ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
2022.02.22 11:36
大阪死者激増のなか吉村知事が読売TVのバラエティに40分出演、「死者は高齢者」と主張した上ハイヒールら芸人とはしゃぐ無神経!
大阪死者激増のなか吉村知事が読売TVのバラエティに40分出演、「死者は高齢者」と主張した上ハイヒールら芸人とはしゃぐ無神経!の画像1
大阪府HPより
依然として人口比で全国トップの感染者・死亡者を出しつづけている大阪府。医療現場も保健所も逼迫し悲鳴があがりっぱなしだが、そんななか、最高責任者である吉村洋文知事は先週末19日、なんとバラエティ番組に出演。しかも、そこでまたも大阪の異常な状況をごまかす詐術を用いたのだ。
吉村知事が生出演したのは、19日の午前9時25分から放送された読売テレビ『あさパラS』の2時間スペシャル。MCはお笑いコンビのハイヒールが務め、パネリストとしてハイヒールと同じ吉本興業所属のヤナギブソンや天才ピアニスト、関西ジャニーズJr.の福本大晴、元厚労官僚の中野雅至・神戸学院大学教授や元財務官僚の山口真由が出演。ニュースも扱うが、読売テレビのHPでも「バラエティ」に分類されている番組だ。
全国でも最悪の死亡者数を出しつづけているという非常事態に、お気楽なバラエティに出演する──。これだけでも絶句するほかないが、さらに吉村知事は、責任逃れの発言を何度も繰り広げたのだ。
たとえば、大阪の死亡者数が全国最多になっていることに話題が及ぶと、吉村知事はこんな話をはじめた。
「まず、大阪の陽性者の数に対するお亡くなりになられた方の割合、ま、致死率の割合っていうんですけど、致死率の割合でいくと全国で大阪は真ん中ぐらいになるんです」
「じゃあ、どういった方がお亡くなりになってるかっていうと、ほとんど高齢者の方です。これ、事実」
「平均年齢は80歳。で、お亡くなりになられる方の90%以上が70代以上の高齢者の方。入院されている方の全体の8割が70歳以上の高齢者の方」
最近になって吉村知事はこの「死亡者数より致死率を見ろ」という詭弁を繰り返しているが、バカも休み休み言え、という話だ。そもそも致死率はその疾病の重篤度を示す指標であり、本サイトでは既報でも指摘したが、陽性者が突出して多いこと自体が感染対策が後手に回っている証拠だし、しかも、陽性者中の死亡率は、感染者が少ない県の場合、1〜2名亡くなっただけで一気に跳ね上がる。そういう感染者数の少ない県と比べて「全国で中くらい」と言い張っても、なんの言い訳にもなっていない。
- だいたい、陽性者における死亡者の割合を持ち出すなら、感染者が大阪より多い東京都と比べてみればいい。17日までの7日間の陽性者における致死率は、東京が0.09%に対して、大阪が0.25%と、大阪は東京の3倍近い致死率をマークしているではないか。ようするに、吉村知事は全国でも最悪の現状、都合の悪い数字を覆い隠すために、何の意味もない数字を持ち出し、ごまかしに走っているだけなのだ。
だいたい、陽性者における死亡者の割合を持ち出すなら、感染者が大阪より多い東京都と比べてみればいい。17日までの7日間の陽性者における致死率は、東京が0.09%に対して、大阪が0.25%と、大阪は東京の3倍近い致死率をマークしているではないか。ようするに、吉村知事は全国でも最悪の現状、都合の悪い数字を覆い隠すために、何の意味もない数字を持ち出し、ごまかしに走っているだけなのだ。
吉村知事はバラエティで「致死率は全国で真ん中」「亡くなったのは高齢者」と強調
その上、吉村知事が酷いのは「致死率は全国で真ん中ぐらい」と主張する一方、「亡くなっているのはほとんど高齢者」などと強調し、あたかも高齢者の命を軽く扱うかのような物言いをしていること。しかも、大阪では高齢者施設でのクラスターが多発しながら、病院に入院できず、施設で亡くなる事例も起こっているというのに、吉村知事はこんなことを語り出したのだ。
「いままでの春とか夏とかとずいぶんと違うのは、高齢者をいかに守るのか。ここにやっぱり力を置いた対策を、しなきゃいかんと思っています」
「高齢者の方にまずは伝染さない。で、高齢者の方もかからない。これをぜひお願いしたい」
高齢者が重症・死亡リスクが高いことは第1波のときから何も変わっておらず、首長として高齢者対策を強化してこなかったことのツケが回ってきているというのに、口にしたのは「高齢者に感染させるな。高齢者はかかるな」とは。まったく開いた口が塞がらないだろう。
