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毎日新聞
総務省、東北新社子会社だけハイビジョン未対応で認定 予算委詳報
放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男が総務省幹部を接待したとされる問題を巡り、総務省は12日の衆院予算委員会で、2018年にCS放送業務として認定された12社16番組のうち、東北新社子会社の番組だけがハイビジョン未対応で認定されたことを認めた。詳報は以下の通り。
ハイビジョン対応で落選の番組も
後藤祐一氏(立憲) 菅総理の息子さんが部長を務める東北新社。東北新社が9割近い株を持っている株式会社「囲碁将棋チャンネル」がある。18年4月6日、東経110度のCS放送にかかる衛星基幹放送の総務省などの業務認定というものが行われている。そこで認定された番組は11社15番組についてはハイビジョン(HDTV)。ただ一つ囲碁将棋チャンネルだけがハイビジョンでない形で認定されている。
ハイビジョン化を進めるために大胆な組み替えをしてるんですよ。この囲碁将棋チャンネルだけがハイビジョンじゃないのに認定されている。おかしいじゃないですか。ハイビジョンの申請をして落ちたところもあるんですよ。接待の疑惑もあるわけで、説明してもらう必要がある。
続いて、どういう基準で決められたのか。
第1優先順位の①は帯域幅を12スロット以上返上してハイビジョンでという方。
全186スロットのうち①に72配られた。
②は返上が12スロット未満のハイビジョンの方で、84使うことになった。
③が返上分がなく新規でハイビジョンを申請する方で、3社残っていた。
残りが30スロットで、ハイビジョンは12スロットごとの単位なので2社しか通らない。
そうすると30から24引いて、1番組落ち6スロット残る。
そして4番目の枠である、既存の標準放送を高画質化するという④の枠で申し込んでいた「囲碁将棋チャンネル」が残った6スロットで選ばれた。これは間違いないか。
湯本審議官 ご指摘のあったハイビジョン番組については比較審査の結果、1社が認定拒否となっている。さらにSD、標準テレビジョン番組の経緯については当初、「囲碁将棋チャンネル」も含めて4社申請があったが、4社のうち2社はハイビジョンを第1希望、標準テレビジョンを第2希望として申請し、第1希望のハイビジョン番組が認定されたために、第2希望の申請を取り下げた。
秋本局長 最終的に「囲碁将棋チャンネル」を含む残る2社の審査については、④の段階で2社を比較して、既存の周波数帯を一部返上することで高画質化を図るという囲碁将棋チャンネルの申請が審査基準にかなっていたことから認定した。
現内閣広報官は職務権限者
後藤氏 この基準をつくる17年の6月ごろまでの(総務省)幹部は、山田真貴子・現内閣広報官が官房長、吉田真人総務審議官が情報流通行政局担当の大臣官房審議官だった。
そして認定がされた18年4月は山田真貴子さんが情報流通行政局長。谷脇康彦総務審議官が政策統括官(情報セキュリティ担当)、湯本博信官房審議官は(同局放送政策)課長だった。少なくとも担当局長、担当課長は間違いなく権限があったと思うが。
秋本局長 ご指摘の審査基準の改定、認定の事務を担当する職務にあるものは、情報流通行政局長、情報流通行政局担当の大臣官房審議官、そして衛星・地域放送課長の職にあったものです。
後藤氏 少なくとも山田真貴子情報流通行政局長(当時)は18年4月の「囲碁将棋チャンネル」の認定において職務権限があったという答弁だった。
後藤氏「職務権限者の調査を」
衛星放送「スターチャンネル」は東北新社が、85%だと思うが、株式を保有している会社だが、放送事項が変更されていて許可が必要だ。20年3月11日に変更許可を受けているのは間違いないか。
秋本局長 20年3月11日に放送事項の変更許可をしている。
後藤氏 許可ですから、職務権限あった方は食事していると問題になる。職務権限が発生する場合は少なくとも三つあることが分かった。
「囲碁将棋チャンネル」について認定を受けた18年4月。そして認定基準を作っていた17年6月あたり。「スターチャンネル」の放送事項の変更許可があった20年3月の時点。
現在、総務省で調査をしているが、今言った職務権限がある方がたくさんいると思う。
職務権限がある方々に対して、東北新社の菅正剛さん含めた関係者と会食があったか調べているのか。
調べていないなら、対象にして調査をすることを約束してほしい。
武田総務相 (国家公務員倫理)審査会から調査報告に関する指定を受けている。
今はその作業にフル活動で取り組ませていただいている。
ご指摘の点についても、もし国家公務員倫理法に反するものであれば、法令に基づきしっかりと公表していきたい。
後藤氏 具体的に聞くが当時の山田真貴子情報流通行政局長、間違いなく職務権限がある。
「囲碁将棋チャンネル」を認定したとき18年4月に局長だった。
東北新社と会食があったか調査するか
武田総務相 今回の事案に関することは積極的に、慎重に調査を進めていきたいと考えている。
吉田審議官「複数回」会食に注目
後藤氏 すると理解した。吉田総務審議官は2回は会食した、それ以前にも複数回会食していたと。
吉田さんは「囲碁将棋チャンネル」が認定された基準を(17年に)つくるときの情報流通行政局担当の大臣官房審議官だ。
吉田さんはそのときに会食していたらストレートにアウトだ。
吉田審議官は20年1月24日と12月4日だけでなくて、それ以前、いつ何回、会食していたか、まずここだけでもすぐ出してもらえないか。
武田総務相 本人の記憶というか、証言によれば今指摘されたもの以外については記憶はないと、覚えてないという感じです。
後藤氏 この調査ってそうやってなされるのか。職務権限がないときは日にちを覚えていて、職務権限があるかもしれないときは、よく覚えてないと。なんですかその調査。大臣。そんな調査じゃだめですよ。ちゃんと記録を出させないと。東北新社に記録全部を出させたら分かる。職務権限があった可能性があるところは、徹底して東北新社側の情報も含めて調べることを約束してくれるか。
武田総務相 相手方の情報も含めて調査します。
後藤氏 徹底調査を約束したと理解しましょう。これが出てこないとこの話は前に進まない。「囲碁将棋チャンネル」がなぜ認定されたのかも含めて、政策がゆがめられた可能性がある。それに総理の息子さんが関わっている、森友学園、加計学園とかなり似たような仕組みになってきている。
そして当時の山田情報流通行政局長、今は菅政権のど真ん中にいる、内閣広報官としている。しっかり究明することを求める。