傾き問題で建て替え中のパークシティLaLa横浜 

 

 

 

 

三井不動産・三井不動産レジデンシャル 杭打ちデータ改ざん問題

 

問題発覚は2015年。パークシティLaLa横浜は全4棟705戸の大型マンションだが、このマンションの西棟で打ち込みが足りない8本の杭が発見されたほか、施工データの偽装も発覚。施工会社が地盤調査を一部実施しておらず、虚偽データに基づいて工事をしていたことから、複数の杭が支持層(強固な地盤)に届いていない可能性が浮上した。建物の傾きとの因果関係は証明されなかったものの、データを偽装したことで建物への信頼が失われた。

 

 


施工したパークシティLaLa横浜で杭打ちデータに虚偽が見つかった(実際の施工は日立ハイテクノロジーズが1次下請けとして請負い、更に旭化成建材に2次下請けさせていた)。これを受け、2016年1月に杜撰な工事管理が原因として、国土交通省の入札工事に1ヶ月間応札ができない指名停止処分を受けた。

 

 

パークシティLaLa横浜(パークシティララよこはま)は、2007年11月に完成した、横浜市都筑区にある705戸4棟からなる分譲マンション。

隣接するショッピングセンター「ららぽーと横浜」と一体で開発された。

地上12階建、敷地面積は30,380.06m2。所在地は神奈川県横浜市都筑区池辺町4035-13。

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/dd/Parkcity_LaLa_Yokohama.JPG


建設の欠陥が2015年10月に指摘された。

事業者は三井不動産と明豊エンタープライズ、設計・施工は三井住友建設、販売は三井不動産レジデンシャル。

 

三井不動産グループが2006年に販売を始めた横浜市都筑区の大型マンションで、施工会社の三井住友建設側が基礎工事の際に地盤調査を一部で実施せず、虚偽データに基づいて工事をしていた。10月13日分かった。複数の杭(くい)が強固な地盤に届いておらず、建物が傾き

建て替えた。

 

建設は三井不動産と明豊エンタープライズの共同事業であり事業途中で三井不動産から三井不動産レジデンシャルに移管、総合不動産業の強みをいかす複合開発とされ設計・施工は三井住友建設で、一次下請けとして日立ハイテクノロジーズ、二次下請けとして旭化成建材が関与した。

 

日本電気横浜事業場跡地を用地とし、着工2005年11月30日、竣工2007年11月、ららぽーと横浜と一体での総工費は550億円。※

 

 

建設には、都市計画提案制度を使い、都市みらい推進機構が「平成23年度土地活用モデル大賞審査委員長賞」。

 


2011年にパークシティLaLa横浜自治会が設立された(池辺町連合自治会に未加入)。

パークシティLaLa横浜管理組合は横浜市資源集団回収登録団体のひとつ。

社会福祉法人貴静会が設置する認可保育所「ゆうぽーと保育園」が隣接する。

 

 

■三井住友建設株式会社は、2003年4月  三井建設が住友建設を合併し、三井住友建設株式会社に商号変更。

■2015年落橋事故

2015年(平成27年)9月16日、愛媛県今治市古谷地先で国土交通省 四国地方整備局 松山河川国道事務所発注の朝倉第2高架橋上部工事において、橋桁を送り出し工法で架設する過程でコンクリート製の橋桁が落下発生した 。
■2016年落橋事故
2016年4月22日16時30分頃、横河ブリッジとの共同事業体が施工する新名神高速道路の有馬川橋梁工事現場において桁落下事故が発生し、2名が死亡、8名が負傷した。

 

 

※ 国土交通省は単純な施工ミスでなく虚偽データが使われた事態を重くみて、2015年10月14日までに他の物件の調査を施工会社の三井住友建設に指示した。横浜市長林文子は、同28日に構造計算の評価に関しての支援を国土交通省に緊急要請、杭打ち工事を担当した旭化成建材本社に建設業法違反の疑いで同年11月2日から国土交通省が立ち入り検査を行った。国土交通省は同10月に「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」を設け、2016年2月にパブリックコメントを行った。

同年10月16日と17日施設内の集会所で三井不動産レジデンシャル社長の藤林清隆出席の下、住民説明会が開催され[24]、建て替えの可能性や金銭的補償などが説明され、藤林が謝罪した。旭化成建材社長の前田富弘も謝罪したとみられる。一次下請けの日立ハイテクノロジーズ社長の宮崎正啓も同社の決算会見後アナリスト向け説明会で謝罪した。三井不動産レジデンシャルの説明会は同年10月31日にも横浜市内のホテルで開催された。

