あかちゃんとおかあさん
慈恵病院の蓮田健院長と看護師、助産師のみなさま
大西一史熊本市長さま
あかちゃんのおかあさま へ
おかあさん 困難な中、すばらしく賢明で、究極の選択
母子の命をしっかり守る法律は、あります。
それは、日本国憲法と憲法第98条で、「誠実に遵守することを必要とする」としている人権条約です。
みなさん、
どうぞ、この機会に憲法と日本が批准済みの人権条約をお読みください。
ポイントは、
憲法前文と第1条、第9条をふまえ、
第11条,第13条,第97条、と
第98条第1項、第2項
市民的及び文化的権利に関する国際規約 第17条、第18条、第19条、第20条、第25条
経済的及び夜会的及び文化的権利に関する国際規約 12条
こどもの権利条約
拷問等禁止条約
全個人通報制度を批准する」と閣議決定するだけで、その日のうちに、富山外務省人権人道課長(条約履行室長兼務)が、国連高等弁務官事務所にファクスを送付し、その日のうちに(スイス・ジュネーブとの時差8時間)批准手続きを完了し、法の支配を実現し、人権鎖国を解くことができるのです。
個人つ法制度を批准すれば、即時、あかちゃんと母親を、日本のすべての女性を、社会的に守ることができるのです。
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2/20(日) 12:00朝日新聞デジタル
会合の冒頭、あいさつする熊本市の大西一史市長(右)と、慈恵病院の蓮田健院長=2022年2月18日、熊本市西区、堀越理菜撮影
熊本市の大西一史市長は今月、同市の慈恵病院が独自に取り組む「内密出産」について、病院と協力して母子を支援する方針を示した。昨年12月に生まれた赤ちゃんの戸籍作成のほか、子どもの養育や制度のあり方について、病院と協議を進める。今後の課題はどこにあるのか。大西市長に18日、話を聞いた。
【写真】内密出産を希望する女性の赤ちゃんを抱っこする慈恵病院の看護師=2022年1月29日
――熊本市はもともと内密出産を控えるよう病院に伝えてきました。今回方針を変えたのはなぜですか。
これまでは、法制度がない中で法令に抵触する可能性を否定できない以上、できるだけ控えて下さいと申し上げてきた。そのフェーズから変わりました。切迫した状況にあるお母さんの子どもが生まれたわけで、その子どもを社会的にどう守っていくのか。母子の命をしっかり守ることを最優先にしたいということです。
――法整備がないまま、内密出産を前提に支援するのは危うさも伴います。
子どもは生まれればすぐに育っていく。養育は待ったなしです。法律論や制度論を言うだけでなく、現実に即してできる限りのことを尽くそうということです。我々は法律を犯せませんが、法律の範囲の中でも様々なことが手段として取り得ます。こうしたルールがない事例については、政治が決断を下す部分が大きい。行政のトップ、政治家として判断をし、動きました。
――内密出産の課題はどこにあると思いますか。
お母さんの情報をどういう形で子どもに知らせていくのか、出自の情報をどう保管するのか不安定さが非常に残ります。特別養子縁組が成立するのかどうかも、課題を整理する必要があります。内密出産に関する相談の仕組み、お母さんの最終的な意思確認の方法、出産費用など課題は多い。
朝日新聞社
■2022年2月20日 12時00分堀越理菜
知られてはならない妊娠 何度も泣いた母、最後に残したメッセージ
周囲に妊娠を知られるわけにいかない。どうしたらいいのか分からない――。
はじまりは昨年11月中旬、慈恵病院(熊本市)の新生児相談室に届いた1通のメールだった。病院は、予期しない妊娠をした女性からの相談を24時間受け付けている。妊娠9カ月になる匿名女性のSOSだった。
病院によると、西日本に住む10代の女性だった。その数カ月前、地元の産婦人科で一度受診し、妊娠したことを知った。だが、パートナーからはDVを受けており、妊娠を告げると関係を断たれた。女性の判断や行動に過剰に立ち入ろうとする過干渉の母親に知られれば、何をされるか分からないし、縁を切られるかもしれない。入寮して働く勤務先にも伝えられなかった。助けを求められる家族や知人はいなかった。
匿名の10代が生んだ赤ちゃん、法整備なき内密出産、見えた課題は
周囲に妊娠が知られることを心配し、その後は病院に通えないまま月日が経過した。インターネットで調べるうち、慈恵病院の相談窓口にたどり着いた。
