=シリーズ「いま学校現場では②」=
◆ 新型コロナ禍の中で取り組む小学校の状況 (『いまこそ』)
コロナ禍とはいえ、安倍元首相発信の全国一斉休校措置は人災でした。
全ての子ども達の学習権が奪われ、保護者を混乱に陥れ、学校との繋がりを断ち切りました。
<へとへとの学校現場>
学校再開後、授業時数不足により子供たちと教職員は、過重な学習を強いられています。
「やらない」と教育委員会が言っていた区学力テストも強引に実施し、その検証作業とさらなる学カテスト対策に追われています。
前文科大臣が「最上級生を除き、2,3年間かけて学習内容を学べばよい」と言っていたにもかかわらず、夏休み明けには「主要4教科と英語に加えて道徳も時数完全実施、3,4年の外国語活動は9割実施」などと教育委員会は通知を出しました。
年度の初めに出されたとしても時数確保で大変なのに、後出しジャンケンは現場を混乱させています。
学校内は毎日の検温作業、消毒作業、3密を防ぐための換気、そして子供たちに30秒間の丁寧な手洗いうがいとソーシャルディスタンスをとる習慣を身に付けさせる取り組み…。
若手教員に対する教科指導の授業研究は、ある学校では毎週1回以上の指導案提出を求められています。
2週間しかなかった短い夏休みで教職員の心と体の疲れは取れず、ストレスから病休に入る教職員が増えています。中学校では不登校も増えています。
<子供、保護者との繋がりを断ち切る行政と学校>
コロナ禍の4月、文科省が出した通知に「休校期間中の課題で学習した内容が充分であれば、授業で取り扱わなくてもよい」といったことが示されました。
突然の休校で取り組みの遅れた学校では、それを学校だよりに引用し「授業で取り扱わない、家庭でしっかり学習させること」といった内容を保護者に配りました。
保護者は、学校が教育を放棄したと受け取り国会でも取り上げられる問題となりました。
子供たちにクラスのまとまりを感じさせたい私の学校では、4月の休校延長後、毎週金曜日に登校日を設け、1週間分の課題ワークを子供たちに出しました。
前学年までの復習ドリル学習ばかりではなく、新しい学年の新出漢字や新しい学年の単元に踏み込む内容のワークシートを作成しました。
国語、算数ばかりではなく、家族で一緒に楽しみながら取り組めるような内容も盛り込みました。
体育では「親子で楽しむミラーストレッチ」「ケンケンパ」、
図工では「絵、休校期間中の今やりたいこと」「こいのぼりのウロコを描いてクラスのこいのぼり共同制作」「名前を使ったデザインで共同制作」、
音楽では「家の中の音を探そう」「オリジナル楽器を作ろう」といった内容を入れました。
共同制作のこいのぼりは、道路に面した体育館の窓に貼り付け、誰でも見られるようにしました。
また、「絵、休校期間中の今やりたいこと」も、写真に撮って学校のフェンスに貼り出しました。
家に籠もっていても、みんなで力を合わせることが出来る、と子供たち、保護者、地域に発信したいと願っていました。
日記も宿題にしました。それらを学級通信にして毎週の登校日に配りました。
生活科の自然観察では「ハツカダイコンの継続観察」をする子が現れ、通信で紹介したところ、他の子たちもミニトマト、生き物の継続観察をするようになりました。
<保護者とつながる>
休校期間中のワークの表紙には「保護者自由記述欄」を付けました。保護者が孤立しないよう、悩みや思いを書ける場所です。
次の週までにお返事を書き、みんなに伝えるべき内容は、通信で紹介しました。
「ワークで学習した内容も、ちゃんと授業で取り扱うので安心してください。」
「お母様はよく頑張っています。出来る範囲でよいのです。」と保護者を励ましてきました。
たとえコロナ禍の中でも、混乱した行政の都合に振り回されて子供たちの学習権を奪われるのは大反対です。
様々な研究者が発信している感染防止の方法、文科省のガイドラインなど、情報をどんどん取り入れ、胃まで切ることと思われることにチャレンジする、攻めの姿勢が大切なのだと感じる10か月間でした。(都教組足立支部・足教組内沼隆史)
予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ 22号』(2020年11月6日)