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2021/12/19 08:00毎日新聞 

大阪IR誘致に市が異例の公費負担

 情報公開で見えた優遇ぶり

 

 カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を巡り、大阪市に新たな費用負担が生じる見通しとなった。大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)の建設予定地で、液状化の危険性が判明し、土地所有者の市が対策費用を負担する方針を決めたためだ。市の内部資料からは、松井一郎市長の強い意向により、市負担が特例的に決まった経緯が見て取れる。負担増が相次ぐ湾岸開発で、市がさらなる財政支出を認めた詳細な経過とは。

 

 「これだけ問題がある土地なんだとびっくりしている。これからにぎわいの拠点にするので、安全な土地を提供するのが市の責任だ」。松井市長は10月5日の市議会で、市が対策費を負担する考えを示した。

 

 IR予定地は万博会場予定地に隣接する49万平方メートル。MGMリゾーツ・インターナショナル(米国)とオリックス連合の事業者が、カジノやホテル、大規模会議場など、延べ77万平方メートルの施設を整備し、2020年代後半の開業を目指す。

液状化対策、市の負担は妥当か

 市などによると、事業者が20年に行ったボーリングによる地質調査の結果、39地点中24地点で大地震の際に液状化する恐れのあることが分かった。事業者は「万全の対策が必要だ」として、敷地全体の地盤改良を行うよう市に要求。しかし、市が、舞洲(まいしま)など、夢洲と同じ大阪湾の埋め立て用地の販売で、対策費を負担したケースはない。

 なぜ、今回に限って市は負担を認めたのか。意思決定の詳細が、情報公開請求で入手した内部資料で明らかになった。…