病院は、親が育てられない子を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)も運営しており、女性は、自力で産んでゆりかごに預けることも考えた。だが、陣痛のつらさを職場で聞いたことがあり、病院に対して「赤ちゃんも自分も死ぬかもしれないと怖くなった」と説明した。
妊娠相談に対応する職員はつながりを維持しようと、メールや女性からの非通知の電話でやりとりを続けた。母子の安全を考え、行政窓口への相談や、地元の病院を受診することを勧めると、返事が来なくなることが度々あった。
そうした提案に乗らない女性の強い意志を感じ、相談員は「このままでは1人で産むかもしれない」との不安を強めた。
身元を明かさない女性に病院はどう向き合い、女性はなにを語ったのか。記事後半では、永遠に離ればなれになるかもしれない赤ちゃんとお母さんへ、2人をつなぐあるものが二つ、渡されます。
連絡が途絶え、「心配しています」などとメールを送ると、「どうしていいか分かりません」と打ち返しがあった。出産予定日は数日後に迫っていた。慈恵病院までの長距離移動のリスクを考え、地元の産院で産むように説得したが、応じる様子はなかった。「慈恵に来ますか」。そう言葉をかけると、女性は「行きたいです」と答えた。
「出血が始まった。赤ちゃん…
■2022年2月11日 6時00分
「内密出産」戸籍づくりは緊急避難 赤ちゃんの将来に残された課題
内密出産をめぐる熊本地方法務局の回答を受け、報道陣の取材に応じる慈恵病院の蓮田健院長=2022年2月10日、熊本市中央区、堀越理菜撮影
国内初の「内密出産」は、現行法の規定で例外的に赤ちゃんの戸籍が作られる見通しとなった。だが、緊急避難的な色合いが濃く、予期せぬ妊娠に悩む女性と生まれた赤ちゃんの安全や権利を守れるかどうかには、依然として課題が残る。病院や自治体側には法整備を望む声が強いが、国に動く様子は見えない。
10日朝、熊本地方法務局から示された「回答」は、慈恵病院の蓮田健院長にとって想定外のものだった。
昨年12月に西日本の10代女性が出産した赤ちゃんの出生届を、院長が母親名を書かずに出すのは犯罪かを問うた病院に対し、法務局はそれには新見解を示さず、逆に赤ちゃんの戸籍記載を優先し、首長職権に基づく手続きに協力するよう求めた。
「戸籍ができれば良いので、赤ちゃんに不利益がなければ出生届は出さなくても良い」。蓮田院長は女性の匿名性を保つため、母親の名前を記さない出生届を14日に提出する予定だったが、法務局が示した方法に従い、熊本市と協議を進める考えを示した。
法整備求められるが、日本政府の本気度は…
戸籍法では、親が分からない…
■2022年2月4日 19時45分
国内初の「内密出産」へ 「覚悟」の前に立ちはだかる壁 慈恵病院
慈恵病院の内密出産の仕組み
国内初の「内密出産」に踏み切る熊本市の慈恵病院。匿名での出産を望む女性の意向と赤ちゃんの安全を最優先した上での判断だったと説明する院長の口ぶりには、強い覚悟がにじんだ。違法性を問われないか、赤ちゃんの戸籍をどう作るか、出自をどう伝えるのか――。今後の手続きには様々な壁が待ち受ける。
4日朝、病院の一室で開かれた記者会見。内密出産に踏み切る理由を問われた蓮田健院長は「赤ちゃんの遺棄や殺人をなくしたいというのが目標。そもそもの目的に立ち返って、社会の皆さんにもご理解頂きたい」と訴えた。
病院は14年前、日本で初めて「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を設置した。親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる仕組みだが、蓮田院長は「ゆりかごでは、自宅で一人で出産するケースを手当てできない残念な思いがあった。内密出産は病院の中で無事に出産し、保護できる」と語り、母子の安全確保の観点から「内密出産は素晴らしいと私は思っている」と言い切った。
蓮田院長は昨年から赤ちゃんの殺人や遺棄の裁判に関わり、死に至る状況や母親の置かれた厳しい環境を目の当たりにしてきた。内密出産について「安易な育児放棄を助長するという批判はあるかもしれないが、まずは赤ちゃんには罪も責任もないという所から始めなければ」とし、安全な出生と保護を最優先すべきだとの考えを繰り返した。
女性は病院に対し、「特別養子縁組の意向は変わらない」と説明。自らインターネットで調べ、「自分が育てるよりも、養親が育てた方が幸せになる」と決断の理由を伝えたという。
匿名での出産にこだわった理由について、蓮田真琴新生児相談室長は「親による過干渉で支配されているような感じだった」と説明。「中絶という選択肢もあったと言われると思うが、妊娠したと(親に)伝えることができなかった」として、女性の置かれた状況に理解を示した。