この問題で旭化成建材が下請けとして請け負った杭の工事でデータ転用や改竄があったとして、旭化成建材が全額を負担して傾いた建物の補修や他の棟の調査にあたると旭化成が述べた。10月22日に旭化成は外部調査委員会(委員長鈴木和宏)を設置した。

全棟建て替えに必要な住民の五分の四の合意を目指して2015年11月に管理組合がアンケートを行い、その結果によれば住民の約7割が「全棟建て替え」を希望している。2016年2月27日の管理組合の総会で全棟を建て替える方針が承認された。

三井不動産は解体・建て替え関連で約300億円、住民の仮住まい等の補償で約100億円を計上した。

 

 

原因


2015年12月の国土交通省の有識者会議の中間とりまとめ報告書は問題点として、元請けによる総合的な企画調整の欠如、下請け主任技術者・工事管理者などの体制の問題、元請けと施工会社との間での齟齬などを指摘した。

旭化成の外部調査委員会は2016年1月の中間報告で同社内でのデータ軽視の姿勢をデータ流用の一因として指摘した。同社社内の調査委員会は2016年2月の中間報告で、別件でのデータ流用問題がLaLa横浜以前に3件報告されていたにも関わらず対策を怠っていたことを認めた。

この問題によりにより杭打ち業界全体への不信が広まったとして、東京商工リサーチが動向を調査し建設工事における多重下請の構造がデータ偽装の根底にある可能性を2015年10月に指摘した。

 

 

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建て替え関連費用460億円をめぐって泥仕合

一井 純 : 東洋経済 記者 
2018/01/20 

解体が進むパークシティLaLa横浜。新たなマンションは2020年ごろに竣工予定だ(記者撮影)
建て替え費用約299億、仮住まい費用約107億、その他も含めて合計約460億――1月19日、巨額の損害賠償を巡る泥仕合の幕が切って落とされた。

横浜の新築マンションが文字どおり”傾いた”――。

2015年10月、三井不動産レジデンシャルが販売した「パークシティLaLa横浜」(横浜市)で、マンションを支える基礎杭が支持層(マンションを支える固い地盤)に達していないことや、施工データの改ざんが発覚した。

その後の調査で、建物を支える基礎となる杭473本のうち、8本が必要な深さまで打たれておらず、重複を除く70本の施工データが改ざんされていたことが判明。こうした改ざんは全4棟のマンションのうち3棟に及んでいた。

ずさんな施工だけでなく、施工会社の三井住友建設、1次下請けの日立ハイテクノロジーズ、そして杭の施工を請け負った2次下請けの旭化成建材という重層下請けの実態も露呈した。

進まぬ建て替え費用の協議

傾斜発覚の発端となった手すりのズレ。三井不動産レジデンシャルは当初「東日本大震災の影響」としていた(撮影:2015年10月、今井康一)
あれから2年。当時の住民は転居し、4棟のマンションは建て替え工事が進んでいる。一方で、建て替え費用の負担をめぐる三井不動産レジデンシャルと三井住友建設らとの話し合いは決着を見ぬまま、裁判ざたへともつれ込んでいる。

対立の原因は、傾斜が確認されていない3棟まで建て替えとなったことだ。

三井住友建設およびその下請け会社である日立ハイテクノロジーズと旭化成建材は、傾斜発覚後、施工不良を認め謝罪。マンション全4棟のうち、傾斜が確認された1棟の改修費を全額負担するほか、残る3棟にも不具合があれば工事を行う意向を示した。


ところが、3棟の安全性や資産価値下落を懸念する声に押された三井不動産レジデンシャルが、2015年10月に全棟建て替えを住民に提案。翌2016年9月に住民らが集会にて全棟建替えを決議した。

三井住友建設はかねて住民説明会にて「傾斜が確認された棟を含め、大地震が起きても倒壊のおそれはない」と説明していた。たとえ一部の杭が支持層に達していなくとも、マンション自体の耐震性に問題はないとした。そうした中で降って湧いた全棟建て替え。販売会社の三井不動産レジデンシャルと施工会社の三井住友建設らとの亀裂はここから生まれた。


