皆さま

 おはようございます。増田です。これは「新井祥子元草津町議を支援する会」事務局として…あ~、忙しい(笑)…BCCでお知らせしています。重複ご容赦を!

 

 12月13日(月)、群馬県庁記者クラブで行われた新井さんの記者会見が下記YouTubeで視聴できます! ここで、新井さんが未公表だった音声記録を公開し、添付のように、黒岩信忠町長の潔白の根拠としていたものは、証拠のデッチアゲ・隠滅の結果であることが明らかになりました。

 

https://youtu.be/TI9w-slm5Kg

 

 撮影者は、あの「『イラク油まみれ水鳥』は米軍の爆撃の結果で『イラク軍の残虐の結果』はフェイク!」とスクープした元テレ朝カメラマンの田保寿一さん…ドキュメント映画『冬の兵士 イラク帰還兵の証言』監督)…です。


 

 この記者会見について北原みのりさんがアエラに下記記事を書いておられます。

性被害を告訴した元草津町議の女性が会見 会場の関心と#MeTooのズレに衝撃を受けた (1/3)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)
 

 

 この記事のリプ欄の男性たちの投稿を見ると、これが「性被害を訴える女性」に対する今現在の日本人…外国籍の方もいらっしゃる可能性はありますが…男性のレベルかと暗澹たる気持ちになります。でも、だからこそ、#Me Too #With You と声を上げ続けていかなければならない! と思います。

 

 

 

性被害を告訴した元草津町議の女性が会見 

会場の関心と#MeTooのズレに衝撃を受けた 


おんなの話はありがたい
MeToo
 

2021/12/15 16:00

北原みのり
筆者:北原みのり


 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、性被害を受けたと訴える草津町の元町議の女性の会見を見て感じたことについて。

【現物写真】リコール運動時のチラシを見る

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 群馬県草津町の元町議、新井祥子さんが町長を強制わいせつ容疑で刑事告訴した。新井さんが性被害を受けたという日から既に7年近くが経過し、来年1月には時効を迎えるタイミングだ。 


 町長はこれまで一貫して事件を否定し、新井さんを名誉毀損で訴えている。新井さんは2019年、町議会から除名処分を受け、いったんは群馬県の判断で復職するが、町議らによるリコール運動の結果、2020年12月に住民投票で失職した。

 新井さんは草津町議初めての、そして現在にいたるまで唯一の女性議員であった。

 12月13日、新井さんは群馬県庁で記者会見を行った。私はライブ配信で視聴した。新井さんは刑事告訴に踏み切った思いを語り、事件当日の町長との会話を録音した音声を発表した。新井さんの弁護士は、「新井さんは苦しみ抜かれ、それでもやはり事実を明らかにしたいということから告訴を決意された」と今回の告訴について話した。

 録音されていたのは、事件当日とされる日の町長と新井さんの会話だ。個人的なトラブルの相談について町長の言質を取るために録音していたという。褒められた行為ではないが、新井さんはポケットに録音機を忍ばせていた。

 そこには親しげな会話が残されていた。会話からは、2人が前日に消防団の出初め式に参加していたことがわかり、そこで日にちが特定され、さらに午前10時を知らせるチャイムが鳴ったことから時間も特定された。

 音声は性被害を証明するものではなく、事件があったと新井さんが主張する日時に町長と一緒にいたというだけの事実である。とはいえ、これは大きい。というのも、町長はこれまで「その日に2人では会っていない」「町長室のドアは開けっ放しにしていた」「新井議員を“祥子ちゃん”と呼んだことはない」などと議会で断言し、新井さんを虚言癖があると攻撃してきたからだ。ところが音声データには、ドアをノックし開閉する音、「祥子ちゃん」と呼びかける声も残っていた。少なくとも、町長にはこれまでの説明との矛盾を語る責任があるだろう。

会場の記者たちの関心はそこになかった

 ところが、であった。会場の記者たちの関心はそこにはなかった。それどころか、記者会見は次第に新井さんを責めるような空気になっていった。声色だけでも、質問する記者が威圧的だったり、ニヤニヤしている雰囲気が伝わってきた。実際その場にいた記者によれば、記者やカメラマンは20人ほどいたが、ほとんどが男性で(女性記者は2人だったという)、時に記者どうしが目配せするように質問をすることもあったという。