内密出産は、女性が病院の担当者だけに身元を明かし、後に子どもが望めば出自を知ることができる仕組みで、女性は「18歳もしくは20歳くらいで開示したい」との意向を示したという。蓮田院長は「大事なことはお母さんとつながり続けること。赤ちゃんが大きくなって、いつ何を希望されるのかまだ分からない」として、女性との関係を継続する考えを示した。
病院は月内にも出生届を出す方針だが、課題は山積みだ。蓮田院長は「内密出産は試行錯誤の状態だが、立ち止まるわけにはいかない。発生する問題を一つ一つ解決していくしかない」と表情を引き締める。
戸籍法は、親の名前を記さずに出生届を出すケースを想定していない。内密出産では、病院の担当者が母親の身元情報を把握しているのが前提で、院長が名前を「空欄」のまま出生届を出した場合、刑法の公正証書原本不実記載罪に当たるおそれがないか法務局に照会している。
また、父母が出生届を出さない場合、出産に立ち会った医師が出すことを求めるが、出さなくても罰則を科されるとは考えにくい。それでも、蓮田院長は「赤ちゃんを無戸籍状態にするということで、私も含めて社会が見放したということになる。私の良心からもそれはない」と断言し、母親を匿名にしたまま出生届の提出に踏み切る考えだ。
母親名が無記名の出生届が出されれば、熊本市が受理して戸籍を作るかが次の課題となる。病院は親が分からない「棄児」の場合に準じて赤ちゃん単独の戸籍を作ることを想定するが、行政は前例がない中で判断を迫られることになる。
女性は赤ちゃんが18~20…
■2022年2月4日 15時29分朝日新聞
「素晴らしい物語と限らなくても」 内密出産へ慈恵病院長の会見要旨
会見する慈恵病院の蓮田健院長(右)ら=2022年2月4日午前8時36分、熊本市、金子淳撮影
慈恵病院(熊本市)は4日、国内初の「内密出産」となる、母親名を記さない出生届を出す方針を表明した。蓮田健院長は記者会見で「内密出産は決して、素晴らしい物語とはかぎらないが、赤ちゃんの安全な出生と保護という、そもそもの目的に立ち返って、社会のみなさまにもご理解いただきたい」と語った。
匿名を希望して出産した西日本の10代女性は、どんな思いを病院に伝えたのか。親が育てられない子を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の取り組みも続ける病院はなぜ、内密出産という選択肢に踏み切るのか。4日の会見要旨は以下の通り。
蓮田院長 赤ちゃんが2月のはじめに乳児院のほうに移管された。詳細な日付は申し上げられない。(女性が望む)特別養子縁組の意向は変わらないということだった。出生届を提出する日時が決まったら報告させていただきたい。
蓮田真琴・新生児相談室長 お母さんの意向としては、特別養子縁組にお願いしたいということだった。(病院に)来られた時からおっしゃっていたが、たくさんいろんなことを調べて、ネットでも調べて、自分が育てるよりも、厳しい審査に通った養親さんが育てた方が赤ちゃんが幸せになるというふうに思われて、そう決断された。
お母さんの情報を子どもさんに開示する時期については、あまり小さな頃に知ってしまって傷つくことがあってはかわいそうだということで、(母親は)18歳もしくは20歳くらいで開示をお願いしたいというふうにおっしゃっている。今はメールでやりとりをしていて、継続的に関わりが持てている。
――2019年に内密出産の受け入れを表明してから初めてのケース。率直な思いは
院長 赤ちゃんの遺棄や殺人をなくしたいというのが、こうのとりのゆりかごと内密出産の共通の目標。ただ、ゆりかごでは、残念ながらご自宅でひとりで隠れて出産するケースが半分くらいと推測している。そこに手当てできないという残念な思いがあった。内密出産は、病院の中で無事に出産し、すぐ保護できる。安心でき、よかったと思っている。
昨年から赤ちゃんの殺人とか遺棄の裁判に関わって、赤ちゃんの亡くなる状況やお母さんの厳しい社会的、家庭的背景などを目の当たりにした。そういったことはあってはならないという思いが、一昨年に比べてはるかに強くなり、それに一定の対応ができるという意味では内密出産は素晴らしいと私は思っている。
場合によっては、お母さんの安易な育児放棄を助長するのではないかというご批判はあるかもしれない。だが、赤ちゃんの安全な出生と保護という目的は、まずは赤ちゃんには罪も責任もないというところから始めなければいけない。内密出産は決して、素晴らしい物語とはかぎらないが、そもそもの目的に立ち返って、社会のみなさまにもご理解いただきたい。
