「"ダメになっていく日本"を強く感じた」若者たちが東京五輪に失望した理由50年前とは真逆の"衰退五輪"だ
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毎日新聞 2021/8/17 東京夕刊
経済対策「今困っている人に」 コロナ、五輪…発言に責任持たぬ政治家
経済ジャーナリスト 荻原博子さん
巨費を投じた東京オリンピックが終わっても、新型コロナウイルスの感染拡大は続く。重苦しい空気の中、暮らしが上向く気配は感じられない。菅義偉政権の経済対策はどうなっているのか。秋の衆院選が近づく中、徹底した「生活者目線」で知られる経済ジャーナリストの荻原博子さん(67)に尋ねた。
「目を覆いたくなる現状ですね。政治家は私たちの生活をちゃんと見て、考えてくれているのか。一体どこを向いてるのと言いたくなります」。開口一番、荻原さんはコロナ禍での五輪の強行開催にあきれた。
菅政権の姿勢が「象徴的に表れていた」と振り返るのは、麻生太郎財務相の「(メディアが)書くほど世の中、経済が悪くなっていなかった。そういうことだ」との発言だ。7月6日、国の2020年度税収が60・8兆円となり、過去最大を更新したと発表された翌日だった。
しかし、増えた税収の中身を見ると、前年度より最も多く増えたのは消費税で、2・6兆円増の21兆円。これは19年10月の税率引き上げが影響したとみられる。法人税は4375億円増の11・2兆円、所得税は191億円増の19・2兆円だ。つまり消費税収は両者の増額合計分の約6倍も増えたのだ。「消費税というのは、無職の人も病気の人も、水や食料、電気のためにやむを得ず払っているもの。そういう税収が増えたからといって『景気は悪くない』だなんて、その認識から間違っています」と手厳しい。