の正面から出てきました。弁護団の鴨志田祐美弁護士は「許しがたい。戦いをやめるわけにはいかない」と述べました。
【事件をめぐる経緯は…】
1979年10月。当時42歳の男性が牛小屋の堆肥の中から遺体で見つかった大崎事件。男性の義理の姉、原口アヤ子さんら親族4人が男性の首をタオルで絞めて殺害し、遺体を牛小屋の堆肥の中に遺棄したとして逮捕されました。 原口さんは捜査段階から一貫して無実を訴えましたが、共犯とされる親族3人の「自白」などを根拠に懲役10年の有罪判決を受け服役しました。
(原口アヤ子さん・当時)
「本当に何もやっていないのに、こんな長く罪を着せられて」
出所後の1995年、67歳の時、鹿児島地裁に1回目の再審請求をしました。 (共犯とされた男性の声・1985年録音のテープ) 「やってないんですよ自分は。一歩も家から出なかった。その晩は。刑事さんが『出た出た』と言った。出てないですけど」 弁護団は「共犯者」とされる親族3人には知的障害があり、自白は「警察に強要されたもので信用性はない」などと主張。
そして、2002年、鹿児島地裁は裁判のやり直しを認める決定を出しました。 (原口アヤ子さん・当時)「本当に良かった。安心しました、うれしくて」 しかし、鹿児島地検が不服を申し立てる「抗告」を行い、裁判のやり直しは高裁で取り消され、最高裁も請求を棄却。2010年、2回目の再審請求をしましたが地裁、高裁、最高裁といずれも再審を認めませんでした。
【弁護団「他殺ではなく事故死」】
確定判決によりますと、男性は酒に酔って自転車ごと道路わきの側溝に転落。近くの住民2人に救助され、軽トラックの荷台で自宅まで運ばれました。その後、午後10時半ごろに首を絞めて殺害され、死因は窒息死とされています。 2015年の3回目の再審請求で弁護団は「死因は『窒息死』ではなく、自転車事故による『出血性ショック』で、自宅に運ばれた時にはすでに死亡していた」とする法医学鑑定を新証拠として提出。地裁、高裁はこれを支持しました。 しかし、最高裁は「死因が出血性ショックの可能性はあるが、死亡時刻は分からず、自宅到着時に死亡していたとまではいえない」として請求を棄却しました。 これを受け弁護団は、4回目となる今回の再審請求で「殺害時刻とされる午後10時半より前に、すでに自転車事故が原因による出血性ショックで死亡していた」とする救命救急医による新たな医学鑑定を提出。 「他殺ではなく事故死」と改めて主張。「事故死の可能性」を補強するため、映画監督の周防正行さんが供述調書などをもとに制作した映像も提出しました。 また、「救助した住民2人の“生きていた男性を自宅に運び入れた”という供述は虚偽である」とする心理学の専門家などによる鑑定書も提出しました。
(弁護団 鴨志田祐美弁護士)
「最高裁がダメ出しした『死亡時期ハッキリしない』という点に答えを出す新証拠をたずさえて、今の再審請求をしている。
アヤ子さんが笑顔を作れるうちに無罪までもっていく」 一方、弁護団によりますと、検察は「死亡時刻に関する新証拠は、43年前の司法解剖の際の写真12枚をもとに鑑定したもので、証明力がない」として請求の棄却を求めていました。
【原口さん先週95歳に 親族「死ぬ前に無罪を」】
先週95歳になった原口さんは、2度の脳梗塞でしゃべることができず、鹿児島県内の病院に入院中で、親族らは1日も早い裁判のやり直しを求めています。
(原口さんの親族)
「原口さんは絶対していないと思う。あの人の人生って何だろうかと」
(原口さんの親族)
「これだけ頑張って『してない』という人を、ただの1度も話を聞こうとチャンスを与えてくれないのは、むごいこと。死ぬ前に絶対に無罪を与えてあげたい」 大崎事件では、これまでに地裁で2回、高裁で1回のあわせて3回再審が認められましたが、いずれも検察が不服を申し立てる「抗告」を行い、再審開始に至っていません。
専門家は「検察は『抗告』を行うのではなく、不服があるなら再審の法廷の場で主張すべき」と再審制度の課題を指摘します。
(鹿児島大学 中島宏教授(刑事訴訟専門)「『再審』はもともと無実の人が刑を受けてしまう、これによって生じる人権侵害を回復する救済する、そういう仕組みとして制度的に位置付けられている。
検察がやみくもに抗告するのではなく、裁判所の指摘を受け止めた上で、しかるべき決断をすることが期待されている役割」 4回の再審請求という異例の経緯をたどってきた大崎事件。鹿児島地裁の判断は「再審認めず」でした。
■6/22(水) 10:03KKBニュース
【速報】大崎事件第4次再審請求 請求を棄却
鹿児島県大崎町で1979年、男性(当時42)の遺体が見つかった「大崎事件」で、鹿児島地裁は22日、殺人などの罪で服役した原口アヤ子さん(95)の4度目の再審請求を棄却する決定をした。 大崎事件は1979年、男性が自転車ごと深さ約1㍍の溝に転落し、3日後に牛小屋のたい肥の中から遺体で見つかって発覚。鹿児島県警は義姉の原口さんと、原口さんの当時の夫ら親族3人を殺人や死体遺棄容疑で逮捕した。
原口さんは捜査段階から一貫して無罪を主張。しかし、鹿児島地裁は1980年、親族3人の自白などを踏まえて、懲役10年を言い渡し、81年に確定した。
確定判決では、近所の住民2人が、酒に酔って溝に落ち、路上に倒れていた男性を軽トラックで連れ帰った後、泥酔している様子を見て日頃の恨みを募らせた原口さんや、親族が共謀して、男性の首を絞めて殺害したなどと認定した。
原口さんは出所後の1995年に1回目の再審を請求。過去3回までの再審請求では、地裁が2回、高裁が1回、再審開始を認める決定を出していたが、最高裁などが退けていた。
再審を求めることができるのは、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」と規定されている。弁護団は今回の再審請求で、「男性の死は殺害されたのではなく、自転車の事故に起因するもの」と主張し、救命救急医の澤野誠医師の鑑定書を新証拠として提出していた。
鑑定書では、男性が自転車ごと溝に落ちて首を痛め、救助される際にダメージが加わったことなどによる事故死としており、弁護団は、原口さんが男性を見た時には既に亡くなっていたと指摘。男性を「殺害した」という確定判決の認定が成立しないと主張していた。 弁護団の説明によると、検察側は、法医学が専門の医師による鑑定をもとに反論。弁護団が主張した、首の損傷は軽度で、男性の死亡の原因には当てはまらないなどと指摘していた。