◆ 都教委の"君が代"停職6か月処分は違法
最高裁が2回目の、根津さん勝訴決定 (週刊新社会)
都教委に逆転勝訴した、20年3月25日の高裁判決当時の
根津さんと河原井さん(東京高裁正門前で。撮影:永野厚男)
根津公子元都立特別支援校教諭が2009年3月の卒業式"君が代"不起立で、東京都教育委員会から停職6カ月の重い懲戒処分を受けた事件の訴訟で、最高裁は2月17日付で処分を取消す高裁判決(20年3月25日)を維持する決定をした。
不起立での処分は最高裁が12年1月、戒告は容認しつつ、減給・停職は単に回数でなく「当該処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的事情が認められる場合」に限定。以後、都教委が出した根津さん以外の減給・停職は全て取消す判決が続いている。
しかし「公務秩序維持」に固執する地裁判決は、根津さんに対しては当該処分と無関係の07年度、学校で作業着として「日の君強制反対」のロゴ入りトレーナーを着た等を「具体的事情」とし、処分を取消さなかった。
また都教委管理主事が校長に「根津は停職復帰後いなくなる=免職」と言った証拠も、同判決は無視した。
高裁判決は、①都条例で停職6カ月の次の処分は免職のみ。身分喪失の可能性を意識させ被処分者に心理的圧迫が強い、②08年度は勤務中当該トレーナー着用の事実なし等の理由で、「都教委は裁量権の合理的範囲を逸脱。違法」と判じた。
07年卒業式完全勝訴に続く勝訴判決(今回損害賠償請求は棄却)に根津さんは「天にも昇る気持ち」と述べた。
永野厚男・教育ジャーナリスト
『週刊新社会』2021年3月9日号