――お母さんから赤ちゃんへの思いは
室長 赤ちゃんへの思いは本当に強い。まず病院で産ませてくれてありがとうございます、赤ちゃんが助かってよかったですということ。病院スタッフに向けた感謝と児童相談所、乳児院の先生方に、これからよろしくお願いしますということを最後にはいただいた。
――これから同じようなケースがあると思うが、どういった覚悟で臨むか
院長 ケースごとに問題を拾い上げて、行政と話し合いながら、社会の方々にも考えていただきながら整備していくしかない。内密出産は、試行錯誤の状態だが、立ち止まるわけにはいかない。これから慈恵病院を頼ってこられる方々に逃げることなく向き合いながら、発生する問題を一つ一つ解決していくしかない。これから、より良いシステムを構築していかないといけないので、改めて病院の覚悟が問われる。
――熊本市とのやり取りはどう進めるか
院長 内密出産にあたっては、大きく三つの作業があると考えている。一つ目は母子の安全な出産・出生、二つ目は赤ちゃんを療育してくれる受け皿づくり、三つ目は出自をどういうふうに今後取り扱っていくのか。1点目は終了した。赤ちゃんの療育の受け皿、出自情報の取り扱いや管理を今後、大西(一史・熊本)市長にお願いして進めていかないといけない。
――母親の情報を子どもに伝える年齢は、今後も協議を続けるのか
院長 そうだと思う。大事なことは、お母さんとつながり続けることではないか。お母さんが今後どういう人生を歩まれるかも、赤ちゃんが大きくなって、いつ何を希望されるのかもまだ分からない。
――女性が病院以外に身元を明かせなかった事情は
室長 親による過干渉で支配されているような感じであったと思う。それでも彼女は親のことが大好きだった。関係が悪くなっていたのが、少し良くなってきた時期に妊娠が分かった。中絶という選択肢もあったと言われると思うが、妊娠したと伝えることができなかった。
――女性が求める特別養子縁組の手続きはどう進めるか
院長 幸い、ゆりかごで行政の方も多々経験しているので、比較的スムーズになるのではないか。お母さんの意思確認もとれる。過去にゆりかごでお母さんの身元が知れないケースでも特別養子縁組になった。そういった先例からすると可能ではないかという見通し。
――今後、内密出産をやって…
■2022年2月4日 5時00分朝日新聞
国内初の内密出産へ 10代母親の名前記さず出生届、慈恵病院が方針
慈恵病院=熊本市西区、堀越理菜撮影
熊本市の慈恵病院は、西日本の10代女性が匿名を希望して出産した赤ちゃんについて、女性の意向を踏まえ、母親の名前を記さずに出生届を出す方針を固めた。病院が独自に受け入れを表明してきた「内密出産」の国内初の事例となる。関係者への取材でわかった。
初の「内密出産」へ慈恵病院が表明 出産女性「自分が育てるよりも」
内密出産は、予期しない妊娠をした女性が、病院の担当者だけに身元を明かして出産し、後に子どもが望めば出自を知ることができる仕組み。法律に定めはないが、様々な事情で女性が孤立出産に追い込まれ、母子の命が危険にさらされることを防ぐ狙いから、慈恵病院が2019年に導入を表明した。
病院の説明によると、女性は昨年11月中旬にメールで病院に相談。妊娠を知られて親に縁を切られることや、相手男性からの暴力を恐れ、匿名での出産を望んだ。12月に来院して赤ちゃんを出産。女性はその後、病院の説得を受け、新生児相談室長にのみ身元を明かした。子どもの特別養子縁組を望む書面を作成して退院した。
一方で女性は赤ちゃんに深い愛情を示し、病院は女性が翻意する可能性もあるとみて、連絡を取りながら意思の確認を続けてきた。確認できた女性の意向を踏まえ、病院は母親の名前を記さずに出生届を熊本市西区役所に出す見通しだ。女性とは今後も連絡を保つ方針だという。
病院は、新生児相談室長が母…
■2022年1月20日 20時27分朝日新聞
内密出産」について岸田首相が見解、慈恵病院長が玉木代表らと面会
意見交換する慈恵病院の蓮田健院長(右)と、国民民主党の玉木雄一郎代表、伊藤孝恵参院議員=2022年1月20日、参院議員会館、堀越理菜撮影
熊本市の慈恵病院が独自に受け入れを表明している「内密出産」について、岸田文雄首相は20日、「一般論として子どもの出自を知る権利をどう考えるか、未成年が内密出産を希望する場合の支援のあり方などの課題がある」などと見解を示した。衆院代表質問で国民民主党の玉木雄一郎代表の質問に答えた。
突然の流産、行政に相談しても逮捕 犯罪リスク、専門家の見解は?
