◎ 濃厚接触の生徒も登校させてチャレンジテストを受けさせる?!


 ◆ 問題の概要
 文科省、並びに大阪府教育委員会は、コロナ感染者ならびに濃厚接触者は「出席停止」とする方針をすでに明らからにしています。
 ところが、吹田市教育委員会は、「濃厚接触者であってもいくつかの条件が整えば、登校しチャレンジテストを受けることはできる」と回答し、大阪府教育委員会は、市町村教育委員会がそのように決定することになんら問題はないと回答しました。

 ◆ 事実経過
 ・8月29日
 吹田市教育委員会が、同市立中学校に対し、「チャレンジテストは、予定通り9月2日に実施する。その際、『濃厚接触者にあたる生徒に、別室を用意するなどして学校でチャレンジテストが受けられるように配慮すること』」と連絡しているとの情報を入手した。
 さらに「今秋に出る府立高校の受験の規定でも、そのような対応をする旨の要項が発出される」「教職員は、ワクチンを接種している」と言明している旨の情報も入手した。


 ・8月30日
 吹田市教委学校教育室に電話で確認したところ、担当の回答は以下であった。
 「濃厚接触者であってもPCR検査が陰性でかつ発熱しておらず、本人が受験を希望する場合は登校し、別室で受験することは可能だ。」

 ・同日
 大阪府教育委員会に、「濃厚接触者もチャレンジテスト受験可としている市町村教育委員会があるが、把握しているか、見解はどうか」と問い合わせる。小中学校課学力向上グループ担当の回答は以下であった。
 「濃厚接触者は出席停止となる。どれほどの条件をつけてもチャレンジテスト受験はありえない。そのような市町村教育委員会があれば教えてほしい。どこかで情報がねじれているのかもしれない。」と濃厚接触者の登校受験を明確に否定し、そのような事実があれば指導したいとのニュアンスであった。

 吹田市教育委員会であると告げ、事実確認をされて結果を連絡してほしいと言い、「今日は間に合わず明日になるかもしれないが連絡する」との回答を受けた、その際、「たまたま吹田市教育委員会の情報を得たが、特殊ではなく他の市町村教育委員会もそのような方針を採っているところもあるやもしれないので大阪府教育委員会から市町村教育委員会になんらかのアナウンスが必要ではないか」との旨もつけ加えた。

 ところが、同日18時に大阪府教育委員会から電話があり、先ほどとは打って変わって、次のような回答であった。
 「市町村教育委員会の判断で、濃厚接触者が希望してチャレンジテストを受けたいというなら登校して受験することになんら問題はない。」
 思わず、聞き返し確認したが、なんのてらいもなく、間違いないということだった。


 ◆ 問題点
 関東では、コロナ感染があれほど深刻であるにもかかわらず、行政によるパラリンピック学校連携観戦に批判が集中しています。それと同じように、コロナ感染を防止することよりチャレンジテストを優先するかのような施策には怒りを禁じ得ません。

 「濃厚接触」の生徒を、たとえば別室の1室に集めて受験させるということは、感染している可能性のある生徒と感染していない可能性のある生徒を1室で長時間にわたって同席させることであり、感染していない生徒の感染危険度を高めるということです。危険性を承知した上で敢えて行う行為です。
 また、「濃厚接触」の生徒を1室に集めた中で、監督に当たる教員に感染危険度を高める行為を職務命令により強制するということです。
 生徒及び教員への最大限の防護策をとることは当然として、その危険を冒してまでテスト実施を強行することが果たして適切な判断なのでしょうか。

 ご存知のようにコロナ感染の広がりは、新学期を迎えてますます深刻な状況です。今教育行政がなすべきことは、最大限の努力により感染を押さえ、子どもたちの命と安全安心を守ることであり、教職員に対する安全配慮義務を果たすことにあります。ひいては、それが多くの市民の命を守ることにも繋がっていきます。
 文科省は、8月27日に改めて「学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン」を全国の都道府県教育委員会に連絡し、その徹底をはかっています。そこには以下のように記載されています。
https://www.mext.go.jp/content/000133781.pdf

「学校で児童生徒等や教職員の感染者が確認された場合は、校長は、感染した児童生徒等について出席停止の措置をとるほか、感染者が教職員である場合は、病気休暇等の取得や在宅勤務、職務専念義務の免除等により出勤させないようにしてください。また、児童生徒等や教職員が濃厚接触者と判定された場合にも、同様の措置をとってください。」

 また、大阪府教育委員会「学校園における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル~学校の教育活動を再開するにあたって~」には以下のように記載されています。
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6793/00354683/0528manu_syotyu.pdf

「児童生徒等の感染が判明した場合又は児童生徒等が感染者の濃厚接触者に特定された場合は、当該児童生徒等に対し、学校保健安全法第 19 条 に基づく出席停止の措置を取ります。
 ≪出席停止期間の基準≫
 ・感染者...「新型コロナウイルス感染症が治癒するまで」
 ※ 治癒の判断や、自宅待機の実施等については、保健所又は医師の指示のもと行われます。
 ・濃厚接触者...「感染者と最後に濃厚接触をした日から起算して2週間」」

 「出席停止」とは、本人の希望により登校を選択できるものではありません。
 現に大阪における全ての公立学校において、「出席停止」は児童・生徒に登校を文字通り「停止」する措置を取っています。
 にもかかわらず、吹田市教育委員会が、濃厚接触者であっても本人が希望すれば登校してチャレンジテストを受けることができるという方針は上記の文科省・大阪府教育委員会の方針に背くものであるばかりでなく、子どもや教職員、ひいては多くの市民の命の軽視にもつながります。また、それを追認するかのような大阪府教育委員会の姿勢はさらに無責任といえます。

 そもそも、チャレンジテスト制度から起こるべくして起こった問題のように考えてもいますが、それはまた別の機会に訴えたいと思います。

 ◆ 私たちの思い
 「子どもをテストで追いつめるな!市民の会」は、緊急事態宣言下であるばかりでなく、これほど子どもの感染拡大が起こり、クラスターさえ発生しかねない状況において、チャレンジテストの実施は中止する旨の要望書をすでに大阪府教育委員会に提出しています。
 今回明らかになった「濃厚接触者もチャレンジテスト受験可」の異常とも言える方針は即刻取り消していただきたいと願うばかりです。