まだ「法の支配」を実現していず、人権条約に基づく法律を制定してない日本の首相が、「日米は自由、人権、法の支配について一致している」と言うならば、ただちに「日本が批准済みの8つの人権条約に備わっている個人通報制度を批准する」と閣議決定し、拷問等禁止条約(※)第22条の留保を撤回し批准しなければなりません。

 

 

ご参考までに、

※ 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(拷問等禁止条約)

 

採択: 1984年12月10日
発効: 1987年6月26日
訳者: 日本政府

 

 

第22条

 

  1. この条約の締約国は、自国の管轄の下にある個人であっていずれかの締約国によるこの条約の規定の違反の被害者であると主張する者により又はその者のために行われる通報を、委員会が受理し及び検討する権限を有することを認める宣言を、この条の規定に基づいていつでも行うことができる。委員会は、宣言を行っていない締約国についての通報を受理してはならない。
  2. 委員会は、この条の規定に基づく通報であっても、匿名のもの又は通報を行う権利の濫用であるか若しくはこの条約の規定と両立しないと認めるものについては、これを受理することのできないものとしなければならない。
  3. 委員会は、2の規定に従うことを条件として、この条の規定に基づいて行われたいずれの通報についても、1の規定に基づく宣言を行いかつこの条約のいずれかの規定に違反しているとされた締約国の注意を喚起する。注意を喚起された国は、六箇月以内に、当該事案及び救済措置が当該国によりとられている場合には当該救済措置についての事情を明らかにするための説明その他の陳述を、書面により、委員会に提出する。
  4. 委員会は、関係する個人により又はその者のために及び関係締約国により委員会の利用に供されたすべての情報に照らして、この条の規定に基づいて受理する通報を検討する。
  5. 委員会は、次のことを確認しない限り、この条の規定に基づく個人からのいかなる通報もしてはならない。
    1. 同一の事案が他の国際的な調査又は解決の手続によってかつて検討されたことがなく、かつ、現在検討されていないこと。
    2. 当該個人が、利用し得るすべての国内的な救済措置を尽くしたこと。ただし、救済措置の実施が不当に遅延する場合又はこの条約の違反の被害者である者に効果的な救済を与える可能性に乏しい場合は、この限りでない。
  6. 委員会は、この条の規定に基づいて通報を検討する場合には、非公開の会合を開催する。
  7. 委員会は、その見解を関係する締約国及び個人に送付する。
  8. この条の規定は、五の締約国が1の規定に基づく宣言を行った時に効力を生ずる。宣言は、締約国が国際連合事務総長に寄託するものとし、同事務総長は、その写しを他の締約国に送付する。宣言は、同事務総長に対する通告により、いつでも撤回することができる。撤回は、この条の規定に基づく通報により既に付託された事案の検討を妨げるものではない。同事務総長が宣言の撤回の通告を受領した後は、個人によるか又はその者のための新たな通報は、関係締約国が新たに宣言を行わない限り、この条の規定に基づいて受理してはならない。

 

 

 

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4/4(日) 7:09配信 時事通信

菅首相訪米、焦点に「人権」浮上 慎重姿勢に内外から圧力


 16日に行われる日米首脳会談で、「人権外交」が焦点の一つに浮上している。

 バイデン米政権は、中国による香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害に制裁を主導。欧州などが足並みをそろえた。日本でも与野党から人権問題により積極的に取り組むよう求める声が高まっており、菅義偉首相は対応を迫られている。

 首相はバイデン氏が迎える初の外国首脳として、15~18日の日程で訪米を調整。16日に首脳会談を行う。気候変動や安全保障、経済など多岐にわたる会談テーマの中で、にわかに関心を集めているのが中国政府による人権侵害だ。

 米政府は今年、ウイグル族への迫害を「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定し、関与した中国当局者への制裁に踏み切った。国家安全維持法や選挙制度見直しによる香港への統制強化にも、香港警察当局者らを制裁対象に指定した。米国の対応に英国やカナダ、欧州連合(EU)も追随し、先進7カ国(G7)で対中制裁の輪に加わっていないのは今や日本だけだ。

 日本政府が制裁に二の足を踏むのは、「一衣帯水の隣国」で最大級の貿易相手国である中国との対立激化は避けたいからだ。首相周辺は「口で非難できても、行動は起こせない」と吐露する。

 人権侵害だけを理由に他国の当局者に制裁を科す法律を持たない日本の事情もある。米国は、人権侵害を行った個人や団体に資産凍結などができる「マグニツキー法」があり、EUも昨年、同様の制度を導入した。

 中国の人権侵害がクローズアップされる中、日本でも法整備を求める動きが出始めている。昨年設立された超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」は、日本版マグニツキー法の整備を政府に求めた。自民党外交部会の「人権外交プロジェクトチーム」も、日本ウイグル協会などから中国国内の人権状況を聞き取り、近く政府に提言を出す予定だ。

 政府関係者は「米国はより強い態度表明を日本に求めてきている」と明かす。菅首相は1日のテレビ東京番組で「日米は自由、人権、法の支配について一致している」と強調したが、普遍的価値を重視するバイデン政権の期待にどこまで応えられるか、人権問題への日本の姿勢が問われている。