◆ コロナワクチンの問題点 (『月刊 救援』)
   山田 真(小児科医)

 先日、保育士をしている女性から電話があった。
 新型コロナワクチンについての疑問が話されたが、その中で「ふだん遺伝子組み換え食品を食べないようにしている人がコロナワクチンについては疑問を持たずどんどん接種しているがどうしてだろうか」という問いがあった。
 わたしもファイザー製のコロナワクチンが「人間の体内に遺伝子を入れる形」のものであって天笠啓祐氏が指摘しているように「遺伝子治療の一つ」と考えるべきであるにもかかわらず、そのことが社会的に問題にされていない現状に疑問を抱いている。

 ◆ 遺伝子導入には慎重であるべき

 今、国は「なるべく多くの国民に、なるべく早くワクチンの接種を」というスローガンを掲げ、それに応えるように多くの国民がわれ先にと接種を急いでいる。


 その中でワクチンの問題点は隠され「多少のマイナスはあっても接種することのプラスが大きく上回る」と専門家たちが断言することで、接種が推進されている。
 「ワクチンのみがコロナに勝つ手段」とされている現状では遺伝子を入れることの問題性などは論じられることもないのだ。
 このことについて遺伝学の専門家の発言を目にすることもほとんどないのだが、わたしが知る範囲では二〇二一年五月一七日発行の「サンデースポーツ」が「遺伝子ワクチン接種に慎重判断を」という記事をのせた。
 この記事ではファイザー製などのワクチンが遺伝子のワクチンであるとし、国立遺伝学研究所の川上浩一教授の次のような発言を紹介している。
 「未知のことが多い。遺伝子を人体に導入することは慎重であるべきだ。」
 また川上氏は「体内に入った後の遺伝子の動きを完全に制御することはできない。」とも言う。

 動物実験で人工遺伝子が肝臓に到達した例もあるし、新潟大名誉教授の岡田正彦氏は米国で接種後に血小板が減少し出血が止まらなくなった例があり、これは「mRNAが体内に長く残り、抗原を作り続けて過剰な免疫反応を引き起こした可能性がある」と言う。
 天笠氏と同じように岡田氏も遺伝子を体内に入れる形のワクチン接種は「遺伝子治療」だと言い健康への影響については二~三年、ワクチンの種類によっては一〇年先まで見なくてはならないとしている。

 わたしは今回のワクチン接種を「国民の大多数の体内に遺伝子を入れる」という大規模な人体実験ととらえており、これを機会に体内に遺伝子を入れるということ(それは生命操作というべきだが)がさまざまな形で行われていくのでほないかと強く危惧する。


 ◆ 死亡例を報じないマスユミの姿

 やや抽象的な議論になったから具体的なことに話を移そう。
 わたしはこれまで様々な予防接種で亡くなったり重大な後遺症を残したりした人たちの支援をしてきたが、そうした被害者の多くが「予防接種との因果関係なし」として切り捨てられてきている。
 それは福島原発事故での被害者の健康被害が「放射能との因果関係なし」と切り捨てられてきたのと全く同じ構造である。

 コロナワクチンについては六月二三日に厚労省が「接種後に亡くなった人は三五六人」と発表しているが、この数字は亡くなった人たちがかかった医療機関から報告されたものだけだから、報告されない死亡例は他に多数あると思われ、氷山の一角と言ってよいだろう。
 ただこの三五六人については厚労省は「多くは調査中」と言っており、結局、接種との因果関係なしということにされてしまうと憂慮される。

 亡くなった人たちのことは新聞やテレビなどではほとんど報道されないが、「週刊現代」が精力的に報道している。
 二〇二一年六月五日号「『自分は打たない』と決めた医師たちの意見」という記事をのせて以後、ワクチン接種の“影に当たる部分”についての記事を送っている。
 六月一二、一九日号では「新聞やテレビはワクチン接種後に八五名(五月一二日時点)の日本人が死亡している事実をほとんど報じようとしていない。」とした上でアメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学ジョナサン・アルバート医師の言葉を紹介している。

 「日本における死亡者数が八五名というのは決して無視していい数字ではありません。不明な点は多いものの亡くなった人たちはどのような年齢で、どんな疾患を抱えていたのか。接種を受ける前に知っておくべきだと思います。」

 しかしこれまで接種を受けた人のほとんどはこうした副反応についての情報を医師から受け取っていないと思われる。
 新聞等が副反応情報を流さないのも、どこかで口止めされているのだろうか。


 ◆ なんのためのワクチンなのか?

 これまで、新たにはじめられた予防接種でこれだけの死者が出たら一旦中止するのが恒例であった。
 今回そうならない背景は様々な政治的理由があるのだろう。

 一方、コロナワクチン接種はどんなメリットがあるのかはほとんどわかっていない。
 アメリカでの数万人についての追跡調査で「コロナにかかっても発症する率が低くなる」というデータはあるものの、日本ではそうした調査はされていない。
 「感染する率が減るか」についてはわかっていないし、「抗体ができたとしてもそれがどのくらいの期間効果がもつか」についてもわかっていない。
 つまり、このワクチンのプラス面についてはまだはっきりしておらず、一方、副反応については情報かくしが行われているのが現状である。

 厚労省が二〇二一年二月に出した提言では「国が奨めるから接種するというのではなく利益とリスクを正しく評価して接種するかどうかを自分で判断することが必要」と言い自己責任を強調している。
 しかし正しく判断するための情報が与えられていないことを認識して、まずは国は正確な情報を市民に提供することを求めるのが必要なことと言える。

『月刊 救援』(2021年7月10日)