■ CNN 2021.04.08
女性首脳の座るいすがない トルコ大統領とEU首脳の会談で
所在なげに立つフォンデアライエン欧州委員長(左)と、着席したミシェル欧州理事会議長(中央)およびトルコのエルドアン大統領(右)/EBS
(CNN) トルコのエルドアン大統領と欧州連合(EU)のミシェル欧州理事会議長(EU大統領)、フォンデアライエン欧州委員長が6日にトルコの首都アンカラで会談した際、エルドアン氏とミシェル氏の男性2人が部屋の中央のいすに腰を掛けるそばで、女性のフォンデアライエン氏が所在なげに立つ様子が見られ、ひんしゅくを買っている。
フォンデアライエン氏は座るべき場所がわからない様子で、「ええと」と声を出す様子が見られた。
以前の会談では、3人の首脳全員に席が用意されていた。
フォンデアライエン氏はその後、近くのソファに座るように提案されたが、対面したのはチャブシュオール外相だった。外交儀礼上では下位の役職者となる。エルドアン氏とミシェル氏は金色の装飾が施されたいすに座っていた。
欧州委員会のエリック・マメール報道官は「映像から分かるとおり、(フォンデアライエン氏は)明らかに驚いていた」「他のタイプではなく、あるタイプの席が提案された理由を判断するのは難しい。トルコの当局者に聞いてほしい」と語った。
■日経 2021年4月8日 9:15
トルコ、欧州委員長に席与えず? 「女性軽視」と物議
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長とミシェル大統領がトルコのエルドアン大統領と会談した際、女性のフォンデアライエン氏に対等な席が用意されていなかったことが物議を醸している。欧州委の報道官は7日、トルコ側の接遇が適切ではなかったとの考えを示した。
EUの両首脳は6日、トルコの首都アンカラを訪問した。会談冒頭の公開映像によると、エルドアン氏とミシェル氏は正面のいす2脚にそれぞれ着席したが、フォンデアライエン氏には専用のいすがなく、声を上げて戸惑う場面があった。同氏は結局、トルコ外相の対面のソファに座った。
SNS(交流サイト)では「女性軽視ではないか」とする声が多く上がった。欧州委の報道官もフォンデアライエン氏が驚いたことを認め「両大統領と完全に同等の席をあてられるべきだった」と述べた。トルコ側は公式にコメントしていない。
首脳会談でEU側は、トルコが女性へのドメスティックバイオレンス(DV)防止を目指す国際条約から脱退を表明したことなどに強い懸念を示した。
その場で抗議をしなかったミシェル氏にも批判が向けられている。同氏は7日、フェイスブックへの投稿で「重要な政治的議題の前で、公にことを荒立てまいとした」と弁明した。
■時事通信 2021年04月08日11時38分
トルコが欧州委員長を冷遇? 首脳会談で椅子なく
【ブリュッセルAFP=時事】
欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長と欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長(EU大統領)が6日、訪問先のトルコでレジェプ・タイップ・エルドアン大統領と会談した際、男性2人が着席した一方で、フォンデアライエン氏には椅子が用意されていなかった。これについて欧州委員会は7日、冷遇と非難した。(写真はトルコ・アンカラで会談に臨む、<左から>シャルル・ミシェル欧州理事会常任議長、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領、ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長。トルコ大統領府提供)
首都アンカラでの会談の映像には、トルコ国旗と欧州旗の前に椅子が2脚しかなく、ミシェル・エルドアン両氏が座り、フォンデアライエン氏は立ったまま当惑する様子が捉えられていた。
フォンデアライエン氏は結局、両氏から少し離れたソファに座ることになり、インターネット上では「ソファゲート事件」だとたちまち話題になった。
欧州委のエリック・マメール報道官は「委員長は明らかに驚いていた」と明かし、フォンデアライエン氏もミシェル氏と全く同等の扱いを受けるべきだったと指摘。
さらに「(フォンデアライエン氏は)これらの問題を重要視しており、適切に対処されるべきだと考えている。今回そうでなかったのは明らかだ」と述べた。
トルコは先月、女性に対する暴力の防止と撲滅を目的とした「イスタンブール条約」からの脱退を発表し、EUはこれに反発。トルコの人権状況が懸念される中で、EU・トルコが関係再構築を目指す矢先の出来事となった。
マメール報道官は、この一件により、トルコにおける女性の人権をめぐるフォンデアライエン氏の問題意識が一層強まったと述べた。
ただトルコ側に怒りが向けられる一方で、フォンデアライエン氏の椅子がないことにミシェル氏がなぜ何も言わなかったのかを疑問視する声も上がっている。
〔AFP=時事〕
■朝日新聞 2021年4月10日 17時30分
椅子なく立ちつくす女性委員長 トルコのEU接遇で物議
ブリュッセル=青田秀樹、イスタンブール=高野裕介
トルコのエルドアン大統領(右)と欧州連合(EU)のミシェル首脳会議常任議長が着席し、立ったままのフォンデアライエン欧州委員長(EU提供の映像から)=4月6日、アンカラ、ロイター
トルコでエルドアン大統領と会談した欧州連合(EU)の行政トップ、フォンデアライエン欧州委員長が、ひざ詰めで話ができる椅子ではなく、ひとり離れてソファに座らされたことが、女性軽視ではないかと議論になっている。ともに会談にのぞんだEU首脳会議のミシェル常任議長(大統領に相当)とエルドアン氏の男性2人は隣り合って座ったからだ。
会談は6日、トルコの首都アンカラの大統領府で行われた。冒頭の映像によると、エルドアン、ミシェルの両氏は、それぞれトルコ国旗とEU旗を背にして隣り合う椅子に着席。椅子がなかったフォンデアライエン氏は、驚いた様子で、しばし立ちつくした。
欧州メディアは「ソファゲート」と呼んで問題視。EU内部では、EU域外の国がミシェル氏が務めるEU首脳会議常任議長を国家トップとして、フォンデアライエン氏の欧州委員長を首相ポストだとして遇することが背景にあるのではないかと分析しているが、EU首脳がともに男性だった2015年のトルコでの首脳会談では3人が並んで座り、その写真が残されている。女性のフォンデアライエン氏が軽んじられたのではないか、というわけだ。
ロイター通信によると、イタリアのドラギ首相は「委員長の屈辱は非常に残念だ」とし、エルドアン氏を「独裁者」とまで呼んで批判した。