だが、問題は吉村知事だけではない。こうした誰の目にもあきらかな吉村知事の詭弁や無責任発言に対して、番組では追及がおこなわれないどころか、吉村知事の責任を棚上げ。挙げ句、バラエティ番組のノリによって笑いに変えられていったことだ。
実際、大阪や東京の陽性率の高さが話題になった際には、パネリストの中野雅至・神戸学院大学教授が「大阪と東京を比べて絶対数が大阪は多いというのはなぜかというのは解明したほうがいい」と指摘し、これまで吉村知事が繰り返し強調してきた「大阪は高齢化が進み、3世代同居率が高い」という点についても「大阪の高齢化率も同居率も、(東京と)そんな目立った差はない」と言及。どうして大阪はこんなに死亡者数が多いのか、その理由の解明が必要だとコメントした。
しかし、吉村知事は「明確にこれが理由だというのは専門家すらもわからないというのが現実」などと言いつつ、こんな話をはじめた。
「ただ、われわれ現場で見てると、じゃあどういう状況が起きているかっていうと、やっぱり明らかに高齢者の方が重症化しお亡くなりになってる。高齢者と若い世代の生活圏が非常に近いんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいます。職場もそうだし、生活もそうだし、もともと大阪は狭いところに高齢者の施設もたくさんあるし」
これまでさんざん主張してきた高齢化率や同居率の高さを否定されると、今度は根拠もなく「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近い」と言い出す。もはや“言ったもん勝ち”でしかないが、この根拠も説得力もない吉村知事の話に、なぜかMCのハイヒール・リンゴは「結構、大阪市内でも(高齢者施設が)ありますもんね」「おじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでるっていう人も多いし、まあ東京の場合はちょっと働きに出てって、田舎があってという方が多いかもしれないので、この辺の違いが出てきてるんじゃないかということですよね」などと相槌。
しかも、最初にこの問題を指摘した中野氏までもが「高齢者の方に感染するのは、大阪府がどうとか東京都がどうとかじゃなくて、悪いのは岸田政権ですよ」と言い出し、岸田政権のブースター接種の遅れに話題をスライドさせると、ヤナギブソンも「おっしゃるとおりだと思います」と批判を展開。“大阪の陽性者数の多さはおかしい”という問題だったはずが、いつのまにか岸田政権の批判にすり替わってしまったのだ。
大阪マラソン中止問題めぐりスタジオでは「知事がチキンって認めた」とみんなで大笑い
これだけの死亡者を出していることの責任は吉村知事にあるというのに、その失政を誰も何も追及せず、吉村知事の詭弁や根拠もない話に何のツッコミも入らないまま、まかり通ってゆく……。だが、もっと露骨だったのは、大阪マラソンの話題に及んだときのことだ。
吉村知事は今月27日におこなわれる大阪マラソンの一般ランナー部門について開催中止を決定したが、番組では、この決定に対してホリエモンこと堀江貴文が〈やる気まじなくなるよね。こういう適当な対応されると。単に自分の政治的生命の先行きしかみてねーよな。吉村チキンっすね〉とツイートした件を紹介。このホリエモンの投稿について、吉村知事は「やっぱり僕自身も主催者側なんで、すごいやりたいんです。本音はやりたい」「ただやっぱり、病床がこれだけ逼迫して医療従事者もものすごい大変ななかでやられてるなかで、2万人の方が一斉に会して、そこからまた感染が広がって高齢者に広がると、その人たちの命も守りにくくなってしまうし、さらに医療も逼迫するので」などと語った。
そもそも、ホリエモンのツイートはコロナ軽視のイチャモンにすぎないが、だからといって吉村知事が中止したのは褒められるような話でもなんでもない。人口比感染者数・死亡者数が全国トップという最悪の状況下で2万人の一般ランナーを走らせようというほうがどうかしており、中止するのは当たり前の話だ。だが、リンゴが「(吉村知事は)そんな考えてるのに『単に自分の政治生命の先行きしかみてねーよな』(と言われるなんて)」と擁護すると、吉村知事も「こういう批判受けるのも、知事の仕事なんかなあと思って。やれないのは事実ですから」などと発言。“批判を受け止める殊勝な俺”という風を吹かせはじめたのだ。
もはやウンザリするような展開だが、さらに閉口したのはこのあと。吉村知事が「マラソン、僕もやりたいんですけど、チキンと言われながらもですね、それはでももう……」と言うと、リンゴが「(チキンだと)認めたってこと?」などとツッコミ。吉村知事が「うん、それはチキンと言うか、まあ……チキンを認めたというか」と口にしたことで、パネリストたちは「認めてるよ、認めてるよ!」と囃し立て、スタジオはどっと湧いたのだ。