建て替えは本当に必要だったのか
協議は平行線をたどり、とうとう2017年11月28日、「意見の相違が明らかになった」(三井不動産レジデンシャル)ことから、同社がマンション4棟の建て替え費用の支払いを求めて、東京地方裁判所に訴えを起こした。訴状によれば、同社は建て替えに伴う費用約460億円及びその金利負担を三井住友建設、日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材に請求している。

争点となりそうなのは、やはり全棟建て替えの必要性だ。三井住友建設は安全性に問題はないと再三主張している。「解体工事業者からも『よくできているマンションですね』と褒められたくらいだ」(三井住友建設幹部)。

傾斜マンションの安全性についての第三者評価機関である一般社団法人建築研究振興協会も「(施工不良が確認された)8本の杭以外は必要な深さまで打たれており、安全限界耐力(マンションが地震に耐えうる力)についても満足する結果」とお墨付きを与えている。施工品質で争うのは、一見スジが悪そうだ。

そこで三井不動産レジデンシャルが持ち出したのが、過去に施工不良マンションについて争われた裁判だ。竣工後にひび割れや手すりのたわみ、配水管の亀裂などが生じたマンションについて、最高裁判所は2007年7月6日、「建物の建築に携わる施工者は、建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負う」と判示した。

倒壊など重大な事故つながる可能性がなくとも、手すりの施工不良によって住人が転落する危険があれば、その建物は「基本的な安全性」を欠いている、という理屈だ。訴状にもこの判例が引用されており、マンションの基本的な安全性について争うと見られる。


さらに、三井不動産レジデンシャルが裁判所に提出した証拠書類には、三井住友建設の社内メールが挟み込まれており、それにより「法的手続きを考慮すると、全棟建て替えは避けられない」という旨の会話がなされていたことがわかった。いったいどういうことか。

傾斜マンション自体は2007年の竣工だが、その後の法改正により規定に適合しない建物(既存不適格)となっていた。既存不適格の建物を改築するには、現行法に適合させる工事も同時に必要になる。

1棟だけの建て替えは建築基準法違反?
ここでパークシティLaLa横浜の独特な構造が立ちはだかる。マンション4棟のうち傾斜が確認されたのは1棟のみだが、4棟はそれぞれ渡り廊下でつながっているため、建築基準法では丸ごと1棟と見なされる。つまり傾斜した1棟に手を加えようとするなら、その他の3棟についても工事が必要だ。

さらに消防法の改正が追い打ちをかけた。特殊な吹き抜けを持つこのマンションは、消防法上避難経路が確保しにくく、火災の熱を逃がしづらい構造とされ、全住戸にスプリンクラーの設置が必要となった。各住戸で直接工事が必要で、全705戸もの大規模な配管工事をするには、住民の一時転居が必至だ。

そのほか、住戸の採光確保といったハードルを越えることができず、三井住友建設の社内メールでは「結局全棟建て替えになる」と結論づけられている。

いずれにせよ、被告3社が敗訴した場合、巨額損失を被ることは必至だ。施工不良に関して直接の責任がある旭化成建材の直近の営業利益はわずか43億円。460億円もの費用などとても背負いきれない。

三井住友建設や日立ハイテクノロジーズにしても、建て替え費用については「業績への影響が不明」という理由で引き当てていないため、1年間で稼いだ利益が吹き飛ぶ計算だ。

本訴訟に対して、三井住友建設は「弊社の主張は裁判で明らかにするため、コメントできない」としている。




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7月1日、神戸市議会で「タワマン禁止令」とも呼べる条例が可決された。

条例が施行される来年7月からは、JR三ノ宮駅周辺ではマンションや老人ホームなどがいっさい建設できなくなる(下の地図の赤囲み部分)。規制はその周辺地域(緑囲みの部分)にも及び、住宅部分の容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)が最大でも400%までに制限される。

敷地面積は1000平方メートル以上が対象で、建物の形状にもよるが、おおむね8~10階程度の中規模マンションが限界で、タワーマンション(タワマン)は到底建てられない。

1棟に数百世帯がひしめくタワマンは、それだけで人口の押し上げ要因となる。税収アップにも寄与するため、自治体にとっては決して悪い話ではない。それでも神戸市がタワマンを問題視するのは、市内の人口バランスに歪みが生じているからだ。

