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1/22(土) 8:00AERA dot.
コロナ感染急拡大が子育て家庭を直撃 保育園休園、受験が不安…親たちの悲鳴〈AERA〉
コロナの感染者数が急拡大している。しかもいまは、冬休みが明け学校がスタート、受験も目前という子育て家庭が特に大変な時期。感染不安を抱えながら急な対応に追われる親たちは、悲鳴を上げている。AERA 2022年1月24日号から。
【小学生でリストカット、不登校も「私のせいだ」】
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新型コロナウイルスの感染者数が爆発的に増加している。3連休明け、本格的に学校が始まった時期の子育て家庭を感染爆発が直撃、混乱に陥れている。
関東地方に住む5カ月と2歳の2人の女児を育てる女性(41)のもとには9日、上の子が通う保育園から急な連絡が入った。
「感染者が出たのでしばらく保育園が休みになる。現在、保健所の調査が入っており、いつ再開できるかはわからない」
フリーランスで働くこの女性は、コロナ前はほぼ毎日出社していたが、今は在宅ワーク中心で働いている。在宅でも仕事ができているのは、子どもが保育園に行ってくれていたからだ。
■祖父母に頼る不安
2歳の上の子はイヤイヤ期のまっただ中。「遊ぼう」「外に行きたい」「何か食べたい」「みかんの皮をむいて」と要望も多いため、家にいたら日中はまったく仕事が手につかない。
「今日もオンライン打ち合わせ中に、子どもが声を出したので、相手に申し訳ない気持ちになりました」
2人の子どもの寝かしつけを終えるのは22時過ぎ。仕事はそのあとからやるか、早朝にやるしかない。頼りは、近くに住む夫の両親だが、高齢のため不安もある。
「ワクチンの2回接種を終えたのは随分前。3回目は当然ながらまだなので、どこまで頼っていいのか不安です」
静岡県内のある小学校では、連休明け早々に複数の陽性者が出て1週間の休校が決まった。息子を通わせる30代後半女性の仕事は看護師。夜勤もあり、なかなか休みづらい。普段の風邪なら近くに住む義母に預けるが、コロナによる休校だけに頼っていいのかわからないという。
「学校からは感染者の学年もクラスも知らされません。うちの子たちはばあばに預けていいレベルかがわからないんです。ある程度情報があったほうが対応しやすいと思いますが、個人情報の問題もあってほぼ知らされない。明日も仕事なのにどうしようって感じです」
と途方に暮れる。オンライン授業はあるようだが、7歳の息子が支給されたタブレットを自分で操作できるかは心配だ。
「朝の健康観察もオンラインだそうですけど、私はもう出勤している時間です。7歳には無理だし、ばあばもきっとわからないと思います」
年初から感染が爆発している沖縄県。同県で3人を子育て中の30代女性のもとにも6日、娘が通う保育園から濃厚接触者が出たため休園の連絡があった。連休明けから園は再開したものの、13日から再び休園に。これで、休園はコロナ禍になって6度目だ。加えて、小学1年生の長男も1月は1日おきの分散登校が続く。
最も困るのは生後9カ月の第3子の通院だ。軽い心臓疾患があって通院が必要だが、長女の保育園が休園となると通院も難しくなる。
「正直な話、休園措置の連絡が出るたびにまたかという思いがします。県内での急速な感染拡大と身近に迫るコロナへの不安も感じています」
■受験生は学校を休む?
