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毎日新聞
詐取のコロナ給付金、8割が出国のリーダー格に 資金の行方不明
警視庁目白署から送検される東京国税局職員の塚本晃平容疑者(左)=東京都豊島区で2022年6月2日午前8時16分、吉田航太撮影
新型コロナウイルス対策の国の「持続化給付金」を詐取したとして東京国税局職員ら男女7人が逮捕された事件で、不正受給金の8割は海外に出国中のリーダー格の男性(31)に渡っていたことが捜査関係者への取材で判明した。不正受給の名義人になった大学生らは、仮想通貨(暗号資産)関連の事業「マイニングエクスプレス」に投資すると説明を受けていたが、配当金などは確認されていないという。警視庁少年事件課は、男性の行方を追うとともに資金の流れの解明を進める。
少年事件課は2日、東京国税局鶴見税務署の職員、塚本晃平容疑者(24)=横浜市旭区=ら2人を詐欺容疑で送検した。
塚本容疑者らは2020年7~8月、新型コロナの影響で収入が減ったとする虚偽の確定申告書などを中小企業庁に提出し、当時17歳の少年=詐欺容疑で書類送検=の口座に100万円を振り込ませたとして1日に逮捕された。確定申告書を作成したとされる塚本容疑者は黙秘しているという。
東京国税局は2日、「公務に対する信頼を著しく損なうもので、深くおわび申し上げる。事実関係を確認し厳正に対処する」とのコメントを出した。
事件を巡っては、他に塚本容疑者の同僚だった元東京国税局職員や大手証券会社の元社員ら21~27歳の5人が詐欺容疑で逮捕、起訴されている。このうち1人が「200人に不正受給させた」と供述しており、少年事件課は計約2億円を不正受給したとみている。
一方、リーダー格の男性はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに出国。この男性と、逮捕者のうち3人の計4人が中心メンバーとみられる。塚本容疑者は虚偽の確定申告書の作成を担当していたが、中心メンバーではないという。
不正受給の名義人になっていた大学生らは「投資すれば2倍の利益が出る」などと虚偽の説明を受け、1人当たり100万円の給付金全額を詐欺グループ側に送金。20万円は中心メンバー4人で5万円ずつ分け、残りの80万円はリーダー格の男性が「マイニングエクスプレスに投資する」と説明していたが、資金の行方は不明になっているという。【高井瞳】