「内密出産」望む女性が出産 国内初の可能性 熊本・慈恵病院
内密出産は、病院の担当者だけに身元を明かして出産し、一定の年齢に達した子どもが望めば出自を知ることができる仕組み。慈恵病院では昨年12月、西日本在住の10代の女性が出産し、病院の新生児相談室長だけに身元を明かした。病院は女性が翻意する可能性があるとして、出生届を出さないまま赤ちゃんを預かっている。熊本市はこれまで「法令に抵触する可能性を否定することは困難」との見解を示している。
岸田首相は、内密出産の違法性については「児童福祉法や医師法など厚生労働省の所管法令には直ちに違反と考えられる点はない」とする一方、刑法上の犯罪に当たるかどうかは「捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべきだ」と、従来の政府見解を繰り返した。
慈恵病院の蓮田健院長は代表質問前に、国民の玉木氏と伊藤孝恵参院議員と議員会館で面会。「(法整備の)近道は私が捕まることかと思う」などと述べ、内密出産への理解や必要な法整備を訴えた。玉木氏は「先生が捕まったら社会的な関心が高まると思わせていること自体、政治の不作為だし我々の責任。先生の思いを受け止めてできるだけスピーディーに前に進めたい」と応じた。(堀越理菜)
■2021年11月11日 9時30分朝日新聞
赤ちゃんの命 守りたい 慈恵病院が「ゆりかご」伝える動画制作
「こうのとりのゆりかご」前での動画撮影=2021年10月9日、熊本市西区、伊藤秀樹撮影
熊本市の慈恵病院は、親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を周知する動画を作成した。赤ちゃんの遺棄・殺人といった事件をなくすため、社会に取り組みへの理解を求める狙いもある。インターネットで公開する。
10月9日夜。静まりかえった慈恵病院のゆりかごの扉の前に赤ちゃんを抱きかかえた若い女性が立っていた。腕の中の赤ちゃんを思い詰めた表情で見つめる。動画撮影の一場面だ。
予期せぬ妊娠をし孤立出産をした女性が、赤ちゃんを抱えて新幹線やバスに乗り、ゆりかごに向かう様子が描かれる。実際にあった事例に基づくという。広告会社に依頼し、5分半ほどの動画ができあがった。
女性役を演じたのは、オーディションで選ばれたモデルの廣瀬奏良(そら)さん(17)。看護師役は俳優の牛島恵さん(37)が務めた。2人は撮影前に慈恵病院を訪れ、看護師や電話相談を担当する職員に話を聞くなどして準備した。牛島さんは「悲しいニュースが多い。こういう頼れるところがあるっていうのが知られた方がいいので、手助けになれば」と撮影に臨んだ。
蓮田健院長(55)は、ゆりかごをめぐり起きていることや感じていることを制作陣に伝え、現場の声を動画に反映させたと話す。「産んだ赤ちゃんを匿名で預けるという『非日常』なゆりかごの世界を描くには、現場の人間の声を伝えないと空虚になってしまう気がした」
制作の背景には、「赤ちゃんの遺棄や殺人をなくしたい」という強い願いがある。そのために、予期しない妊娠で困る女性や社会に、ゆりかごを周知したいという思いを込めた。
2007年に病院がゆりかごを設置した当初は議論を呼び、広く知られた。だが、最近の10~20代の女性たちにはゆりかごが知られなくなっているとの危機感があり、動画で分かりやすく伝えることにした。
「安易な育児放棄を助長していると言われることもあるが、お母さんたちは命がけで必死になってやってくる。赤ちゃんへの愛情もある。安易ではないことを分かってもらいたい」と蓮田院長は話す。預け入れや事件の背景には、母親が虐待を受けていて自身の母親に相談できない事情や、発達障害、知的障害、精神疾患などが関係するケースもあるという。
動画は今後、病院のホームページやユーチューブで配信する。海外にも取り組みを伝えるため、英語字幕版も制作する予定だ。(堀越理菜、伊藤秀樹)
◇