感染爆発は、受験生がいる家庭の不安もあおる。
2月に中学受験を控える子を持つ都内の40代女性は、自主休校を考え中だ。普段、一緒に登下校をする友達たちはすでに休み始めている。コロナ関係で入試を受けられない出願者のために追試措置をとっている私立校もあるが、一部の学校では追試は行われないため、陽性や濃厚接触者に認定されれば後がない。
「コロナ前まではインフル予防が主流でしたが、今はコロナが怖いです。とにかく、無事に受験日を迎えたいです」
都内に住む会社員の女性宅では小学3年生の息子の通塾で悩む。難関校出身の夫は、オミクロン株は軽症が多いと聞くという理由で、「中学受験は小学3年生の2月(新4年生クラス)から始めるべきだ」と主張。一方、女性は将来も気になるが「もしも感染したら」という気持ちのほうが強い。米国ではコロナで入院する子どもが急増というニュースを見たこともあり、より心配が高まっている。(フリーランス記者、宮本さおり、大楽眞衣子、羽根田真智)
>>【後編】「オミクロン株「若い世代から高齢者への感染」専門家が警鐘 子育てを祖父母に頼る家庭は要注意」へ続く
※AERA 2022年1月24日号より抜粋
https://news.yahoo.co.jp/articles/fa455f6bce5c49fc91c34b7e58f58c5fc8429414?page=1
2022/01/22 08:00
オミクロン株「若い世代から高齢者への感染」専門家が警鐘 子育てを祖父母に頼る家庭は要注意
#新型コロナウイルス
筆者:宮本さおり,大楽眞衣子,羽根田真智
オミクロン株が猛威をふるう中、孫との接触による祖父母の感染リスクが懸念されている。帰省だけでなく、子どもを高齢親に預けている家庭も注意が必要だ。AERA 2022年1月24日号から。
初孫を広島の実家に連れていこうという計画が頓挫したのは、都内に住む女性(33)。出産したのはコロナ禍の昨年1月。それから実家の広島には一度も帰れていない。昨年10月、感染者数が収まっていたタイミングで両親が上京してくれたため、なんとか子どもの顔だけは見せられたが、ゆっくり過ごすことはできていない。
■帰省できずに育休終了
年末年始は夫の実家がある千葉に帰省したため、年明けに広島に帰ることを考えていたが帰れずじまいに。今月中に育休が終了するため、実家でゆっくりできる最後のチャンスは今だけだが、もうあきらめたという。
1月下旬に北海道の実家への帰省を計画していた都内の男性(55)も断念した。コロナ禍になってから2年、一度も実家には帰れていない。両親は80代半ば。二人とも元気ではいるものの、父親は高血圧だ。
年末年始は仕事が立て込み帰れなかったため、やっと帰れると思った矢先にコロナの感染拡大が深刻化した。男性が帰省をやめると伝えると、母親は「しかたがないね……」とは言うものの、声は明らかに曇っていた。
「もし親になにかあったら、あのとき帰省しておくべきだったと後悔するかもしれません」
感染拡大に不安が増す一方で、オミクロン株は重症化リスクが少ないという情報もあり、危機感のレベルは人それぞれだ。神奈川県在住の専業主婦の女性は子どもの通う幼稚園で陽性者が出たので休園になったが、さほど心配はないという。
11日の始業式の日、登園した直後にお弁当も食べずに、子どもは園バスで帰ってきた。
「見送ったばかりですぐお迎えでしたし、いつまで休みかわからなかったので、保護者は少しざわつきました。でも逆に休園でラッキーって思いました」
休園となった日には習い事の振り替えや歯科治療など、たまっていた子どもの用事を済ませることができた。ここまで感染が広がれば、習い事をしていても買い物をしていても、いつ感染するかはわからない。いちいち一喜一憂はしていられないと感じている。
■怖いのは高齢者の感染
感染拡大が深刻化しているが、日常生活を止めるわけにはいかない。私たちはコロナにどう向き合えばいいのだろうか。
免疫医学が専門の東京理科大学名誉教授・村上康文さんは「70代以上は重症化するリスクが高いため、特に警戒が必要だ」と注意を促す。だからこそ、子育て世代など若い世代が気をつけることがあるという。
「怖いのは、孫から祖父母など、若い世代から高齢者への感染です。オミクロン株は感染力が強いため、ワクチンの2回接種が終わっていても感染リスクは高い。高齢者との接触は避けたほうがいいです」
祖父母が子育ての戦力になっているケースでは、特に注意が必要だ。村上さんは、感染者数は今後も増加すると見る。
「オミクロン株は発症までの期間が3、4日と短いですから、政府は隔離期間を短くするなど、医療と社会が止まるのを防ぐ策も考えるべきだと思います」
正しく恐れ、コロナ禍であっても子どもも大人も日常生活が維持できるよう、基準やシステムを考えることが急務だ。(フリーランス記者、宮本さおり、大楽眞衣子、羽根田真智)
>>【前編】「コロナ感染急拡大が子育て家庭を直撃 保育園休園、受験が不安…親たちの悲鳴」より続く
※AERA 2022年1月24日号より抜粋