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人類は「砂不足」の危機に直面、国連が警告 人口増加と都市化の進展で
人類は「砂不足」の危機に直面している、と言ったらあなたは驚くだろうか。砂は、実は水に次いで最も人間に利用される天然資源だ。 その消費量は年間500億トンに及び、国連はこのままでは河川や海岸線を破壊し、小さな島々を消滅させる可能性さえあると警告している。
危機回避に向け、砂浜の採掘禁止を含む緊急対策を呼び掛けた。
国連環境計画のパスカル・ペドゥッチ氏は、「地質学的速度で更新されている。人類は非常に速いスピードで採掘を続けている」と話す。
砂の採取がいったいどんな問題をもたらしているのか。
砂は、水に次いで世界で最も利用される天然資源だ。
ガラスやコンクリート、建築資材などに使用されるが、その使用はほとんど管理されていない。
つまり何十万年もかかる地質学的プロセスで形成されるよりも早く、人間は砂を消費しているのだ。
世界的な砂の消費量は過去20年で3倍に増え、年間500億トンに達した。
これは1人当たり毎日約17キロに相当する。
砂の採掘は河川や海岸線を破壊し、小さな島々を消滅させる可能性さえある。
実際にスリランカでは、砂の採取が原因で川の流れが逆流する事態も起きている。
その結果、海水が内陸に流れ込み、海水ワニ(イリエワニ)が現れるようになった。
こうした砂の採取は、建設資材を供給するために、世界各地で行われている。
東南アジア最長の川であるメコン川は沈下を続けている。
「メコンデルタから砂が大量に運び出され、デルタが沈んでいる。
取水に海面上昇が重なり、陸地が減少し、肥沃な土壌で塩害が進んでいる。
そのためわれわれは多くの影響を目にするだろう。
それこそがわれわれに迫りくる危機であり、回避すべきだ」
現在、砂の需要の中心はアフリカに移っているとみられる。
湖や海岸から砂を採取し、都市建設を進めている。
海岸では暴風雨など、気候変動の影響をより受けやすくなる危険性もあるという。
では、どのような解決策があるのか。
国連は、海岸での砂の採取を禁止し、海洋の生物多様性に害を及ぼす浚渫(しゅんせつ)に対して国際基準を設定するよう勧告している。
またコンクリートのようなリサイクル素材や採掘の際に出る廃棄物から砂を再利用することで、砂の需要を減らすよう求めている。