 たとえば新井さんは以前、強制わいせつ罪と強制性交等罪を混同し使っていたことがあった。それを問われた新井さんは「私が受けた被害は、現在の刑法では強制わいせつ罪ですが、被害者からすればその二つを区別はできない」と説明した。


 それに対し男性記者は「意味が分からない」と食い下がり、説明を受けても「分からない」を繰り返していた。まるで最初から一貫して同じ言葉を使わないことが大問題であるかのようだった。

 現在の強制性交等罪は身体への男性器の挿入が問題になる。それに対し、指やアダルトグッズなどを使った行為も強制性交等罪として認められるべきであるという議論が重ねられてきた。被害者にとってみれば、男性器の挿入が問題ではなく、同意があったかどうかが問題だからだ。そのような基本的知識のない記者による、隙あらば矛盾を責めるという空気が記者会見場にできあがっているのが伝わってきた。

 特に性被害が音声に残っていないことについては、嘲笑的で、時に攻撃的に聞こえた。

 もともとやましい気持ちで録音していたことから、町長が近づいてきた時に「ばれた」と思い、新井さんは録音機の電源を切ったという。

「もし音声がとれていたとしても、私は消したと思います。振り返るのもつらいこと、聞くのは耐えられないからです」

 と新井さんは話したが、「核心的な内容なのに、なぜないのか?」「町長は和やかに会話しているのに、突然豹変するようなことがあるのか?」など、音声がないことに故意をにおわせる質問が続いた。そもそも性暴力は、からかいや、和やかな空気のなか、被害者が被害と気がつけないほどに自然に「始まる」ことが多い暴力であることを知らないからできる質問だろう。

「ウソつき」と言われ続けた

またある男性は怒った調子で、「町民の代表として町長と話しをしている議員が、大切な録音をなぜ途中で切ったのか」と質問していた。質問は彼の勘違いによるものであり、そもそもなぜ怒っているのかは意味不明だが、「叱りつける」ことに躊躇ない様子に衝撃を受けた。

 これではたとえ録音があったとしても、それはそれでハニートラップを仕掛けたと疑われるだろうと思われた。何をしても性被害を訴える声は疑いと怒りの視線にさらされるという現場を、目の当たりにしているようだった。

 町長は新井さんを虚偽告訴で訴えると記者に話したという。それでも新井さんに迷いはないようだった。これまでも町長は議会でも「なぜ刑事告訴しないのか? できないからだろう?」と言ってきた。ある意味、新井さんは町長の挑発にあえて乗ったともいえる。客観的には厳しい闘いになると思われる。7年近くも前の事件を捜査するのは厳しく、告訴が検察に受理される可能性は決して高くない。それでも諦められないものを新井さんは取りにいこうとしているように見える。それは事実を明らかにしたい、奪われた尊厳を回復したいという思いだ。

 私は新井さんが傍聴席から侮辱の言葉を浴びせられ、「うそつき」と言われ続けるのを見てきた。町議会が女性議員1人を追い出すためにリコール運動を繰り広げるのを見てきた。それはまるで声をあげたことそのものが罪、という印象をあたえるのに十分なものだった。

 性暴力は密室で行われる。客観的証拠もない。だから性暴力はどちらかがうそをついている事件……という一見、中立なその姿勢こそが、実は加害者側に寄り添う行為になる。

 多くの被害者は声をあげることができなかった。声をあげれば「本当の被害者が声をあげられるはずがない」と言われ、声をあげなければ「被害などなかった」とされ、時間を経てから声をあげれば「今さら何が目的か?」と追いつめられるのが被害者の現実だった。そもそも、声をあげる側の社会的立場は圧倒的に弱いことが多い。そういうことが、ここ数年の世界的な潮流#MeTooで、明からになった。だからこそ、まずは被害者の声を裁くのではなく聞く、「被害者中心主義」の姿勢が今、国際的には人権の見地から求められている。記者ならば、なおさらそのことを理解してほしいと思う。

 来年は刑法改正の重要な年になる。報道側のジェンダーギャップや、その意識も問われると改めて感じている。

■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

 

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