《月刊救援から》
 ◆ 監獄・入管でのコロナ感染拡大
   ついに死者が!命と健康を守れ!


 現在、全国の拘置所・刑務所・入管施設でコロナ感染者が急増している。
 法務省は全国の施設の感染者数を毎週公表しているが、獄中者の感染数は昨年四二三人、今年二月までに五六五人が感染していて、今後はもっと増えることが予想される。全員にPCR検査を実施すれば実際の感染者数はもっと多いはずだ。
 死者について福島瑞穂議員の質問に、法務省は昨年四人、今年二月までに三人と回答した。このような重大な事実を法務省は隠していたのだ。このままで進行すれば死者はさらに増える危険性がある。

 法務省は重症化して外部医療機関に入院した獄中者は昨年一二人、今年二月までに五人としている。この数はあまりにも少ない。
 法務省関連施設でコロナに対応できるのは東日本成人矯正医療センター以外にはない。


 獄外の病院に移送もしないで放置することは見殺しにしているとしか言えない事態だ。
 獄中医療の改善は急務の課題である。
 それができないならばただちに釈放せよ!

 救援連絡センターは昨年と今年、法務省に抗議文を送り、昨年はクラスターの発生した横浜刑務所・千葉刑務所・東京入管に抗議行動を行った。
 今年も二月一七日に府中刑務所に対して抗議申入れを行った(2面参照)。
 また感染による処遇状況調査のために獄中者にアンケートを行い、生の声を「救援」紙上に載せ、コロナ感染拡大防止と獄中者の命と健康を守ることを訴えてきた。

 しかし法務省は積極的対策を取らなかった。その結果、ついには死者が出たのである。
 獄中者の命を守らない法務省を弾劾する。

 今年は二月までに法務省職員一五三七人が感染した。昨年一年間の数倍に匹敵する数である。
 法務省の職員は検察庁や法務局の職員も含まれるので全員が獄中者と接触するわけではないが、拘置所・刑務所の職員に感染者が出るとその後にその施設の獄中者に感染が拡大しているのは明白だ。
 職員はフェイスシールドを被り防護服に身を固めながら、獄中者には十分なマスクも配布されない。
 毎日の点検で口を開けさせて口の中を調べたり、体を触って身体検査をする、工場の行き帰りに集団行進を強制するなどが感染を拡大させていると多くの獄中者は指摘している。

 どこも監獄は三密状態であり、換気や衛生状態が悪い。
 その上に高齢者や持病を抱えている獄中者が多い現状を法務省は放置した。
 今年になって二月までに府中刑務所(一〇七人)・横須賀刑務支所(六五人)・名古屋拘置所(六四人)・京都刑務所(三四人)・神戸刑務所(三〇人)・大阪刑務所(二八人)・京都拘置所(二四人)・函館少年刑務所(二一人)など、今もほとんど全国の拘置所・刑務所で獄中者の感染が拡大中である。
 感染者を出していない監獄の方が少ないのだ。

 東京入管は職員一七五人が感染。被収容者の感染はゼロとされているが、PCR検査を実施していないので本当はわからない。

 大量の感染者を出した監獄では工場作業が中止され、入浴や戸外運動が禁止され、食事も非常食となり温かい汁ものなどが出ない。
 暖房もない極寒の舎房で過ごさなければならないので、免疫力は低下するだけだ。しかも医務課が診療を中止しているため、他の病気にかかっても診察もされない。
 コロナに感染しても単独室に隔離され、発熱しても解熱剤を出されるだけ。回復後も倦怠感や手足のしびれなどの後遺症を訴える人も多い。
 今後も監獄や入管でのコロナ感染防止と命と健康を守るために救援連絡センターは獄中者と連帯して闘い続ける。(菊池)

『月刊救援 635号』(2022年3月10日)