◆ レイバーネット川柳班 : 9月句会報告、兼題は「選ぶ」 (レイバーネット日本)

 9月の句会は、9月27日(月)郵政共同センター+オンラインで行われました。リアル会場6人、オンライン5人の計11人が参加しました。他に選句を寄せた人が1名です。
 「選ぶ」が兼題だったので、総裁選をテーマにした句が多かったです。
 自由吟では「テレワーク上司の罵声子に聞かれ」が5点をとりました。コロナ禍でうまれた秀句でした。
 「牛歩さえまかりならぬとデジタル化」の句では、急速にすすむデジタル化の話で盛り上がりました。
 コロナを理由に議会時間が減らされたり、団交がオンラインになって抗議を受け付けなくなったりなど、民主主義の後退現象が各分野で起きていることが出されました。

 また今回は川柳作家の植竹団扇さんが参加したので、プロの眼からの批評がありました。
 「選んだか選ばれたのか今夫婦」は「選んだか選ばれたのかまだ夫婦」にするとぐっとよくなる、というアドバイスをいただきました。


 それから選句の数が現在は3ですが「選びたい句が残る」という声もあり、次回はテスト的に5に増やすことにしました。集計の仕方などについては、後日お知らせします。

 次回の10月句会は10月26日(火)18時半、郵政共同センター+オンラインで開催します。
 兼題は「食」です。投句締め切りは、10月19日(火)24時、投句先は
https://labornetjp.jimdo.com/senryu です。(報告=一志)

 以下、選句結果とコメントです。*は乱鬼龍選。

 ◆ 兼題「選ぶ」(45句)

 <4点句>

・一票の重さあざむく軽い口(奥徒)
「候補者の口を一言でずばり言っている」

 <3点句>

・金持ちの子にはいくつも選択肢(笑い茸)
「子供の教育のことを言っている。韓国中国も学歴偏重社会。うまく表現している」

 <2点句>

・選挙権持たぬレースに血道あげ(白眞弓)
「タイムリー」

・選んだか選ばれたのか今夫婦(やんちゃん)*
「句の形がいい。何十回も詠まれている句」「今をまだにするといい」

・選んでも選んでもなお安倍の陰(今明)
「上手な句。どの候補も同じ」

・民主主義ならば天皇選ばせよ(すなふきん)
「天皇を選挙で選んだら面白い」

・引っ張り蛸になりそな候補見当たらぬ(植竹団扇)
「ちょっとおもしろい」

・サル山のボスを選べと大騒ぎ(今明)
「比喩がよくでている」

 <1点句>

・土下座して受かったあとは別人に(一志)
「土下座を見た記憶ある。どうしようもない選挙をずばり」

・この秋に戦争放棄国会に(秋風とんぼ)

・やるごとに右へ右へと向かう国(一志)*
「定番だけどそのとおり。高市も出てきたし」

・友好国選んでみたら全世界(白眞弓)
「労働者民衆はこうであってほしい」

・総裁選あぶり出されるボスの顔(なずな)

・選ばれる前十日だけ頭下げ(J・ポンド)
「土下座と通じる句。選挙を象徴している」

・いないので自分の名前書きました(一志)
「無効票になるが、バカバカしい表現が川柳らしい」

・選ばないことを選んで選んだ気(斗周)
「いろんな人がいる。川柳味がある」

・あの党は誰がなっても棄民党(奥徒)

