2012年5月28日、国連安保理が開かれました。
 

【5月28日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は27日、シリア中部ホムス(Homs)県ホウラ(Houla)で25~26日に多数が死亡する「虐殺」があったことを受けて緊急非公式会合を開いた。

 

 

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シリア人道支援ルート1年延長 人道状況悪化は回避 国連安保理

 シリア内戦 NHKNEWS

 

国連の安全保障理事会は、内戦が続くシリアに隣国トルコから人道支援物資を搬入するとした決議について、期限を1年間延長することを決めました。NGOなどが支援物資を搬入するルートは維持され、人道状況のさらなる悪化はひとまず回避されることになりました。

シリア北西部ではアサド政権の攻撃から逃れた市民などおよそ300万人が避難生活をしていて、国連安保理は決議で隣国トルコから陸路で食料や医薬品などを搬入する「支援ルート」を定めています。

この決議の期限が10日に迫り、欧米各国が延長を求めていたのに対し、アサド政権の後ろ盾となってきたロシアは人道支援はアサド政権を通じて行われるべきだとして難色を示していました。

こうした中でアメリカとロシアが個別に交渉するなどぎりぎりまで協議が行われた結果、安保理は9日、期限を1年間延長するとした決議を全会一致で採択しました。

これにより国連やNGOが支援物資を搬入するルートは維持され、人道状況のさらなる悪化はひとまず回避されることになりました。

 

採択のあと、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「この合意は文字どおり人命を救うものだ」と歓迎しました。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使はアメリカとの歴史的な合意だと評価しながら、シリアへの人道支援は最終的にはアサド政権を通したものに移行すべきだという考えも示し、今後も関係各国の駆け引きが続くとみられます。

延長 国連の拠点では安どの声

シリア国境に近い、トルコ南東部にある国連の拠点では10日、40台余りのトラックが集まり、シリア向けの食料品などを積み込んでいました。


シリアを担当する国連のマーク・カッツ地域人道副調整官は「紛争地帯で物資が不足している女性や子ども、高齢者など数百万人が安保理の決議によって引き続き人道支援を受けられることになった。期限が更新されないかととても心配していたが、いいニュースだ」と決議を歓迎しました。

そのうえで「さらなる支援ルートの拡充や資金援助、そしてこの危機を終わらせるための政治的意思が必要だ」として、国際社会が引き続き連携してシリアを支援する必要性を訴えました。

 

 

 

 

 

シリア内戦とは?きっかけや背景

シリアの内戦は後述するアラブの春を契機とし、独裁政権から脱し民主化を訴える運動を起こしたことがそもそもの始まりだとされています。 シリアではアサド大統領による独裁政権が40年にも渡って続いていました。国民の不満は既にかなり溜まっており、中東に広がっていたアラブの春の動きを受け、民主化運動への契機が高まっていきます。

アラブの春とは

アラブの春とは2010年にチュニジアで起こったジャスミン革命が発端と言われています。 当事のチュニジアでは長年に渡る独裁政権に不信感を抱いており、この抵抗を示すため一人の青年が焼身自殺を行いました。イスラム圏内では自殺を禁じており、この焼身自殺は波紋と大きな影響を及ぼすこととなったのです。 これによりチュニジア全土で大規模デモから暴動が起き、1ヶ月も経たないうちに当時大統領だったベン=アリーは国外追放され、20年以上続いた独裁政権に終止符が打たれたのがジャスミン革命です。 この後、2010年10月に制憲国民議会選挙が実施され、イスラム主義政党アンナハダが第一党となり、12月には大統領と首相が選出されて民主化へ移行する新政権が始まったのです。 こうした民主化運動が中東へと広がったことがアラブの春へと発展することとなりました。 エジプトでは大統領を退陣させ、リビアでは反政府勢力が武力衝突を経て政権交代を行うなど、政治変動としてはかつてないほど大規模なものとなりました。 これまでも限定的な政治参加しかできなかった民衆が変革の原動力となり、大きな革命運動が各地で起こったことにより、アラブ諸国の情勢を変革させた動きが「アラブの春 」と呼ばれています。 大きな民主化運動は独裁政権で苦しめられた各国の国民へと広がっていきましたが、その中には今も内戦が続いているシリアにも波及しています。 21世紀最大の人道危機とも言われているシリア内戦のきっかけもこのアラブの春にほかなりません。 それまでアサド政権に弾圧されていたスンニ派の人々がアラブの春に呼応し、行動を起こしたことがきっかけで、ここまで続く内戦へと発展していったのです。