「大本営発表」はロシアだけではない ─
メディアが伝えないウクライナの「不都合な真実」+ゼレンスキ-国会演説の危うさ
早稲田大学の水島です。Bccで送信しています。
3月21日の「直言」を早めに更新したことをお知らせを致します。
http://www.asaho.com/jpn/index.html
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2022/0321.html
毎朝みてきたNHKBS1「ワールドニュース」から今週、ロシアTV(ロシア語)がなくなり、かわりに「ウクライナ公共放送」(英語)になりました。
各国の言語で視聴できるので、語学の勉強をしている方も多いでしょう。ところが今週からロシア語がなくなりました。「大本営発表」のようなロシアTVとそれに抵抗した放送スタッフの女性のことについて書いた「直言」を早めに出すことにした所以です。戦争になると情報が統制されて、一方的な報道が人々をまどわすことは今も昔もあることです。SNSの時代には、余計注意が必要です。
もう一つは、ウクライナ側の「不都合な真実」についても書きました。
ウクライナ東部の民間人の死者は、実は「アゾフ連隊」(大隊から昇格)という準軍事組織が関わっていることについては、岩上安身氏のIWJが8年前から警鐘を鳴らしてきました。
https://iwj.co.jp/wj/open/ukraine
https://iwj.co.jp/wj/open/russiainvadesukraine
今回、「アゾフ連隊」についてのアルジャジーラの記事をここから知りました。“Azov
Regiment”で画像検索をかけて、スクリーンショットしたものが本文にもあります。
http://www.asaho.com/jpn/img/2022/azofregiment.png
「アゾフ連隊」が18歳から60歳までの男性市民を軍事訓練している写真もあります。義勇兵と称して2万人がウクライナ入りしていますが、そのなかには真正のネオナチもまぎれてるようです。日本の公安調査庁も「アゾフ」について警告しています。
https://www.moj.go.jp/psia/ITH/topics/column_03.html?fbclid=IwAR28MflRU2SM21Tmazn8lyA5Ot9Yt9wPjXDzuCPfg1TqOZhuj_DDBXYUdEE
「アゾフ」の本拠地はマリウポリです。ここの病院などで市民の犠牲者がたくさん出ている背景には、ロシア軍とアゾフとの戦闘の巻き添えになっている側面があるのではないでしょうか。「ネオナチとの戦いというのはプーチンの妄想である」というのも「大本営発表」かもしれません。
ゼレンスキー大統領についても危うい言動は要注意です。さすがに俳優です。
言葉を駆使します。米、英、カナダの議会に続き、昨日、ドイツ連邦議会で演説しました。
「ヨーロッパにドイツとウクライナを隔てる新しい壁がある。それはベルリンの壁ではない。自由と束縛の間の壁だ。この壁は爆弾が落ちるたびに高くなり、決定が下されるたびに高くなる」と述べ、「ドイツは「経済、経済、経済」に関心を持っている」と、「経済」という言葉を3回も連呼して、ドイツがこれまでロシアに融和的だったこと、ロシアとの経済協力を批判しました。『南ドイツ新聞』は演説について、「過去数日間、このウクライナの政治家は、ロンドン、オタワ、ワシントンの議会に、主にそこでの軍事援助を求めるために演説した。だが、ベルリンでの彼の演説の調子は完全に異なっていた。それは要求ではなく、
告発である」と。
ワシントンで「真珠湾を思い出せ」といい、ドイツでは「ベルリンの壁」を使う。では、日本の国会で来週、何を持ち出すでしょうか。日本国憲法を改正して軍事的貢献をせよといわんばかりの「告発」がゼレンスキーの口から出てくるかはわかりません。まさか「広島や長崎のように市民が殺される」というかどうか。米国との関係でそれはないとは思いますが。
来週の直言を3日早く更新しました。今週の直言は、プーチンが2年前に行った憲法改正の「効果」について論じています。連続してお読みください。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2022/0314.html
それでは、今週もどうぞお元気でお過ごしください。
水島朝穂