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■2/10(木) 19:58朝日新聞デジタル
逮捕状、紙から電子データへ 被告の「リモート出廷」も 法務省が案
捜査から公判まで刑事手続きの全面IT化に向けた法務省の検討会で10日、検討経過をまとめた報告書案を同省が示した。捜査令状に関わる手続きのオンライン化や、「ビデオリンク方式」による被告の出廷は限定的にする考え方などが盛り込まれている。来月にも改めて会合を開き、正式に取りまとめる方針。
報告書案は、捜査や公判の手続きで扱われる書類の作成、やりとりには電子データとオンラインの活用を原則とするのが「目指すべき方向性」とし、情報流出を防ぐ安全対策を定めた規定の必要性にも言及。法務省は今後、法制審議会(法相の諮問機関)での議論を経て、刑事訴訟法などの早期の改正を目指す。手続きの効率化を進め、被害者らの負担を軽くする狙いがある。
現行法上、令状に基づく強制捜査の手続きにはすべて紙の書類が用いられている。ただ、請求書を裁判所に持参し、発付された令状を対象者に直接示す必要があるため、令状を執行する現場と裁判所が遠ければ移動に時間がかかるなどの課題がある。
このため報告書案は、請求と発付はオンライン上の電子データのやりとりで手続きし、端末に表示した令状を示すことで執行も可能にするとした。公判で検察官が被告の犯罪を証明するのに使う証拠書類の開示手続きもオンライン化し、弁護人が検察庁のシステムにアクセスして電子データをダウンロードできるようにする。現在は、証拠書類が紙で保管されている検察庁に行って閲覧し、コピー機で複写している。
また、公判を開くのに必要な被告の出廷についてもビデオリンク方式の利用を提案。法廷で実際に対面するのと比べ、表情や言動の受け止め方に差が出て被告に不利になる恐れもあるため、重病などで出廷できないなどの事情がある場合に限るのが適当とした。被害者参加制度に基づき公判に参加している被害者本人や遺族は、同方式での出廷を広く認めることが考えられるとした。
朝日新聞社