繰り返すが、いま大阪では全国最悪の医療状況に陥り、入院すべき人が入院できず、自宅や施設で亡くなっていっているのだ。そんな最中に、首長がバラエティ番組に出演し、お笑い芸人やアイドルたちと「チキンだと認めたかどうか」などというくだらない話題でキャッキャとはしゃぐ──。挙げ句、このあと番組では、吉村知事が大阪・関西万博の目玉にしている「空飛ぶ車」を取り上げ、「こういう夢がある話、いいですよね」(ハイヒール・リンゴ)だの「楽しみ」(ハイヒール・モモコ)だのと盛り上げ、吉村知事生出演コーナーは締めくくられたのだった。この番組、吉村知事の出演時間はなんと40分にも及んだ。
『あさパラS』を制作・放送の読売テレビと吉村知事の露骨すぎる癒着
これまでも在阪テレビ局は吉村知事のコロナ失策に対する批判をほとんど展開せず、それどころか揃いも揃って吉村知事を出演させては「さすが吉村さん!」「吉村知事はよくやっている」などというイメージを醸成してきた。その結果、どれだけコロナ対策で失敗しても支持率が下がらないと吉村知事は高をくくり、またも全国最悪の状況に陥らせている。
しかも、この『あさパラS』を制作・放送しているのは、吉村応援団と化している在阪メディアのなかでも急先鋒である読売テレビ。読売テレビは昨年末、大阪府と「包括連携協定」を結んだ読売新聞の系列であり、今年の元旦に吉村知事が松井一郎・大阪市長や橋下徹の3人で出演した毎日放送の番組が1月下旬に問題になった以降も、『情報ライブ ミヤネ屋』や『ウェークアップ』、『かんさい情報ネットten』などの数々の番組に吉村知事を出演させてきた。ようするに、吉村知事と協力関係にあると言っても過言ではない関係だ。
この最悪な状況のなかでもまったく反省をせず、吉村知事の失政をバラエティのノリでごまかすことに手を貸す共犯メディア──。今回の『あさパラS』で、大阪における東京を凌ぐ圧倒的な感染者の多さの理由について、吉村知事は「専門家すらわからない」などと述べていたが、その答えは、こんな番組が垂れ流されていることによって事態の深刻さがお茶の間にまったく届かないだけではなく、問題の根底にある維新政治を問い直すことを放棄させているからだとしか思えないだろう。
(編集部)
■2022年2月22日 20時00分 NHKNEWS
“救急医療”ひっ迫続く 現場医師「限界が近い」
新型コロナの感染拡大で救急患者の受け入れ先がすぐに決まらない「搬送が困難な事例」は6000件を超えて6週連続で過去最多を更新し、依然として増加傾向が続いています。こうした中、救急医療の「最後の砦」とされる大学病院などでは緊急性が高い一般の病気やケガの患者の受け入れを断らざるを得なかったり、すぐに治療を行えなかったりするケースが続いています。現場の医師は「地域の救急医療は限界が近い」と訴えています。
救急医療ひっ迫 患者受け入れに数時間かかるケースも
大阪 吹田市にある大阪大学医学部附属病院の高度救命救急センターは新型コロナの重症患者に対応するとともに、脳卒中や交通事故のけがなど、それ以外の緊急性の高い患者を受け入れる地域の救急医療の「最後の砦」を担っています。
新型コロナの重症患者用の病床は2月22日の時点で14床のうち13床が埋まり、ひっ迫した状態が続いています。
織田順センター長によりますと、センターには2月に入って新型コロナ以外の緊急性が高い患者の受け入れ要請も増え続けていて、中には到着まで数時間かかるケースが出ているということです。
緊迫の現場 受け入れ先見つからず男性は一時心肺停止に
NHKが取材に入った2月17日、センターに搬送されてきた大阪市内の50代の男性は新型コロナには感染していませんでしたが、急性心筋梗塞のため緊急に治療が必要だとして対応した救急車の隊員が大阪市内を中心に近くの救急病院などに10回にわたり問い合わせをしましたが受け入れ先が見つからず、最終的にセンターに搬送されてきました。
男性がセンターに到着したのは救急車を要請してからおよそ2時間半後で、男性は容体が悪化して一時心肺停止となり、人工呼吸器や人工心肺装置=ECMOを使った治療を受けました。
他府県からの要請も 1月上旬と比べ7倍近く増加
センターによりますと、緊急性が高い患者の受け入れ要請は京都や兵庫などの他府県を含め離れた地域からも相次ぎ、断らざるをえないケースが増えていて、現在は1日15件ほどと1月上旬と比べて7倍近くに増加しているということです。
