ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


4/13(月) 23:13配信AFP=時事


米原子力空母の乗組員、新型コロナで死亡

 

米海軍は13日、新型コロナウイルスの感染が発生した原子力空母「セオドア・ルーズベルト(USS Theodore Roosevelt)」の乗組員1人が新型ウイルスにより死亡したと発表した。同空母では500人超の感染者が確認されており、今回が初の死亡例となった。


 この乗組員は先月30日、検査により陽性と判明。今月9日に意識不明になったことが分かり、同空母が停泊する米領グアム(Guam)の海軍病院の集中治療室(ICU)に入っていた。

 

 

グアム島・アプラ港のグアム海軍基地に停泊する米海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」(2020年4月10日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News

 

 


■ 4/9(木) 現代ビジネス


「いま死ぬ必要はない」米空母艦長、コロナから部下を守ってクビの深層

「これは戦争ではない」
 艦内で100人を越える乗組員が新型コロナウイルスに感染した米空母「セオドア・ルーズベルト」。その艦長を4月2日に解任されたブレット・クロージャー大佐が、大勢の乗組員から声援を受けて停泊中の艦から去る様子が動画で公開された。

 解任の理由は、艦内の危機的状況を訴えた4ページにわたるメールを20~30の宛て先に送った結果、国防総省に届く前にその内容がメディアに漏えいしたというもの。モドリー米海軍副長官は「艦長が乗組員たちにとって最善だと考えたことを実行したという点は疑っていない」と理解を示したものの、結局、「極めて不適切な判断だった」と非難した。

 クロージャー艦長はメールの中で「これは戦争ではない。兵士らが死ぬ必要はない」と訴えたとされ、反応が鈍い国防総省や海軍省を批判する内容ともなっていた。結局、米海軍は米領グアムに寄港中の「セオドア・ルーズベルト」から、艦の維持に必要な乗組員を除いて全員を上陸させることを認めた。外形的には、艦長の訴えが届いたことになる。

 解任され、タラップを降りるクロージャー艦長は、艦内の乗組員から手拍子とともに「キャプテン(大佐)クロージャー!」の連呼を浴び、多くの乗組員が感謝の意を表した。

「いま死ぬ必要はない」米空母艦長、コロナから部下を守ってクビの深層
空母「セオドア・ルーズベルト」(Photo by gettyimages)
艦長のメールがなかったら…?
 艦内の感染者発生から艦長解任までの経緯を整理してみたい。

 「セオドア・ルーズベルト」は3月にベトナムのダナンに5日間寄港し、多くの乗組員が上陸した。ダナンを出港後、3人の乗組員が新型ウイルスに感染したことが判明、その後、感染者は増え続け、艦は3月28日にグアムのアプラ米海軍基地に寄港した。

 クロージャー艦長が問題のメールを送信したのは到着後、感染者が増え続けていた30日だ。すると翌31日に米国の2紙が、「乗組員4800人をできるだけ多く上陸させ、隔離するよう国防総省の上層部に求める」とのクロージャー艦長のメール内容を報道。これに怒った米国防総省は4月2日、クロージャー艦長を解任した。

 その後、艦長も新型コロナに感染していたことが判明したと6日のAFP通信が伝えている。

 米国防総省のホームページや米紙報道をみてもわからないのは、米海軍は「クロージャー・メールの報道」がなかったとすれば、乗組員をどのように処遇したのかだ。

 前出のモドリー米海軍副長官は艦長の解任を発表した2日の会見で、「乗組員のうち、すでに1000人を上陸させ、数日中に2700人を下船させる」と述べた。乗組員の下船が始まったのは4月1日である。たまたま「報道の翌日」に下船を始めさせたのだろうか。

 

 そこで米国防総省は3月30日、緊急声明として「新型コロナウイルス感染者の公表のあり方」をホームページに掲載した。それによると、「運用上の安全への懸念から、(感染者の所属する)個別の部隊、基地、司令部での集計は公表しない」としている。

 「個別の部隊」には艦艇名が含まれる。もともと米海軍はどの艦艇で感染者が出ているか非公表としていたが、「セオドア・ルーズベルト」の感染者数だけは連日のように米国メディアによって報道されていた。

 業を煮やした国防総省が、ついに米国を含め世界各地に400カ所ある米軍基地の司令官や艦艇の艦長らに対して、箝口令を敷いたのだ。

「いま死ぬ必要はない」米空母艦長、コロナから部下を守ってクビの深層


嘉手納基地で行われている検査の様子(同基地公式サイトより)


「米兵ルート」という日本のリスク
 この緊急声明は、基地を抱える自治体への連絡については「基地司令官は基地内の事例について、地域の保健当局と情報を共有することになっている」とし、基地所在自治体との連携を既成事実のように伝えているが、実際は違う。

 沖縄県の米空軍嘉手納基地で、新型コロナに感染したことが判明した米兵の情報は、日本政府を通じて沖縄県に伝わったものの、性別、年代、行動の履歴は一切、公表されていない。(3月30日の筆者記事「在日米軍にコロナ感染者続出、日本は何も教えてもらえない『異常事態』」)

 日米地位協定により入国審査を免除され、入国も出国も自由な米兵の行動は、米軍当局が明らかにしない限り、日本側は知りようがない。どんなに自治体が感染症対策をとっても、「米兵ルート」という不可侵の感染源が残るおそれは消えないのだ。

 米軍の準機関紙「星条旗新聞」によると、国防総省広報は「上層部は、敵が情報を悪用することを心配している。もしコロナが抑止力に影響するなら、我々は情報が敵の手に落ちることを防がなければならない。敵も同じようにするだろう」と話したという(4月1日、琉球新報)。

 戦時において優先すべきは任務であり、兵士の犠牲はやむを得ない場合があるのかも知れない。しかし、現在のような平時において、しかも世界中が新型コロナウイルスという共通の敵と戦っている中で、どこまで任務を優先させるべきなのか。

 軍に感染者が広がっているとされる北朝鮮が、3月に短距離弾道ミサイルを毎週のように連射して「強がり」を見せたのをみても、いずこの国も「見えない敵」を相手に、正解を模索していることだけは確かだ。

 

 

【写真】在日米軍に感染者続出…日本人が知らない「異常事態」

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200409-00071696-gendaibiz-n_ame