経済的社会的及び文化的権利に関する国際規約 一般意見

 

社会権規約委員会 1998年

 

社会権規約 条約機関の一般的意見

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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■2021年10月12日 5時27分 
 

台風19号から2年 今も5300人超が仮住まい 生活基盤支援が課題


台風19号による記録的な豪雨災害から12日で2年です。

死者・行方不明者は合わせて123人で、このうち災害後に亡くなった災害関連死と認定されたのは長野県で8人増え、29人に上っています。

また、仮設住宅や、賃貸住宅などを利用したいわゆる「みなし仮設」での暮らしを余儀なくされている人は、この1年で4割余り少なくなったものの、今も5300人を超えていて、住まいなど生活の基盤をどう支援していくかが課題となっています。

おととし10月の台風19号では、東日本や東北で記録的な大雨となり、国土交通省によりますと、国や都県が管理する河川で堤防が決壊したのは合わせて142か所にのぼったほか、氾濫した河川の数は延べ325に達しました。

また、崖崩れなどの土砂災害も952件にのぼりました。

NHKが今月上旬、全国の自治体に取材したところ、死者は福島県や宮城県、神奈川県や長野県を中心に合わせて121人、行方不明者が2人でした。

死亡した人のうち、土砂災害や川の氾濫など直接的な被害で亡くなったのは92人で、災害後に亡くなった災害関連死と認定されたのは長野県で8人増え、29人に上っています。

また、プレハブの仮設住宅や賃貸住宅などを利用したいわゆる「みなし仮設」での暮らしを余儀なくされている人は去年と比べ4割余り減ったものの、合わせて11の都県で2470世帯5327人にのぼっています。

最も多いのが阿武隈川などが氾濫した福島県の2280人で、次いで、千曲川などが氾濫した長野県の918人などとなっています。

被災地では応急的な復旧に加え、壊れた堤防や崩れたのり面などの工事が今も続いています。

被害から2年となり、今も避難生活を余儀なくされている人が孤立しないための取り組みのほか、住まいの再建など生活の基盤のための継続した支援が課題となっています。

長引く避難生活 『事前復興』の重要性 高まる 


災害救助法で原則2年と定められた仮設住宅の入居期限を超え、避難生活が続く台風19号の被災地。

災害後の迅速な住まいの再建に向けて、10年前の東日本大震災でも突きつけられた課題が改めて浮き彫りになっています

10年前の震災では宮城、岩手、福島を中心に最大で11万4000人近くがプレハブの仮設住宅に入居し、宮城県では去年4月に、岩手県ではことし3月に最後の被災者が退去するまで、長期に及ぶ避難生活を余儀なくされました

仮設住宅での暮らしが長期化した背景には、住まいの再建方法について行政と住民との合意に時間がかかったことや、津波による被害を繰り返さないよう土地のかさ上げなどが行われ、災害公営住宅の整備や住宅の高台移転が遅れたこと、さらに、原発事故による避難指示の影響などがありました。

こうしたことを受けて注目されたのが、災害での被害を想定し、事前にどのように復興するかを決めたり課題をまとめたりする『事前復興』の取り組みです。

国は震災発生から2年後の平成25年、大規模な災害の際、迅速に復興を進めるために必要な国や自治体の手続きや措置を定めた『大規模災害復興法』を施行。

平成30年にはガイドラインを作成し、仮設住宅や災害公営住宅などの用地を事前に検討したり、復興のまちづくりについて住民と日頃から話し合ったりすることなどを示しています。

しかし、国土交通省によりますと、去年7月末時点で『復興のまちづくりのための事前の準備』に着手したと回答した自治体は、全国の半数となっています。

災害が相次ぎ、安全な住まいの確保や被災後の迅速な再建が求められる中、『事前復興』の重要性が高まっています。

 

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■10/12(火) 6:00河北新報

 

仮住まい今も3100人 台風19号豪雨から2年 遊水地化で犠牲になる地域も  

 東日本が記録的大雨に見舞われ、岩手、宮城、福島3県で死者・行方不明者62人(関連死7人含む)を出した台風19号豪雨は12日、発生から2年となる。3県では今も仮設住宅などに計約3100人が仮住まいを続けており、仮設住宅の入居期限(2年)を今月から順次迎える中、被災者の生活再建が課題となる。