背景には新型コロナの感染拡大で地域のほかの救急病院が対応できなくなり、患者の受け入れ要請そのものが増えているほか、医療スタッフの数にも限りがある中で緊急手術や搬送が重なるなどして対応が難しくなっていることがあります。
織田センター長は「現場でできる努力や工夫は最大限行っているが、すべての受け入れ要請には応え切れていないのが実情だ。治療の優先度を決めて受け入れの可否を判断せざるを得ないこともあり、患者の不利益が最小限になるよう細心の注意を払って対応しているが、非常に心苦しく思っている」と心情を語りました。
対応策としてセンターでは近くの病院と直接連絡を取り合いベッドやスタッフにわずかに余裕があるタイミングを見計らって緊急手術や患者の受け入れを互いに依頼し合っているということですが、織田センター長は「21日も40回以上病院へ問い合わせても受け入れ先が見つからずこのセンターに搬送されてきた患者がいて、地域の救急医療は限界が近いと感じている。新型コロナの重症者は感染者の増加がピークを迎えてもしばらく増え続けるので、この先、新型コロナの患者とそれ以外の救急患者への対応がどこまでもつのか非常に危惧している。一般の人には救急医療がこのような厳しい局面に立たされていることを知ってほしい」と訴えていました。
ドクターカーの出動も増加
新型コロナウイルスの感染拡大で救急医療で「最後の砦」とされる東京都内の大学病院では救急患者用の病床がひっ迫し、入院の受け入れが難しくなっていることもあり、医師らが「ドクターカー」で緊急を要する患者のもとに駆けつけて対応するケースが増えてきています。
東京 文京区にある3次救急の指定病院、日本医科大学付属病院はコロナ患者用とコロナ以外の緊急性の高いけがや病気の患者用の病床が現在合わせて24床あり治療を行っていますが、オミクロン株が急拡大した1月からは多くの医療機関でコロナ対応に注力するために一般の救急患者の受け入れを絞っている影響もあり、満床に近い状態が続いています。
先週からは治療に時間がかかるコロナの重症患者の入院も増え、病床のひっ迫の度合いが高まっていて、コロナとコロナ以外を含め患者の受け入れの要請を数十件断らざるを得ない日もあり、22日も午後3時ごろまでに10数件の要請に対して受け入れができたのは2件にとどまりました。
2日に1回ほどの出動が1日4回になることも
病院では患者の受け入れが厳しくなっている中で消防からの要請を受けて医師が車内で治療しながら患者を搬送する「ドクターカー」での対応も進めていて、病院によりますと、出動はふだんは2日に1回ほどだったのが先週からは1日に4回になることもあるということです。
ドクターカーには人工呼吸器やレントゲン検査の装置などが搭載されていて、今週には子どもがけいれんを起こしたケースでドクターカーで駆けつけ、医師が現場で処置をしたあと別の病院に搬送できたこともあったということです。
横堀將司高度救命救急センター長は「救急搬送の要請に応じるのも難しいが搬送先が決まらずに患者さんの状態が悪くなることだけは避けないといけない。医師がなんとか早く治療に介入し、病院に来るまでに患者さんの命が絶えないようにする必要がある」と話しています。
「搬送が困難な事例」 6000件超す
総務省消防庁は患者の搬送先が決まるまでに病院への照会が4回以上あったケースなどを「搬送が困難な事例」として、県庁所在地の消防本部など全国の52の消防機関の報告をもとに毎週とりまとめています。
2月20日までの1週間では6064件で、過去最多となった前の週の5740件からさらに増加しました。
地域別では東京が2849件、大阪市が557件、横浜市が432件、札幌市が164件、北九州市が129件、仙台市が101件などとなっています。
新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる令和2年の同じ時期に比べると、北九州市が63.5倍、東京が7.9倍、横浜市が4.68倍、大阪市が2.9倍、仙台市が2.61倍、札幌市が1.83倍など各地で大幅に増えています。
新型コロナウイルスの感染が疑われるケースは2032件で前の週に続き高い水準で、全体の34%となっています。
新型コロナウイルスの感染の疑いのないケースは4032件と前の週からおよそ350件増え、依然として全体のおよそ3分の2を占めています。
総務省消防庁は「新型コロナの新規感染者数は少しずつ減っているが必ずしも病床がすぐに空くわけではない。搬送が困難な事例は依然として多く、余談を許さない状況が続いているため危機感を持って今後の状況を注視したい」と話しています。