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 ◆ 戦争と原発 (東京新聞【本音のコラム】)

鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)


 やはり出てきた安倍晋三元首相の暴言。ロシア軍侵攻によってウクライナの人びとが死に直面しているのを尻目に、フジテレビの番組に出演、米国の核兵器配備を受ける「核共有」(ニュークリア・シェアリング)について、こう言った。
 「世界の安全がどう守られているかという議論をタブー視してはならない」

 プーチン大統領が「ロシアは世界で最も強力な核大国の一つだ」といい、核兵器の「限定的使用」さえ脅しに使いはじめた。それにさっそく飛びついたのが安倍元首相。「核には核」の野蛮な地金があらわれた。
 プーチン大統領と二十七回も首脳会談をした、と自慢しているのだから、戦争やめろ、の電話くらいしたらどうか。


 が、首相になる前には小型核保持に言及したことがある核兵器主義者だからか、この戦争勃発をチャンスとばかり、国是・非核三原則を破る火事場泥棒

 ロシアへの世界的な抗議の声を受けて停戦にむけた交渉がはじまった。
 この戦争でロシア軍がいちはやく実行したのがチェルノブイリ制圧だ。
 核兵器ばかりか原発もまた、戦争によって偶発的な、あるいは意識的な核爆発の悲劇を招きかねない、という恐怖がある。

 ひとを殺すな。それが戦争反対の願いだが、平和のためにも原発廃絶の運動も強めなければ
 「さようなら原発」運動もロシアへの抗議とデモを計画中。(ルポライター)

『東京新聞』(2022年1月1日【本音のコラム】)