【動画】上空から見た遊水地計画のエリア

■各地で黙とう

 3県の仮住まいは、ピークだった約7000人に比べ5割以上減少。民間賃貸住宅の家賃を行政が負担する「みなし仮設」が全体の9割弱を占める。

 原則2年の仮設入居期限は、宮城県内358世帯のうち、気仙沼、大崎、丸森、大郷、涌谷5市町193世帯で来年10月まで延長される。大崎、丸森、大郷各市町が建設する災害公営住宅や、宅地の整備を待つ世帯に対応した。

 一方、福島県内の延長は鏡石町など3市町8世帯で、全入居者の1%にとどまる。岩手県内の延長はなかった。自宅の再建方法が定まっていない世帯への支援が引き続き求められる。

 被災地では河川や道路の復旧工事が進む。12日には関連死を含め死者・不明者12人に上った宮城県丸森町で追悼式があり、各地で遺族が黙とうをささげる。

■総事業費1840億円

 「いい眺めだろ? でもこの辺りは更地にされて、川の洪水をためる遊水地になる。国が決めたんだ」。福島、宮城両県を流れる阿武隈川沿いには、復旧を果たした美田が広がる。川沿いに住む家主は居間から外を眺めながら、今の思いを語り始めた。

 阿武隈川上流域の福島県鏡石町。成田地区の高原益資さん(65)の自宅は遊水地の計画範囲だ。近い将来、周辺の約150戸が立ち退きを迫られる。

 2年前、阿武隈川は記録的な豪雨で氾濫や決壊が相次ぎ、多くの命と財産が奪われた。成田地区も一帯が水没した。

 「令和の大改修」とも称される昨年1月策定の国の「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」は、2028年度までの10年間で総事業費1840億円をつぎ込む。鏡石、矢吹両町と玉川村の3カ所で計画する巨大遊水地はその目玉事業で、国は23年度の着工を目指す。

 遊水地が完成すれば豪雨時の水位上昇が抑えられ、台風19号の際に中心市街地が水没した中流域の郡山市や本宮市は守られる。下流の宮城県側の治水安全度も高まる。高原さんは「上流の地域の犠牲によって、ね」と静かに言い添えた。

 

■治水の行方見通せず

 成田地区の立ち退き想定区域は周辺住民の「本家」が集まる古くからの中心地だ。約43億円を投じて17年に完了したばかりの地区の水田の基盤整備事業もふいになる。一定の戸別補償はあれど、多大な犠牲の対価と言えるものなのか。住民は量りかねている。

 今年3月、国と福島県、上流域の23市町村は「阿武隈川水系流域治水プロジェクト」の計画をまとめた。ハード事業が軸の緊急治水対策プロジェクトと、被害を最小限にとどめるための立地適正化計画の検討や避難体制の強化などソフト対策を組み合わせた流域一体となった治水を推進する。

 「流域治水」は、堤防やダムなどの治水設備によって川に洪水を閉じ込めることが主眼だった従来の河川行政からの転換を意図する。今年4月には関連法が成立し、全国の大河川で一斉に取り組みが始まった。

 近年顕著になってきた気候変動に対応するには、危険エリアの開発抑制や居住誘導も欠かせない。想定外の豪雨を想定し、河川の氾濫を前提に水害を「受け流す」流域づくりが国策として進んでいる。

 「これまでの河川行政は『パッチワーク』のように災害のあった場所を補強し続けたが、全体の治水安全度が上がったかというと、そうでもなかった」。阿武隈川の治水に詳しい日大工学部の長林久夫名誉教授(河川工学)は指摘する。

 1998年8月の豪雨被害後に阿武隈川上流域で国が実施した「平成の大改修」では、須賀川市浜尾の遊水地が目玉事業として整備された。台風19号では、あえなく水門周りの堤防が決壊した。どんな人知も自然の猛威には及ばない。

 長林氏は「川に合わせた人の住まい方、まちづくりの工夫が求められている。今が重要な時期だ」と話す。何を犠牲にし、何を守るべきなのか。新時代の阿武隈川の治水の行方はまだ見通せない。

(福島総局・横山勲)