◆ 中教審の研修内容まで踏み込む教員統制の『審議まとめ案』へのパブコメは、
文科省が10月30日(土)の23時59分で締切。至急応募を。
中教審・「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(1953年4月16日静岡県生 =68歳の財界の日本経団連副会長渡邉光一郎氏が中教審会長と、この部会長も兼ねている)が『審議まとめ案』(文科省HPに掲載)なるものを公表し、10月30日(土)の23時59分までパブリックコメントに付しています。
教員統制は戦争への道です。子どもたちを戦場・自衛隊に送らないためにも、月刊『紙の爆弾』2021年12月号に私が執筆した『審議まとめ案』に対する分析・批判記事も参考にして頂き、「反対」のパブコメを、文科省宛、早めにお寄せ頂ければ幸いです。
教育ジャーナリスト・永野厚男作成の、中教審『審議まとめ案』の①「教員と任命権者・管理職等との対話」が密室・パワハラの場にならないよう職員会議でオープンな議論を、
②上から目線で「研修不受講は懲戒処分」を明記した以上、停職1か月処分を受けた藤原章夫・新総合教育政策局長に反省文を出させる――等求める文科省宛パブコメ
1 文部科学省総合教育政策局・教育人材政策課(小幡泰弘課長)が教員免許企画室(平野博紀室長)主導で、中教審・「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(1953年4月16日静岡県生 =68歳の渡邉光一郎・日本経団連副会長兼中教審会長が、この部会長も兼ねている)に出させてしまい、10月30日までパブリックコメントに付している『審議まとめ案』なるものは、保護者や現・元教職員、教職課程に学ぶ大学生等から非常に評判の悪い"教員免許更新制廃止"をダシにして、教員一人一人を一層の研修強化で統制する、タカ派色の濃い政策を主張しています。
この中教審『審議まとめ案』は、戦前・戦中、当時の文部省が教育勅語下、"国定教科書"と"国定教員"を使い、児童生徒に国家主義を注入(indoctrination)し、国家権力(政府・文部省)の誤った政策を遂行させる"道具"に作り上げてしまい、破滅の道に進めてしまった、過去の誤った歴史への反省がありません。
2002年、第一次小泉政権で、文科副大臣を務めた岸田文雄氏(64歳)は「十年経験者研修」(16年11月、教特「中堅教員等資質向上研修」に名称変更)を導入する教特法改悪の国会審議で、「教員のニーズに応じて」という答弁を繰り返していましたが、実際は、「教育委員会や校長のニーズ」に応じた研修が多いのではないか。
都教委が05年頃、十年研の中の「選択研修」に、“陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京・埼玉)研修”を設定していたのは、都教委官僚のミリタリズムを満たすためですし、80年代後半、初任者研修の一環の試行段階の洋上研修での、旧文部省官房長・加戸守行氏による日教組非難を含む偏向“講演”や、朝夕の「集い」での中心で、大音量での“君が代”強制は、文部官僚が特有のナショナリズム(国家主義)を新任教員に注入(indoctrination)する意図に満ち満ちています。
今後の教員研修では、こういう政治色の濃い内容は絶対にやめるべきです。。
2 学習指導要領をテーマにする初任者研修を含む教員研修では、①小1から道徳で“愛国心”教化、“君が代”を「歌えるよう指導する」②社会で小4から「自衛隊が役立っている」、小6では「天皇への敬愛の念」明記等、国家主義や政府の特異な政策の一層の教え込みに関する条項については、保護者を始めとする市民の間に反対意見が多いです。
教育課程課長だった合田哲雄氏らが改悪した指導要領の政治色の濃い部分は、元に戻すべきです。
①②に「保護者を始めとする市民の間に反対意見がある」というのは、ある保護者が公立小中学校の校長に対し、「憲法19条~21条や子どもの権利条約に照らし、学習指導要領で問題のある点」を説明し、話し合った時、校長の中にも、「一定数の(少なからぬ)人たちから①②には、強い反対意見がある事実」を認めていますので、「①②への反対意見の存在」は教員研修において、しっかりと伝えて頂きたい。
3 『審議まとめ案』が、「文部科学省においては、教員育成指標や研修受講履歴等を手がかりとした教師と任命権者や服務監督権者・学校管理職等との『対話』や研修の奨励が確実に行われるよう、各任命権者が、教師が教員研修計画に基づき研修を受けた履歴等を記録及び管理し、当該履歴を活用しながら、任命権者や服務監督権者・学校管理職等が教師に計画的かつ効果的な資質の向上を図るための研修の受講を奨励することを義務づけることを検討すべきである」と、教員管理統制強化を主張しているのは、非常に心配です。
人事考課(業績評価)制度が徹底している今、評価権(異動させる権限も)を持つ「教委・校長ら強者」vs「一般教員」が、対等な立場で“対話”することは不可能です、
真の「対話」を進めるには、全教職員が一堂に会するオープンな職員会議の場で活発に意見を出し合い、必要があれば挙手による採決で学校運営を決定していくシステムに戻すべき。
だから、都教委が98年に学校管理運営規則改悪し、職員会議を補助機関にしてしまったのを、元の審議・議決機関に戻すべきです。また、職員会議を文科省や教委の政策や方針を教員に伝達する場とするのではなく、(文科省や教委の方を向くのではなく、児童生徒の方を向き、)活発な意見を出し合える、真の「対話」、決定のできる場に戻すべきです。
