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■毎日新聞9/2(木) 15:28配信

 

池袋暴走事故 裁判長が飯塚幸三被告に説諭「過失認め真摯に謝罪を

 東京・池袋で2019年4月、乗用車を暴走させたとして自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(90)の判決公判で、東京地裁の下津健司裁判長は2日、禁錮5年(求刑・禁錮7年)の判決の言い渡し後、証拠上あなたの過失は明白だと判断しました。裁判所の認定に納得できるのであれば、まずは被害者、遺族に自らの責任を認め、過失を認めた上で真摯(しんし)に謝っていただきたい」と説諭した。

飯塚被告は証言台の前で小さく数回うなずいていた。

 

【遠藤浩二、柿崎誠】

 

東京地裁に入る飯塚幸三被告=東京都千代田区で2021年9月2日午後1時、小川昌宏撮影

 

 

■NHK2021年9月2日 16時43分 
 

池袋暴走母子死亡事故 90歳被告に禁錮5年の実刑判決 東京地裁

おととし、東京 池袋で車を暴走させて、母親と子どもを死亡させたほか、9人に重軽傷を負わせた罪に問われた、90歳の被告に、東京地方裁判所は「ブレーキとアクセルの踏み間違いに気づかないまま車を加速させ続けた過失は重大だ」と指摘し、禁錮5年の実刑を言い渡しました。

 

 

おととし4月、東京 池袋で車が暴走し、松永真菜さん(31)と長女の莉子ちゃん(3)が死亡したほか、9人が重軽傷を負った事故では、旧通産省の幹部だった飯塚幸三被告(90)が過失運転致死傷の罪に問われました。

裁判では運転にミスがあったかどうかが争点になり、被告側は「アクセルとブレーキを踏み間違えた記憶は全くない。車両に何らかの異常があった」と無罪を主張していました。

判決で東京地方裁判所の下津健司裁判長は、当時の車の状況や警察の鑑定結果などをもとに「ブレーキとの踏み間違いに気付かないまま、アクセルを最大限踏み続けて加速させ、事故を起こした。車の速度は最終的には時速96キロに達していた。車に異常は認められず、故障をうかがわせる事情も一切ない」と認め、過失は重大だと指摘しました。

そのうえで「松永真菜さんと莉子さんは突如として将来への希望や期待を絶たれ、愛する家族と永遠に別れなければならず、その無念は察するに余りある。遺族の悲しみは非常に深く、喪失感はいまだに全く埋められていない」として、禁錮5年の実刑を言い渡しました。

判決を言い渡したあと裁判長は被告に向かって「あなたの過失は明白だと判断しました。納得できるのなら、責任を認め、過失を認め、真摯(しんし)に謝ってほしい。それを実践してもらいたい」とことばをかけました。

法廷では妻と幼い娘を亡くした松永拓也さんも言い渡しを聞き、目を閉じて裁判長のことばに耳を傾けていました。


松永拓也さん「判決は前を向いて生きていくきっかけに」


判決のあと、妻の真菜さんと娘の莉子ちゃんを亡くした松永拓也さん(35)は記者会見を開きました。

松永さんは「判決が出た瞬間には涙が出てきてしまいました。2人の命が戻ってくれたらとむなしさも感じますが、きょうの判決は、私たち遺族が少しでも前を向いて生きていくきっかけとなり得ると思います」と話しました。

そのうえで「被告には、判決という客観的なかたちで事実が認められたことを受け止め、もう一度、自分自身に問いかけてほしいです。被告が控訴するかどうか、この先どうなるかはわかりませんが、これからも、2人の命をむだにしないために、裁判も、交通事故の撲滅に向けた取り組みも、私にできることはすべてやっていきたい」と話しました。