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櫻井幸雄 住宅評論家

 

建て替え完了した横浜市の「傾きマンション」。日常をとり戻すのは、もう少し先……(櫻井幸雄)

 

  横浜市内の「パークシティLaLa横浜」で247戸の販売が行われている――これを聞いただけで、あのマンションか、と思い当たる人は不動産関係者以外では少ないだろう。

 2015年11月、建設時の杭打ち不備によって一部の棟に傾きが生じていることがわかり、全棟建て替えになった……あのマンションである。

 建て替え工事は昨年2月に完了。所有者がゆっくりと戻ってきた後、一般に分譲される247戸の販売が現在、行われている。

 全705戸のうち458戸はそれまでと所有者が変わらない。残る247戸が今回、新築マンションとして販売されているのである。

 その建物は、基本的に以前の建物と同じだ。同マンションが建設された2006年から2007年にかけて、と同じ広さの住戸が同じ仕様(一部は変更されているが、それに関しては後述したい)でつくられた。

 そのため、現在の標準的間取りからすると、ひとまわり広い住戸が多く、販売される247戸のうち183戸が78平米以上となる。

 その価格は、1月16日まで行われた第2期販売で4940万円〜5750万円。約78平米から83平米の広い住戸であること、そして大型商業施設「ららぽーと横浜」に隣接していることを考えれば、割安感がある。そのため、これまで販売された住戸には抽選となるケースもあったが、申し込みが入らず、先着順で購入できる住戸もある。

 以上が、「パークシティLaLa横浜」の現状である。

静かに進められている販売活動

 「パークシティLaLa横浜」はスケールの大きさ、広さ、価格で注目点の多いマンションなのだが、その販売活動は控えめだ。

 販売戸数が200戸を超えるマンションならば、最寄り駅に大きな広告を出すのが普通だ。しかし、最寄りのJR横浜線鴨居駅には小さなポスターひとつない。

 目立たずに販売が行われているのは、同マンションの特殊事情によるものだ。

 工事ミスによる建て替えは、不幸な出来事だし、同マンションに戻ってきた458戸の所有者は騒がれることなく、静かに以前の生活に戻ることを望んでいるはず。その気持ちを汲んでのことだろう、販売は粛々と行われている。

 そのため、今回の取材も、三井不動産レジデンシャルにいくつかの事実関係を確認すること、そして、以前から接触がある一部所有者の話を聞くことにとどめた。

 限定的な取材でも確認したかったのは、マンション所有者はどんな気持ちで建て替え工事の完了を迎えたのか、ということだった。

建て替えマンションに戻ってきた人たちの5年間

 まず、マンションに戻ってきた人たちの気持ちは、100%うれしい、ではなかった。

 

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  • どのような問題?

    横浜市の大型マンションの一部が傾いていた問題。くい打ちを行っていたのは旭化成建材。2015年、親会社である旭化成が記者会見し、謝罪した。

    出典:THE PAGE

  • 傾斜マンション全棟建て替え費用400億円 三井不など関係各社

    出典:日本経済新聞 電子版

 

【全文】マンション傾き問題(1) データ改ざんとくい未到達の理由を説明

 

 横浜市の大型マンションの一部が傾いていた問題で、くい打ちを行った旭化成建材の親会社である旭化成が20日午後、都内で記者会見し、浅野敏雄社長が「居住者の皆様には大変ご迷惑をおかけし、関係先各位の信頼を損なうことになった。深く深く反省し、お詫び申し上げる」と謝罪した。 

 

【全文】マンション傾き問題(2) くい70本の現状を調べて発言と照合する 以下は質疑応答までの冒頭部分の全文。

旭化成・浅野社長が謝罪「深く反省しおわび」

 

[写真]マンション傾斜問題で謝罪する旭化成と旭化成建材の社長ら

司会:それでは、皆さまお時間になりましたので、ただ今から私ども旭化成建材の横浜市所在のマンションの施工における不具合につきまして、記者会見をさせていただきます。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、大変申し訳ございません。新聞社の皆さまをはじめ、メディアの皆さまに、私どもの情報管理が至らなかった部分も含めて、あらためてここでおわびさせていただきます。  本日は、まず私ども旭化成、旭化成建材の出席者のご紹介をさせていただきます。皆さま向かって中央左でございますが、旭化成株式会社代表取締役社長の浅野敏雄でございます。向かって一番左になりますが、旭化成株式会社代表取締役副社長の平居正仁でございます。中央右になりますが、旭化成建材株式会社代表取締役社長の前田富弘でございます。一番向かって右側ですが、旭化成建材株式会社事業本部商品開発部長の前嶋匡でございます。 

 本日はまず社長の浅野から、皆さんのほうに一言おわび申し上げます。その後、旭化成建材の、社長の前田のほうから本件の概要の説明、その後、質疑のほうをを進めせていただければと思いますんで、よろしくお願いします。

  それではまず旭化成株式会社代表取締役社長のほうから。 浅野:旭化成株式会社代表取締役社長の浅野でございます。このたび当社グループの旭化成建材が杭工事の施工をした横浜市所在のマンションにおいて施工不具合、施工報告書のデータ転用、加筆、改変が判明いたしました。居住者の皆さまには大変ご迷惑をお掛けし、また関係先の各位へのご信頼を損なうこととなりました。深く、深く反省し、おわび申し上げます。居住者の皆さま、大変申し訳ありません。 

 今後、居住者の皆さまの安全を最優先に考え、皆さまが安心してお住まいいただけるよう、努めてまいる所存でございます。また昨日新たに、私を本部長とする対策本部を設置いたしました。そして、すでに設置している調査委員会において、原因究明を開始しております。  また居住者の皆さまへの説明会でお約束した、当社と利害関係のない外部弁護士による外部調査委員会を設置し、この問題の検証を進めてまいります。 

 さらに旭化成建材においては、当該物件の調査、および補強、改修工事等に関する費用に関しては、全額を負担することにしております。そして、居住者の皆さまの安全を最優先に考え、行政当局のご指導の下、販売依頼者さま、施工会社さまとご協力の上、旭化成グループとして誠意を持って然るべき対応を取ってまいります。これを機会に、また私どもはグループを挙げて、信頼回復に努めてまいりたいと思います。

  最後に、本日の記者会見は、居住者の皆さまへの説明会を終えて、開催とさせていただきました。皆さまへのご説明が大変遅れたこと、申し訳なく思います。申し訳ありません。