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北京=高田正幸

2021年10月17日 11時51分朝日新聞

 

警察から電話「立候補は許さない」 中国、選挙めぐり候補者に圧力

人権派弁護士の一斉拘束事件をめぐり、最高人民検察院前で抗議する王峭嶺さん(右端)と李文足さん(右から2人目)ら=2017年7月、北京、延与光貞撮影

 中国の地方議会にあたる人民代表大会(人代)の選挙をめぐり、共産党の後押しを受けない「独立候補」として北京の人権派弁護士の妻ら14人が連名で立候補を表明したところ、立候補を認めないとの圧力を当局から受けていることが複数の独立候補への取材でわかった。過去も独立候補には妨害が繰り返されており、11月の選挙に正式に立候補できるかは未知数だ。

 立候補を表明したのは、2015年7月に人権派の弁護士らが一斉に拘束された「709事件」で、夫らの拘束が違法であると訴えてきた王峭嶺さんや李文足さんら14人。

 14人は今月15日、ツイッターなどで氏名や電話番号を公開して一斉に立候補を表明。このうちの数人によると、翌日までに少なくとも3人が警察から電話を受け、「この件の影響は海外に及んでいる。立候補は許さない」などと告げられたという。独立候補の1人は「今後どのような妨害があるかわからず、我々がどのように活動していくかも不透明だ」と話す。

 

 

 

 


■10/17(日) 9:41 西日本新聞

 

「この国の民主主義、おかしいんじゃないでしょうか」“スガ前総理“が斬る岸田政権


<2021衆院選 私の視点>ザ・ニュースペーパー 山本天心さん(59)
 

「冷遇」の額を持つスガ前総理役の山本天心さん(左)と初心者マークを手にするキシダ総理役の浜田太一さん(撮影・伊東昌一郎)

 スガ前総理! 岸田文雄政権の船出をどうご覧になっているでしょうか。

 「岸田政権は支持率4割台と低いところから始まりましたね。私の時は、7割もあったんですよ。それがどうですか。日本学術会議問題、長男の接待問題と次々とたたかれて、あっという間に下がりました。誰も私には忖度(そんたく)しないんですね。その点、岸田さんは安心です。所信表明演説に夢がありましたね。私、岸田さんの演説の全文を読み終えるまで50分かかったんですよ。途中3回くらいうとうとして、舟をこぎながら夢を見ることができました。内容も素晴らしかった。私が言ってきたこととほとんど同じでしたから」

【動画】”スガ前総理”を演じるザ・ニュースペーパーの山本天心さん

 「私は記者会見で原稿を棒読みしていると批判されましたが、岸田さんは違いますよ。先日、関東で大きな地震があった時、急きょ開いたぶら下がり会見でも岸田さんは原稿を持っていなかった。私への当てつけかと思いました。総理を辞めて時間もあるし、政権からも冷遇されていますから、今のうちに話し方教室にでも通おうと思っています」

 「世間では、岸田政権は安倍晋三元首相、麻生太郎自民党副総裁、甘利明幹事長の『3A』の傀儡(かいらい)なんて言われているそうですね。全く違いますよ。3Aは3人の頭文字なんかじゃありません。『危なげない』『安定した』『操り人形』の略です。とにかく、岸田さんに任せていたら間違いない。多分、もって1年。私はこう思います」

 「これだけは言っておきますけど、一番安倍さんに近いのは私ですよ。公文書の改ざん、破棄、隠蔽(いんぺい)…。森友学園や加計(かけ)学園、桜を見る会では、官房長官としていろいろ支えました。安倍さんが最初に政権を投げ出した時だって、真っ先に手を差し伸べたのは私だった。それがどうですか。党総裁選を前に私が窮地に立たされた時、振り返ったら小泉進次郎君しかいなかった。安倍さんはどうしちゃったんでしょうか」

 「大体、あの総裁選はおかしかった。候補者が主張をぶつけ合って政策を磨いていくより、議員の好き嫌いでリーダーが決まってしまった。私が応援した河野太郎さんを、世論の多くは支持していたんですよ。国民の声が議員につぶされていいんですか。総理を辞めたから言えますけどね、この国の民主主義、おかしいんじゃないでしょうか。もう誰にも気を使わなくていいし、モリカケ、サクラ、全部ばらしちゃおうかな。これからの民主主義のためにも」

偽装、隠蔽、改ざん…許してきたのは国民
 7年8カ月続いた安倍晋三政権とその継承を掲げた菅義偉政権を、コントで風刺してきた。岸田文雄新政権をどう見ているか。

 「岸田さんはハト派でリベラルな人が多い宏池会の出身です。それなのに、周りを安倍さんに近い人など保守派で固めてしまった。新自由主義からの転換など改革を唱えていますが、そんな状況で本当に実行できるでしょうか。人の話を聞くことを特技に掲げる岸田さんが、保守派の言うことをどこまでのむか。そこが一番の笑いどころになるとみています。所信表明演説を見ても、順調にトーンダウンしていると感じます」

 安倍・菅政権では、森友学園問題や日本学術会議問題など説明しない政治が続いた。衆院選ではその是非も問われることになる。

 「政治に関心が薄い人は、安倍・菅政権のやらかしてきたことはあまり重視しないと思います。公文書の改ざんや破棄などが厳しく追及されている時でも、安倍さんは選挙に勝ってきたからです。間違ったことをしているのに、それを許してきた国民にも相当責任がある。一方で、安倍政権があれだけ続いたのは、旧民主党政権の『素人政治』への反動という面もあります。その後も野党はだらしなく見える。多くの国民にとっては民主主義の危機より、今日の生活、明日の給料が大事。コロナ禍で生活を安定させてくれるのはどの党かを見定める選挙になるのではないでしょうか」

 菅前首相は、何が問題だったと感じるか。

 「やっぱり、伝える力が欠如していました。緊急事態宣言下で東京五輪を開催する理由なんて『安全安心な大会を実現する』と繰り返すだけで、一つも質問に答えていなかった。小学生でもおかしいと分かります。菅さんは黙々と仕事をし背中で語る昭和のおじさんタイプ。国民との対話が求められるコロナ禍では、良さが生きなかった。インターネット番組で『ガースーです』と言って批判されましたが、ああいう冗談をもっと磨いた方が国民との距離は縮まったと思います」

 岸田政権で自民党は変わることができるか。

 「岸田首相誕生の最大の功労者は菅さんです。菅さんが自民党総裁選への不出馬を決めたことで、自民党の支持率だけでなく株価まで上がった。あれだけ不人気だった菅さんがいたからこそ、地味だった岸田さんが良く見えたんです。岸田政権はこれから真価を問われることになりますが、自民党が大きく変わらないことは歴史が証明しています。偽装、隠蔽(いんぺい)、改ざん、賄賂、不倫…。これらは自民党のお家芸で、しっかり継承されて何十年も続いてきました。岸田政権は短命に終わるかもしれません。だからと言って、国民がもう一度野党に政権を任す覚悟があるか。野党も責任を果たせるだけの覚悟や力があるか。そこが問われていると思います」

(聞き手・久知邦)

【ザ・ニュースペーパー】政治や社会を風刺するコント集団。山本天心さん(59)は約9年にわたって、菅義偉氏の役を演じてきた。


https://news.yahoo.co.jp/articles/c51d6c1bfb992b9bcbadf0e407a0229f41a1c81e