=武蔵野五輪弾圧救援会ニュース=
◆ 1/14第2回公判、2/7第3回公判 傍聴記
★ 武蔵野五輪弾圧裁判 今後の公判日程
第4回公判:3月7日(月) ※鵜飼哲さん 証人尋問に出廷します!
第5回公判:4月20日(水) ※黒岩さん 「被告人」質問
@東京地裁立川支部101法廷(大法廷)午後3時開廷
※ 傍聴を!両日とも午後1時30分に裁判所前に集合
◆ 1/14第2回公判 イベント会社S社・U証人
「ケガもないし、披告に言いたいこともない」
五輪組織委の代わりに「被害者」を買って出た人物が語ることを警戒感をもって聞いたが、拍子抜け、というより警察・検察主導の構図が逆に鮮明になる証言だった。起訴状記載の「被害者」S社Uの証言。
「イベントはおおむね上手くいった」「(被害感情など)言いたいことは特にない」等々。
「業務妨害」の実態とされる「客の20分の退場の遅れ」も、退場を止めたのはこのUの指示であることも判明。
Uにしてみれば、入退場の整理という自分の仕事を無事に果たしただけ。刑事法廷の証言に立つほどの被害感など本来はなかったはず。
イベント会社S社への下請け構造は、組織委≒聖火リレー実行委 ⇒ 大手広告代理店(電通であることを否定せず) ⇒ 同社であることも明らかに。
証言ではところどころに「上の指示」という言葉も出た。
閉廷後となりに座っていた人が、「こんなんで業務妨害なんて成立するの?」と素直な感想を述べていたのが印象的。
◆ 2/7第3回公判 弁護側現場証人Tさん
「悪いことしなくても警察は人を捕まえることがありますから」
第3回公判からは弁護側立証開始。
まず証拠として提出した大量の東京五輪についての新聞記事、小金井市議会の五輪開催反対意見書などが証拠採用される。
続いて弾圧当日抗議活動の現場に参加していたTさんが栗山弁護士の質問に答えて証言。2013年からの反五輪の会での活動で感じてきたこと、警察の暴力によって負傷した経験などについて丁寧に語る。
裁判官は、現場の様子を公安が撮影した監視カメラ映像でしか見ていない。
Tさんは警察犬まで出たこの日の物々しい警備の様子を語り、カメラを向けてくる公安に抗議しても撮影を止めなかったことなどを詳しく説明する。
検事は、監視カメラ撮影者の氏名特定を弁護士に求められ、「警視庁公安部。氏名不明」と答え傍聴席から失笑も。
Tさんは黒岩さん逮捕の時に、警察に割って入って抗議しようとしている。そのことについて検察がいやらしい質問を続けたが、Tさんは「悪いことしなくても警察は人を捕まえることがある。オリパラではなおさらある」とハッキリ言いきった。
活動家のこういう言葉が、法と権力の世界を揺さぶることは、きっとある。(森)
◇ 証人デビユー T
証言する日が近づくにつれ、気持ちがみなぎってぎた。言いたいことがいっぱいだった。
裁判所は入るとこから、手荷物チェックと身体検査、疑いのまなざしで人を威圧した後、入っていいよと許可を与えるという、えらそ一な場所だ。法廷は、高いところに裁判官がいて見下ろしてる。
証人の席はそんな真ん中にポツンと、アウェイ感と丸腰感で心細く、ある。
でも後ろには観客も応援してくれてる。
失敗しないで、いいパフォーマンスをして審判に評価されよう、結果を出すぞ、みたいな気持ちだった。アスリートか?
しゃべりすぎて、裁判長から、「質問にだけ答えてください。」と言われた。
しまった、質問の答えだけを言うのが決まりなんだな、と反省し、以後気を付けた。なぜか知らないが、無抵抗に裁判所ルールを受け入れ自主的に従っていた。
証人は裁判ヒエラルキーの一番底辺に、その場限りいっとき包摂される。
その場を支配するものに承認されているという優越感と、失望されまいとする劣等感が、はり切ってここのやり方に迎含する奴隷根性へと私を陥れたのではないか。
準備できる弁護士さんの質問に答えるよりも、何を訊かれるかわからない検察や裁判長の問いに答えるほうがおもしろかった。アドリブでつくる未知の時間のほうがみずみずしい。
終わった時は、頭の中が真っ白になりながら、「ともかく精いっぱいやった…」なんて口走ってた。オリパラか?
そのあと3日ほどは脳内にヒロポンみたいな物質が出っぱなしで止まらなかったのだ。
とりあえず勝ち負けを決めるようなイベントでは、相手に弱みを見せまいと構えてしまう。なんか、人間を小さくする。オリパラもそうだが、裁判も。
ついでに言えば、裁判長は、傍聴席のちょっとしたざわめきに対して居丈高な言い方で黙らせた一方で、耳が聞こえづらい黒岩さんにはヘンにやさしいロ調だった。パターナルなにおいがした。
オりパラ粉砕、裁判粉砕!
しかし起訴してきたのは向うだし、売られたケンカなので買わざるを得ない。新しくて面白い裁判をみんなでやりましょうね。
『武蔵野五輪弾圧救援会ニュース』(2022年2月13日)
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三多摩労法センター気付