本人が決めた接種でないワクチン接種は、国家犯罪だ!
HPVワクチンの定期接種の対象は、小学6年から高校1年相当の女性で、中学1年のときに3回接種するのが標準的なスケジュールになっている。
HPVは性交渉で感染するため、初めての性交渉前にワクチンを接種することで効果が上がると期待され、原則無料で接種できる定期接種の期間は決まっている。
岡部さんは「接種するかどうか、自分で決められる年齢になってから接種しても遅くはない。
本人の意向を尊重することが大事だ」と話す。
体調が良く、本人が接種に納得するときに接種することが重要だ。
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11/12(金) 16:30朝日新聞デジタル
HPVワクチン、現時点の安全性は? 接種時期や症状で知るべきこと
厚生労働省がHPVワクチンの情報をまとめたリーフレット
子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンについて、接種をすすめる「積極的勧奨」が再開されることが決まった。ワクチンの安全性について、いま何がわかっているのか。
■接種時の痛みや腫れは多く報告
ワクチンを接種すると、接種したところが腫れたり、赤くなったりすることがある。定期接種になっている二つの製品の情報が記載された「添付文書」によると、接種した人の8~9割が、接種時の痛みを訴えている。
接種後の症状として、疲労感や頭痛、発熱などの症状も一定の割合で報告されている。頻度としては1%未満だが、しびれ感、全身の脱力、手足の痛みなどもある。
厚生労働省のリーフレットによると、HPVワクチンの接種後に「副反応疑い」として報告される頻度は1万人あたり9人、重篤な症状は1万人あたり5人とされている。重篤な症状には、接種時に失神し、しばらくして回復する例も含まれている。
接種後の症状として注目されたのが、接種したところ以外の広い範囲が痛み、手足が動かしにくくなったり、記憶障害が出たりするなどの「多様な症状」だった。
厚労省の研究班は、こうした多様な症状がある人は、HPVワクチンを接種していない人でも一定数いることを報告した。厚労省は現時点で、「ワクチン接種と因果関係があるという証明はされていない」としている。
■接種時の痛み、不安が様々な症状の引き金となりうる
厚労省は、「(ワクチンの成分による)中毒や免疫反応などでは説明ができない」とするが、ワクチン接種時の痛みや不安が、様々な症状を引き起こす可能性があることがわかっている。厚労省の部会も「痛みや不安がきっかけとなったことは否定できない」としている。
世界保健機関(WHO)は2019年末、HPVワクチンに限らず、注射に対する緊張や不安が、様々な症状を引き起こすリスクになりうることをまとめ、「予防接種ストレス関連反応(ISRR)」と呼ぶことにした。接種後すぐに現れる息切れや立ちくらみ、めまい、失神や、接種後しばらくして出る脱力やまひなどが含まれる。とくにこの反応は10代で起こりやすいという。
画像や血液の検査をしても、はっきりとした異常は見つからず、医療機関を受診しても十分に対応してもらえないケースもあった。日本医師会と日本医学会は、多様な症状を診察するためのガイドラインをまとめ、医療機関で統一の診療ができるようにしている。
厚労省は、各都道府県に1カ所以上、HPVワクチンの接種後に起きた症状を専門的に診る「協力医療機関」を設け、ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/medical_institution/dl/kyoyroku.pdf)で公表している。
■最もデリケートな年齢の注射、本人の意向を尊重して
ただ、都道府県によっては協力医療機関が1カ所しかないところもある。積極的勧奨が再開されて一気に接種を受ける人が増えると、対応できなくなる可能性もある。厚労省の部会では、委員から協力医療機関の体制の強化を求める声があり、厚労省は、今後も協力医療機関の診療実態を引き続き調査していくとした。
HPVワクチンの定期接種の対象は、小学6年から高校1年相当の女性で、中学1年のときに3回接種するのが標準的なスケジュールになっている。
ただし、小学校高学年から高校にかけてはからだが成長し、進学などで生活環境も変わりやすい。からだの機能を保とうとする自律神経が乱れやすく、朝にベッドから起き上がれないといった「起立性調節障害」などの訴えも増える時期だ。
WHOがまとめた予防接種ストレス関連反応の資料でも、からだとこころの変化に加え、過去の注射の痛みの経験といった心理的な要因、家族や友人からの情報、ソーシャルメディア上の情報によって不安感が高まった状態で接種を受けると、接種時の痛みによって、さらに体調を崩す可能性があるとされている。
ワクチンに詳しい岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「最もデリケートな時期でもあり、その年齢での接種にしばられなくてもよい」と助言する。
HPVは性交渉で感染するため、初めての性交渉前にワクチンを接種することで効果が上がると期待され、原則無料で接種できる定期接種の期間は決まっている。ただ、岡部さんは「接種するかどうか、自分で決められる年齢になってから接種しても遅くはない。本人の意向を尊重することが大事だ」と話す。体調が良く、本人が接種に納得するときに接種することが重要だ。(後藤一也)