・選択肢引導渡すその一点(坂巻フミエ)*
「自公に引導わたしたい」

・一強が聞く耳みせる選挙どき(木根川八郎)
「聞くようなふりをみせるだけ」

・総裁選ジャンケンほどの価値もなし(斗周)
「このとおり」

・どの顔を選んでもスカ大差なし(今明)
「総裁選の句のなかで、これがよかった」

・スーパーの半値に群れる御同役(乱鬼龍)
「本当にお金がない人ふえた」「御同役は夫のこと、そこがわかると面白い」

・後継ぎに誰選ぼうが猿の山(J・ポンド)
「総裁選、そんなもの」

・選句眼あるか川柳から問われ(乱鬼龍)
「今回選句してみて実感した」「上手な句」

 <選外>

候補者はアベに忖度誓い合い
双総理世直し数多の総選挙
総裁選誰がなっても詮ないこと
婚活で広がる理想選択肢
コロナ禍の恨みを晴らす衆院選
国民の命無視して総裁選
別姓を選べぬ国は日本だけ
総裁選気になる先は再稼働
沖縄を捨て置き党首選ぶのか
パンケーキそれぞれ披露総裁選
ミスターが選べば判定はボール
嘘吐きを選ぶ近目の他よりまし
生か死か今文明の分かれ道
権力を選ぶものさし甘い蜜
無力化と言い換えサナエ得意顔
モリカケ桜を水に流すの?総選挙
選ぶより立って吠えるが自分流
選択肢多くて人生に迷う
落とされたい名前連ねるエントリー
手が先に割引へいく肉売り場
総裁選終えても戦争できる国


 ◆ 自由吟(45句)

 <5点句>

・テレワーク上司の罵声子に聞かれ(笑い茸)*
「2年前にはありえない句。パワハラが描かれている。息子は大人の世界をみた。
現代を表している」

 <4点句>

・感動のあとにそぉっと請求書(斗周)
「オリパラのこと、莫大な借金を軽く表現したところがいい」

・手始めに自宅放置で自助試す(今明)
「うまい句」「放置とずばり言いきった」

 <3点句>

・マスクない映画映倫ひっかかり(一志)
「マスク警察を連想。この国はいずれこんなことも起こりそう」「着眼がおもしろい」

 <2点句>

・牛歩さえまかりならぬとデジタル化(すなふきん)*
「牛歩戦術もさせない、パロディ」

・脱原発ブロックするか悪太郎(すなふきん)

・尖閣を灰色に塗る米の地図(木根川八郎)
「紛争こそがアメリカ帝国主義の生きる道」

・サンドイッチにパワハラノーとパンの耳(木根川八郎)
「パンの耳が被害者。組み合わせが斬新」

 <1点句>

・バッハらにぼったくられて感激し(今明)
「IOCのための五輪だった」

・かかったら畳の上で死ねと言い(奥徒)
「面白い」

・誤爆する国が独占核兵器(一志)
「アフガン誤爆の話」

・役に立つ事も無いので輪を描き(J・ポンド)
「ブルーインパルスを批判して詠んでいる。いい句」

・反省を天皇だけにまた任せ(なずな)
「明確な句。スガのだめさぶり」

・表現の不自由つくづくかじり癖(斗周)
「名古屋市長が浮かんだ」

・たたきあげたたき続けてたたかれる(祐民)*
「スガのこと。たたきの表現がおもしろい」

・五十年に一度のはずがまた今年(奥徒)
「気候変動問題」

・どの顔も安倍に似てきて区別無理(今明)
「顔まで似てくる、象徴的」

・「減ってきた」千の単位に慣れまして(斗周)

・ゆっくりとはとバス廻れ国会前(祐民)
「国会前デモ参加者の思い」

・派閥ショー電波乗っ取り空騒ぎ(植竹団扇)

 <選外>

戦争をしてはならぬと遺影祖父
緊急時己が保身に没頭し
ゴリ押しの祭りの後の大赤字
いいかげん自粛疲れに巷切れ
幻覚か見えた明かりは赤信号
秋きたる(飽ききたる)鳴き声細くスガ蝉の声
総裁選縁台将棋に花が咲く
通信簿五輪で日本さらに下げ
介入し強行をして放置した
戦場で豆よ花咲け実を結べ
食の秋あれもこれもとまた太り
皇室のてんやわんやのくだらなさ
幸せも迷惑もある有難う
ワクチン死千人いてもないことに
続けてる良妻賢母楽じゃない
総選挙大一番へ待ったなし
テロリスト一人のために500人
コロナで死ぬかワクチンで死ぬか
カンペにはグッバイと書く渡米前
疫惨禍国のかたちがすべて見え
身勝手な国と国との戦後処理
総理とはまず言わぬものアイムソーリー
野党ならもっと吠えろと喝入れる
日本の四季が無くなる温暖化
コロナには後手後手利権には先手

 以上

『レイバーネット日本』(2021-09-28)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0926kukai