◆ ネット利用が多い子どもは脳の成長が止まる
   東北大・川島教授の研究
 (電磁波研会報)

 

 


 1月20日付東洋経済オンラインに川島隆太東北大学教授による「『224人の子の脳』3年追って見えたスマホの脅威 成績が低下してしまう真の要因はどこにあるか」と題した記事が掲載されました。
 仙台市在住の5~18歳の児童・生徒224名を対象に、3年の間隔を開けて計2回、MRI装置を使って脳の発達の様子を観察。

 また、同時にインターネット習慣についてアンケート調査し、「使わせない」「まったくしない」「ごくたまに」「週に1日」「週に2~3日」「週に4~5日」「ほとんど毎日」7群に分類しました。
 その結果、1回目の検査時では、大脳灰白質体積に群間差はなかったのですが、3年後にはインターネット習慣に応じた発達の差が認められました(図)。


 インターネット習慣がない、あるいは少ない子どもたちは、3年間で全脳の灰白質体積が増加しましたが、ほぼ毎日インターネットを使用する子どもたちは、増加の平均値はゼロに近く、全脳の灰白質の発達が3年間でほぼ止まっていると川島教授は述べています。
 大脳灰白質体積の増加は、脳活動がより高度に成長していくことにつながるそうです。

 このデータはインターネット習慣との関係をみたもので、スマホ習慣との関連を直接調べたものではありません。
 ただ内閣府のデータによると中学生の65.8%、小学生で40.7%がスマホを使ってインターネットを利用しているので、スマホ使用と関係があることが推測できると川島教授は述べています。

 ただし、認知機能、すなわち脳の機能は、大脳灰白質の体積だけで決まるわけではなく、神経細胞のネットワーク自体が大事だという考え方もあります。
 そこで神経細胞のネットワークの部分、すなわち神経線維層である大脳白質の3年間の発達に関しても、MRI画像で同様に調べてみたところ、大脳灰白質体と同様の結果になったとのことです。

 これらの結果から、川島教授は「スマホが破壊していたものは、『学力』ではなく、『脳』そのものであった可能性が高いのです。この事実を知っても、皆さんは、子どもたちにスマホを自由に使わせますか?」と問いかけています。

『電磁波研会報 128号』(2021年1月31日)