アベノミクスの期間に貧しくなった
ところでiPhoneを「随分高い」と感じるのは、昔からのことではない。暫く前まで、さほど高いとは感じなかった。実際、円建てでのiPhoneの価格は、この10年で約3倍になっているのである。
iPhoneだけでない。10年前には、日本人は、外国のものを安いと感じていた。もう一度ビッグマックに戻って、2012年2月の数字を見ると、つぎのとおりだ。
日本のビッグマック指数はマイナス0.9。円表示のビッグマックの価格で見ると、日本320.2円に対して、アメリカが323.1円。このように、ほとんど差がなかった。
韓国は245.9円で、日本よりだいぶ安かった。中国は187.7円と、日本の6割にもならなかった。この頃であれば、韓国に旅行して、買い物を楽しむことができただろう。中国に行けば、もっと安いと感じたはずだ。
しかし、いまや、それはできなくなってしまった。冒頭で述べたのは、こういうことである。
この変化は、アベノミクスの期間に起きた。日本で賃金が上がらず、物価も上がらなかった。外国ではどちらも上がった。本来であれば為替レートが円高になって、これを調整すべきだった。ところが、異次元金融緩和で円安にしたため、日本人の購買力が低下してしまったのである。