4 「3」の続きですが、“対話”なるものを、校長室等、密室で行なう場合は、教委通達や校長の“経営方針”の押し付けを含むパワハラの場にしないよう、文科省は注意を促して頂きたい。
5 「3」の続きですが、『審議まとめ案』「3」と同じ引用箇所の、「奨励」と称する研修受講は、「強制」にならないよう、『審議まとめ案』の文言を修正した上で、(副)校長に注意を促して頂きたい。
6 『審議まとめ案』は、「学びの成果の可視化」について、「例えば、個別のテーマを体系的に学んだことを、全国的な観点から質が保証されたものとして証明する仕組みを構築することなどが考えられる。こうした仕組みの構築により、地域の別を問わず、教師の学びの質を一定の水準に保つことを支援することが可能となる」と主張。
これは、中教審が十年ほど前に議論したが、幸い立ち消えになった「教員採用試験の全国統一版」を、またまた持ち出そうと謀んでいるのでないか。
教員採用は地域の実情を踏まえ、現行法制下では各都道府県教委が民主的に行なうべきであり、「全国統一の教員採用試験」のようにしないよう、『審議まとめ案』の文言を修正した上で、(副)校長に注意を促して頂きたい。教育の国家統制は、危険な”いつか来た道”です。
7 『審議まとめ案』は、「任命権者等は当該履歴を記録管理する過程で、特定の教師が(略)期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合は、服務監督権者又は学校管理職等の職務命令に基づき研修を受講させることが必要となることもありえる」と記述。
そして「万が一職務命令に従わないような事例が生じた場合」は、「地方公務員法の懲戒処分の要件に当たり得る」「事案に応じて、任命権者は適切な人事上又は指導上の措置を講じることが考えられる」「(学校現場から外し実質、分限免職前提の)指導改善研修の対象となることも今後検討するべきである」とまで主張しているのは、文科省による教員への脅迫ではないでしょうか。
ここの記述を、削除して頂きたい。
8 「7」の続きですが、『審議まとめ案』のここの「職務命令」「地方公務員法の懲戒処分」という語は、都教委が"君が代"不起立・ピアノ不伴奏教員を不当処分する時の常套句です。『審議まとめ案』のこの部分を、"君が代"等、政治色の濃い不当処分に悪用しないようにして頂きたい。
9 「7」の続きですが、『審議まとめ案』は"上から目線"で偉そうに「地方公務員法の懲戒処分」と言っています。
しかし、小幡泰弘教育人材政策課や、平野博紀教員免許企画室長の"上司"の総合教育政策局の職長に最近就いた藤原章夫(あきお)氏(もう58歳)は、2017年1月20日のNHKニュースが、
――松野文部科学大臣は、閣議の後の記者会見で、文部科学省の幹部らが元幹部の大学への再就職をあっせんしていたことなどが、官僚の天下りのあっせんを禁じた国家公務員法違反にあたると認定された問題を受け、(略)合わせて7人を停職や減給の懲戒処分にしたことを発表した。(略)当時の人事課長の藤原章夫大臣官房付を停職1か月、現在の豊岡宏規人事課長を給与の10分の2を2か月減給するとしている。また、当時と現在の人事課の職員 計4人をそれぞれ停職1~3か月や、給与の10分の2を4か月減給するとしている。(後略)――
と報じる通り、非違行為を犯し、戒告や減給ではなく、免職の次に重い停職処分をつい4年前に受けてしまった人物です。
『審議まとめ案』で"上から目線"で偉そうに「地方公務員法の懲戒処分」と言うなら、文科省の筆頭局と言われる総合教育政策局長の藤原章夫氏の反省文・謝罪文を公表してからにしなさい。
10 『審議まとめ案』は、「教職員支援機構が開設した研修、民間の様々なセミナー等を含」む「学習コンテンツを積極的に活用」せよと主張。しかし「教特法第二十一条二項が保障する自主研修こそ必要」です。
(1)「教職員支援機構の研修」のうち“中央研修”なるものは、“君が代”訴訟で反動的な主張をし続けた都教委側弁護士が講師役になったことがある
(2)「民間の様々なセミナー等」は財界関係のものを含めてしまうと、中教審会長の渡邉光一郎氏が副会長をしている日本経団連は、憲法9条改悪を主張する5月3日の政治集会に事務総長が登壇している
――等の事実から、『審議まとめ案』の主張通りになってしまうと、政治的中立性が損なわれる(右寄りになる)危険性がある。
よって、「教職員支援機構の研修」のうち“中央研修”と日本経団連等の財界の絡む「民間の様々なセミナー等」は、「学習コンテンツ」として推奨しないよう、『審議まとめ案』の文言を修正した上で、(副)校長に注意を促して頂きたい。。
ただ、「教職員支援機構の研修」のうち、いじめや教育相談等の研修は活用しても良い、と考える。
11 「教特法第二十一条二項が保障する自主研修こそ必要」です。教職員組合主催の教育研究集会(いわゆる教研集会)は優れたものが多い。本会も日教組系の東京教組が世田谷区立小学校で市民にも開いて開催した教研集会で道徳教育について、学ばせて頂いた。
よって、教職員組合主催の教研集会等を、「学習コンテンツ」として推奨するよう、『審議まとめ案』に明記して頂きたい。
12 「11」の続きですが、「教特法第二十一条二項が保障する自主研修」こそ必要です。「アイム'89・東京教育労働者組合が、夏休み中、平和・人権・環境問題等の講座を十日近く、公共施設等を借り、市民にも開かれた形で開催しておられたような講座」に、教職員が有給休暇を取得しなくても自主研修として参加できるよう、『審議まとめ案』に明記して頂きたい。