慈恵病院の蓮田健院長は近年、赤ちゃんの遺棄や殺人といった事件の裁判にも関わるようになった。
「なぜ事件になる前にゆりかごに預けなかったのか」を検証したいとの思いから、5年ほど前に裁判の傍聴を始めた。「赤ちゃんが命を落としたり、遺棄されたりした現実を伝えることで、じゃあこれからどうしましょうか、という議論につなげることができる」。中小規模の病院が賛否両論あるゆりかごを続けていくには、社会の理解や議論が欠かせないと考えている。
最近は報道をチェックし、事件があれば現地の弁護士会などに手紙を送り、被告と面会したり、意見書を書いたりして、裁判に直接関わるようにもなった。医師としての知見から、孤立出産をした女性が前後の記憶を無くすことはあり得ると考えるが、その真偽を法廷で追及されるのを目の当たりにした。孤立出産に至った女性への無理解を無くしたいとの思いもあるという。
24時間対応の相談窓口やゆりかごに加え、慈恵病院は近年、匿名で出産後に一定の年齢に達した子は出自を知ることができる「内密出産」の受け入れを表明。様々な事情のある女性を保護する部屋も開設した。支援の形を広げる一方、裁判を通じて得た情報を分析し、赤ちゃんの命に関わる事件の防止に役立てるつもりだ。
匿名性を尊重する相談、出産、預け入れの三つがなければ、事件は予防できないとの確信がある。「お母さんを甘やかしているように見られることがあるが、そうではない。赤ちゃんを救うには、匿名性を尊重しないと先に進めない」。「遠くて慈恵病院に行けなかった」ということがないように、同様のシステムが全都道府県に広がることを望んでいる。
慈恵病院の「SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談」は、電話0120・783・449。
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反対されても命を守る 赤ちゃんポストの信念、最後まで
編集委員・大久保真紀
親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の創設者、蓮田太二(はすだ・たいじ)さんが25日、死去した。84歳だった。
「赤ちゃんの命を守る」。揺るぎのない、その信念を貫き通した人だった。
理事長を務める慈恵病院(熊本市)で、親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」を始める計画が明らかになったのは2006年11月。地方都市にある、ベッド数98床の中規模病院による日本初の取り組みは大きな論議を呼んだ。
当初、「安易な預け入れにつながる」などと反対も多かった。時の安倍晋三首相も「親として責任を持って産むことが大切ではないか。大変抵抗を感じる」などと発言。「爆破してやる」などといった脅迫まがいの電話もかかってきた。それでも「ゆりかごは命を救う最後の手段」と、ぶれなかった。
トイレでの産み落としなど遺棄されて亡くなる赤ちゃんは後を絶たない。厚労省の検証によると、03年からの15年間で虐待死した子どもの半数はゼロ歳児で、その数は373人。そのうち4割は生まれてまもなくその日のうちに命を落としており、うち85%が遺棄されていた。
そうした現状に胸を痛め、ドイツの取り組みを視察したのをきっかけにつくったのが「ゆりかご」だった。「捨てられた赤ちゃんを黙って見過ごすのは、虐待で亡くなる子どもをそのまま見ているのと同じだ」と。後に「周囲が100%反対でもやる気持ちだった」と吐露している。
裁判、医師を辞めようか悩んだ果てに
妊娠相談も大切にした。「ゆりかごはできるだけ利用されない方がいい。預けるのではなく、相談してほしい」とも訴えた。「『ゆりかご』の本質は事前相談」と言い、24時間365日の電話相談を全国に先駆けて始めた。全国から寄せられる電話相談は最近は年間6千~7千件にのぼった。育てられない場合は、赤ちゃんに養親を探した。
熊本県内の女性が出産した男の…