三宮が含まれる神戸市中央区の人口は、この20年間で3割近くも増加。他方で、神戸市全体の人口は2012年から減少に転じている。久元喜造神戸市長は、「中央区に対する人口の一極集中を抑止し、神戸市全体にバランスのとれた人口配置ができるようなまちづくりが必要だ」と市議会で答弁している。市によれば、急激な人口増加によって、同区では小学校などの教育施設が逼迫しているという。

そうして神戸市は昨年9月に「タワーマンションのあり方に関する研究会」を設立。そこで議題に上がったのが、タワマンの管理状況への懸念だった。2015年に市がタワマン居住者向けに行った調査では、8割以上の住民がマンション内での付き合いが「ほとんどない」もしくは「あまりない」と回答した。

タワマン「スラム化」の懸念
さらにマンションごとの修繕積立金が国土交通省の示す基準よりも不足していることを挙げ、管理組合の機能不全によってマンションの維持管理が滞れば、「スラム化の恐れもある」とまで言い切った。管理が行き届かないマンションへの懸念も、タワマン規制の流れを後押しした。

今回の条例は、タワマンを中心とした大型マンションを狙い撃ちした形だ。条例の対象となるマンションを敷地面積1000平方メートルとしたのは、「1000平方メートルを超えると(マンションが大型化し)戸数が急増する」(神戸市建築安全課)という判断からだ。

マンションの容積率の上限が400%に設定されたことも、階段や廊下といったマンションの共用部は容積率に参入されず、「同じ容積率でもマンションのほうが高くなってしまう」(同)ためだ。ただし、既存のマンションへの配慮から、建て替えに伴う建設のみ1回限り認めるよう条例案が修正された。

さらに、市全体での人口バランスの平準化から、神戸市の外れに位置し開発が進んでいなかった垂水区については、逆に容積率を緩和する措置も盛り込んだ。


こうしてタワマン排除に動き出した神戸市。だが、条例が施行されても、新規のマンション開発が一掃されるわけではなさそうだ。

中心市街地でのタワーマンション建設を封じる条例は、横浜市が先駆けて2006年に制定している。横浜駅および関内駅周辺でのマンション建設を禁止し、それより外側の一定地域では住宅部分の容積率の上限を300%に設定。神戸市よりさらに厳しい。

それでも、2015年には東急不動産が「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」を開発した。14階建てだが、低層部をホテルにすることで住宅部分の容積率を抑えた形だ。

神戸市においても、規制のかからない敷地面積が1000平方メートル未満のマンションを中心に、積極的な開発は続くと見られる。むしろ業界からは、「タワマンが今後建てられないとなれば、既存物件の希少価値が上がるだろう」という声もある。

企業誘致にも高い壁
条例のもう1つの目的である、オフィスや商業施設の集積促進はどうか。神戸市の条例では、400%という容積率の制限がかかるのは住宅部分のみ。例えばもともとの容積率が600%の土地であれば、低層階に商業施設を入れたり、一部フロアをホテルに転用したりすれば、残りの容積率200%をうまく使い切ることができる。

横浜市の条例制定時、市担当者は市議会での質問に対し「全部が住宅になるよりは、低層階に店舗や事務所が入ることで、街並みとしての賑わいあるいは景観等が維持される」と答弁している。マンションとオフィス・商業の複合施設を認めた背景には、路面店を増やして人の流れを作る思惑があり、神戸市も同様と見られる。だが、「複合施設は立地が限られる」(関西地盤のデベロッパー)ため、市のもくろみどおりに、にぎわいがもたらされるかは微妙だ。

企業誘致にしても、一筋縄ではいかない。総務省の「経済センサス」によれば、2016年6月時点で神戸市中央区に所在する事業所数は2万1258と、6年前に比べて1241減少した。大阪まで30分という近からず遠からずという立地が災いし、「大阪とは別個に支店を構えるほどのオフィス適地とは言いがたい」(大手デベロッパー幹部)。

今年5月には「丸亀製麺」などの外食チェーンを展開するトリドールホールディングスが、「グループの中枢拠点としての機能およびグループ全体を牽引する役割の強化を図る」ため、本社を神戸から東京・渋谷に移転すると発表した。神戸市もオフィス賃料の補助など支援策を打ち出してはいるが、東京の磁力に打ち勝つのは並大抵ではない。

タワマンを排した街はどんな表情を見せるのか、壮大な社会実験が始まった。