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■毎日新聞 2022/2/9 06:30
ロシア製ワクチン「スプートニク」 今なぜ国内接種計画?
ロシア製ワクチンの日本国内での接種計画について記者会見するロシアのガルージン駐日大使(左)と、日比谷国際クリニックの担当者(右2人)=東京都港区の在日ロシア大使館で2022年1月27日午前11時10分ごろ、横田愛撮影
ロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」「スプートニク・ライト」の、日本国内での接種計画が持ち上がっている。ロシアのミハイル・ガルージン駐日大使と日比谷国際クリニック(東京都千代田区)の担当者が1月27日、在日ロシア大使館(港区)で共同で記者会見を開き発表した。なぜ今、日本でロシア製ワクチンなのか、国内使用は可能なのか――。【横田愛】
シャンデリアがきらめく在日ロシア大使館の大レセプションホール。モスクワをエッチングで描いた巨大な壁画が鈍色を放つ。
「今回の実験は、日本をはじめ、世界中で新型コロナウイルスとの戦いを進める上で大きく貢献し、両国国民の根本的利益にかなうと期待している」。ガルージン大使は記者会見冒頭、スプートニクVの日本での接種計画の意義をこう強調した。
治験実施前の承認で「世界初」
スプートニクVは、ロシアのガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センターで開発された。プーチン政権が国の威信をかけて開発を進め、「世界初」と銘打って2020年8月から使用を開始。同年1月に中国・武漢で新型コロナの感染拡大が始まってからわずか7月程度で実用化までこぎ着けたのは、新たなワクチン開発としては異例のスピードだが、最終段階の治験実施前の承認だったため物議を醸した。
名前は、旧ソ連時代に打ち上げられた世界初の人工衛星にちなんで付けられた。風邪ウイルスの一種の「アデノウイルス」を用いた「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれるタイプだ。英アストラゼネカ(AZ)製や米ジョンソン・エンド・ジョンソン製もウイルスベクターワクチンだ。日本で主力の「メッセンジャー(m)RNAワクチン」とは別の創薬技術にあたる。
有料の「国内接種」は都内クリニックで
国内での接種は、日比谷国際クリニックが計画。担当者によると、露政府系ファンド「直接投資基金」からスプートニクV(2回接種用)を750人分、スプートニク・ライト(追加接種用)を500人分購入するという。20歳以上の希望者に対し、血液中の抗体価(抗体の量)の検査を含めて1人9800円の有料で接種を行うとしている。
日本では米ファイザー製、米モデルナ製、AZ製が薬事承認されているが、ロシア製は未承認だ。スプートニクV、スプートニク・ライトは日本人を対象とした治験も行われていないが、国内での接種は可能なのか。
医薬品を人に投与して…